猫が見下ろしてくるときの3つの心理
猫が高いところから見下ろしてくるのは、狩猟本能や猫同士の社会性からくる行動だと考えられています。そのとき猫はどのように考えているのでしょうか?猫が上から見下ろしてくるときの心理は次の3つです。
1. 自分の優位性を示したい
猫同士社会には明確な階層はなく、縄張りや性別・年齢など、その場その場で「強い順」という流動的な序列が生まれます。猫が高いところに登るためには身体的な能力が必要なので、高い位置に行けるほど強くて優れていると認識されます。
ふだんは人の背の高さには到底かなわない猫も、大きなキャットタワーや棚や冷蔵庫の上などに乗れば話は別です。自分の優位性を示すために上から見下ろしてくるのです。
耳と視線が前を向いていたら、猫は穏やかな気持ちでいます。自分の優位性を自覚しているのでしょう。
2. 安心安全を感じたい
高いところからは周囲の状況が一目で把握できます。視野が広がることで、外敵やほかの猫を発見しやすくなることから地面にいるよりも身を守れる可能性も増します。
また、自分のテリトリーを上から見渡すことで、コントロールできているという安心感もあります。
猫が高いところにいるのに耳をあちこちに向けていたら、すこし緊張気味です。安全を求めているのかもしれません。
3. 狩りを有利に進めたい
高いところは排他的であると同時に、獲物を観察しやすい位置でもあります。猫の狩りの方法は待ち伏せ型なので、上から獲物の行動パターンが把握できれば狩りは効率的に行えます。
もちろん飼い猫は飼い主から食事をもらうので、食べるための狩りのためではありませんが、この行動は狩猟本能から来るものなので地上に興味を引くものがあれば飛んで降りてくるでしょう。
もし猫が高いところでしっぽを振りながら見下ろして来たら、飼い主の行動パターンを観察しているかもしれませんよ。
猫は高いところに登る必要がある
高いところに登るのは猫としての習性であり、そこには猫が生きるための明確な必要性があります。
プライドを保つため
先述したように、猫は高いところで優位性を感じていて、この優位性は猫のプライドにつながります。家の中で自分のポジションや自由度に対して自信が持てる猫は、毎日を心穏やかに暮らすことができるのです。
一方、猫なりにプライドが保てないような環境にあると、猫によっては飼い主や同居動物に対して攻撃的になったり、粗相を繰り返したりする、転嫁行動(てんかこうどう)をとってしまうことがあります。
身を守るため
慎重で怖がりな猫は特に、安全な場所を求めて高いところに登ることがあります。
突然、家のインターホンが鳴ったり、苦手な病院へ連れていかれそうな「空気」を察したりしたときに見られる行動です。
これは、猫の祖先が木の上で暮らしていた時代からの自己防衛本能に由来しているといわれています。
ひとりの時間を持つため
そして、どんな猫にも共通するのは、ひとりになりたい時があるということです。猫が単独行動をするといわれる所以です。
生活空間のすべてを飼い主や同居動物と共有している場合、高いところで自分のペースを取り戻したいのかもしれません。環境からの刺激が多いと、高いところにいる時間も長くなります。
猫が見下ろしてくるときに注意したいこと
猫が高いところから見下ろしてくるときには、緊張や警戒していないかを理解しましょう。行動や表情から気持ちを理解することが大切です。もし、猫のストレスや不安に関連している場合には、原因を特定して対処する必要があります。
とはいえ、あまり手を出しすぎると猫は逆にストレスに感じることもあります。緊急性が高くない場合には、適度な距離を保ち、しばらく放っておくのも方法のひとつです。
また、猫が高いところに登る際に、落下しないように安全面での配慮が必要です。特にカーテンレールやエアコンの上は危険ですので、できるだけ登らせないように対策しておいた方がよいでしょう。
まとめ
猫が高いところから見下ろしてくるのは、狩猟本能や猫同士の社会性からくる行動です。家の中での優位性を示したい、安心できるところにいたいと考えています。あるいは、何か捕りたいという心理になっているかもしれません。
必ずしも飼い主に対して威張っているわけではないのです。
猫にとっての高いところは、本能的に自分の尊厳を守るため必要な空間です。
ときには、ひとりの時間を求めていることもあるので、猫が高いところから見てくるときには、なぜそこにいるのかを理解して必要な時にはそっとしておくことも大切です。
もちろん高いところへの安全配慮も忘れないようにしてくださいね。