1.ミアキスは猫と犬の共通の祖先
猫と犬が生まれるきっかけとなった動物は「ミアキス」という生き物で、約6500万年〜4800万年前にヨーロッパ大陸の森に生息していたと言われています。
体長20〜30cmと小柄で、短い手足に細い胴体と長い尻尾が特徴的なイタチに似ている動物です。主に木の上にいる爬虫類や果実・鳥の卵などを食べて暮らしていました。
ミアキスは犬や猫だけでなく、
- ハイエナ科
- イタチ科
- クマ科
- アザラシ科
など、さまざまな種の祖先または近縁でもあります。
ミアキスという名前はラテン語で『動物の母』という意味だそうなので、多くの動物の元となっていることを的確に表していますね。
私たちが愛らしい猫や犬に癒されながら楽しく生活ができるのは、このミアキスがいてくれたからに他なりません。そう考えるとミアキスのことがより身近に感じられますし、ありがたい存在に思えてきますよね。
では、ミアキスはなぜ進化の過程で猫と犬に分かれることになったのでしょうか。
2.犬の元になったのは草原に進出したミアキス
ミアキスが外見も特徴も全く違う猫と犬にそれぞれ進化していった背景には、森での生存競争が激しくなったことが関係しています。
一部のミアキスは森から草原へと移住し、約3500万年前にはネズミのような見た目の「キノディクティス」へと進化を遂げました。
そこからさらに時が流れて犬やオオカミの外見に近い「トマルクタス」という動物が生まれ、現在の犬へと進化していったのです。
森と違って遮るものがほとんどない草原では群れで狩りをするようになり、獲物をうまく追い詰めるために集団の中での主従関係が生まれました。
集団行動や主従関係の習性は現在でも受け継がれています。
3.猫の元になったのは森に残ったミアキス
草原へと移り住んだミアキスがいた一方で、森にそのまま残ったミアキスもいました。
生存競争が激しくなってしまった森で生き残るため、木に登ることに適した出し入れ可能な鋭い爪とより素早く機敏性のある動きができる身体を持った、ネコ科最古の「プロアイルルス」へと進化していったのです。
約2000万年前にはチーターやヒョウなどのネコ科の祖先となる「プセウダエルルス」が生まれ、現在のイエネコへと進化を遂げていくことになります。
森では群れでいると獲物に見つかりやすくなってしまうので、単独で身を隠しながら狩りをしていました。猫が獲物を狙う時に隠れたり一人でいることを好むのはこのような歴史的背景が関係しているのでしょう。
まとめ
猫と犬の共通の先祖である「ミアキス」はラテン語で『動物の母』という意味を持ち、名前の通り多くの動物の先祖または近縁にあたる生き物です。
暮らしていた森で生存競争が激しくなったために草原へと移り住んだ一部のミアキスが現在の犬の元になり、森に残った方のミアキスが猫の元となりました。
木々に身を潜められる森と見通しの良い草原、それぞれの環境に適応するための習性が今でも猫と犬に根強く受け継がれています。
現在の猫と犬になるまでの進化の過程についても詳しく調べてみると、新たな発見があって面白いかもしれませんよ。