1.宇多天皇
平安時代前期の天皇だった宇多天皇は、日本で最古の【猫の飼育記録】を記したと言われています。
宇多天皇が飼育していたのは、いとこである源精(みなもとのくわし)が宇多天皇の父親である光孝天皇に献上した黒猫です。
宇多天皇がしたためていた日記『寛平御記(かんぴょうぎょき)』には、愛猫の体の大きさや外見の特徴のほか、別の猫と比べてどれだけ優れているのかなどの「うちの子自慢」も書かれています。
日記内には「猫が優れているのではなく、父親から譲り受けた猫なのでかわいがっている」という記述もありますが、実際は手塩にかけて育てていたそうです。
2.一条天皇
日本の天皇の中で、猫に対して位を贈るほどの溺愛っぷりを見せたのが一条天皇です。
天皇の居住空間である内裏(だいり)へと出入りできる身分は限られていて、たとえ猫であっても勝手には入れませんでした。
一条天皇はこの問題を解決すべく『命婦の御許(みょうぶのおとど)』という名前を愛猫に与えました。
「命婦」は従五位下以上の女性のことを、「御許」は高貴な女性を指す言葉なので、一条天皇がいる内裏に入ることができる地位そのものを名前として付けたのです。愛猫に対する揺るぎない愛情が生んだ解決策だったのでしょうね。
今では猫に名前を付けるのが当たり前ですが、特定の猫に対して名付けをしたのは一条天皇が日本で初めてだと言われています。
3.ウィンストン・チャーチル
元イギリス首相のチャーチルは無類の猫好きとして知られ、私邸だけでなく公邸でも猫を飼っていました。
常に1〜2匹程度の猫を飼育していたというチャーチルは、88歳の誕生日に当時の秘書から贈られた茶トラの子猫「ジョック」を溺愛。ジョックと共に食事を楽しみ、むしろジョックがいないと食事を始めないほどだったようです。
チャーチルのジョックへの愛情は留まるところを知らず「チャートウィル・ハウス(チャーチル邸)ではジョックに似た茶トラの猫を永久に飼うこと」という遺言を書き残したそう。
チャーチルの死後チャートウィル・ハウスは英国政府に寄付され、現在では歴史的建造物の保護団体であるナショナル・トラストに管理されていますが、遺言の通り今でも茶トラの猫がジョックという名前を襲名して暮らしています。
4.フローレンス・ナイチンゲール
クリミア戦争時に野戦病院で看護師団とともに傷病者を献身的に看護し「クリミアの天使」と呼ばれたナイチンゲールもまた、大の猫好きである歴史的人物です。
ナイチンゲールは、亡くなるまでの生涯でなんと60匹以上もの猫を飼ったのだそう。とある時期には17匹同時に多頭飼育をしていたというのだから驚きです。
今でこそ色々な猫用の設備がありますが、当時10匹以上の多頭飼いをすることはかなり大変だったのではないでしょうか。
看護だけでなく、病院建築の分野でも頭角を現し多くの貢献をしてきたナイチンゲールをほっと癒してくれる存在が猫だったのかもしれませんね。
まとめ
歴史上の偉人たちも、猫への愛情や大切に思う気持ちは私たちと変わらないことが分かりましたね。本記事で紹介した4人の猫好きエピソードを見て、なんだか親近感が湧いたのではないでしょうか!
国内・海外問わず猫を愛する偉人はたくさんいます。知られざる一面が見えてくるかもしれませんので、他の方についてもぜひ調べてみてくださいね。