1.要求したいことがあるから
猫は言葉をもちませんが、要求はもっている動物です。たとえば、あたりまえのようにあるのが生理的欲求。食欲や睡眠などが満たされないとき、猫は飼い主さんになんらかのアクションで訴えかけます。
鳴いたり、甘えたり、粗相をしたり、猫のアピール方法は様々ですよね。その中の一つに「物を落とす」という行為もみられます。猫がわざと物を落としたときは、ごはんやおやつを欲しがっているサインかもしれません。
また心理的欲求においても、猫は物を落としてアピールすることがあります。たとえば、飼い主さんが趣味や作業に没頭している横で、わざと物を落とす場合は、かまってほしいサインです。「こっちを見て」「遊んで」といった期待を込めて、物を落とすのです。
なお、猫が物を落とした時にすぐに大きな反応してしまうと、「物を落とす=すぐに要求が通る」と認識してしまう可能性があります。猫の行動がエスカレートしないよう、対応は適度にするのがおすすめです。声を出したり怒ったりするのではなく、無視をするのが効果的ですよ。
2.「異物感」や「縄張りを荒らされている」と感じているから
猫は縄張り意識の高い動物です。古くは野生の動物だった猫ですが、家の中での暮らしが主流となった現代でも、縄張り意識は猫の本能に刻まれています。そのため、猫にとって家の中は「自分の敷地内」であり、さらに細かく分けると、室内にも「自分の場所」があるのです。
そんな猫にとって、これまで置いていなかった置物や雑貨などは、要確認の対象物です。ニオイを嗅いだり様子をうかがったりしますが、「この物体に縄張りを荒らされている」と認識すると、排除する(物を落とす)ことがあるのです。
ただし、単純に「ジャマ」という理由でも、猫はわざと物を落とします。自分の座ろうと思っていた場所から物をどかすという理由も大いに考えられます。
いずれの理由も、猫がその場所に物があるのが気に入らないということです。壊れて困るようなものを置かないことや、物を置く場合は猫の生活動線にかからない場所を選ぶとよいでしょう。
3.観察・確認したいから
猫は初めて目にした物に対して、安全性や特徴を観察することがあります。これは、好奇心や探求心からくるものです。
基本的にはニオイでチェックするのですが、物を落として、落下する様子や落下後の状態を観察・確認することもあります。「これは動かせる物なのか?」「落としたらどうなるのか?」など、実体験から自分の経験値を高めているのです。
4.単純にじゃれているだけ
わざと物を落とす行動が、猫の心理とは全く関係のないこともあります。
たとえば、ペン立てに「耳かき」が立っていたとします。耳かきの先にフワフワの「梵天(ぼんてん)」が付いているタイプだと、猫はその「梵天」で遊びたくて、ペン立てを倒したり、棚から落としたりするのです。
このように、結果的に物を落としてしまっているだけで、理由はただ単純に遊んでいるだけ、という場合もあります。
まとめ
猫が「わざと物を落とす」理由には、なにか要求がある場合をはじめ、観察行動や縄張り意識など、いろいろな心理が働いてのことです。心理によって対処法はいろいろですが、基本的に飼い主さんはリアクションをとらないことをおすすめします。
また、一度落とされた場所と同じ場所に物を置かないこと、落とされて困るものは置かないこと、なども対処法としてはおすすめです。
甘えることにより要望が通ることを待つより、物を落とす方が「即効性がある」と感じる猫もいます。それを学習してしまうと、物を落とす習慣がついてしまうので注意が必要です。
愛猫からの要求にはできる限り応えてあげたくなるものですが、愛猫のためにも心を鬼にして、無視をするのがよいでしょう。