1.「おとなしくなる」説
『満月のとき、猫はおとなしくなる』という説が濃厚です。理由は、猫のもつ狩猟本能によるもの。満月の夜は新月のときより明るいため、自分の姿が隠れにくく、獲物の方も用心をするため出没率が低くなるといわれています。結果的に、獲物に逃げられやすく、狩りの効率が悪いというわけですね。
またハンターである猫の方も、明るい夜は自分の身を案じなければなりません。他の動物からは獲物として狙われるからです。そのため身を隠しにくい月明りの下では、天敵に襲われる心配があります。
だからこそ満月の日は、いつもより猫がおとなしくなるといわれています。実際、いつも「夜の運動会」をはじめる時間帯になっても、くつろいでいたり、じっくりグルーミングをしたりする姿が目にされています。
2.「うるさくなる」説
猫の狩猟本能という根拠から「おとなしくなる」と言われている一方で、「うるさくなる」という意見もあります。ふだんはおとなしいのに、急に声をあげて鳴いたり、ベランダに出たがったり、中には飛びついたり、噛みついたりする事例も耳にしますね。
しかし、それら猫の興奮行動は、必ずしも満月だけが理由とは限りません。発情期や猫のストレスや生活環境にも左右されるので、満月という理由はあくまでも一説にとどめておくのがよいでしょう。
なお、月の満ち欠けと人間の精神状態について関連があるとつづられた書籍等の説もあります。科学者により否定された理論ではあるものの、まったくの無関係と思えない人もいるようです。
たとえば、満月には犯罪や事故が多い統計があったり、英語で「ルナティック(狂気)」という言葉があったりするのもこれらの影響かもしれません。なお、「ルナティック」は、「月が人を狂わせる」というヨーロッパの文化に由来した言葉です。
3.「体調不良になる」説
月の満ち欠けは、人間の体に影響するという説があります。東洋医学においては、月の引力が体の水分量や血のめぐりに影響したり、頭痛や眠気の原因になったり、自律神経を乱したりすると考えられることもあるようです。
これは人間だけでなく、猫も例外ではないようです。科学的な裏付けはないものの、満月の日に、体調不良で動物病院にかかったり、亡くなったりする猫が多いという事例は多少なりあります。
満月の日に猫が体調不良になるというのは、基本的には迷信かと思われます。ただし、現代の科学では証明されていないだけで、もしかしたら何かしらの力が働いているのかもしれませんね。
まとめ
「満月と動物」といえば、狼を思い浮かべることもあるのではないでしょうか。満月に向かって狼が遠吠えをするイメージが先行すると、「猫も満月に興奮するのでは?」と、思いやすいようです。しかも、猫の瞳孔は月の満ち欠けに似ていることから「月の動物」とも言われ、古来より月との関わりが深いと思われやすいようです。
月の神秘的な印象と、猫のミステリアスな雰囲気は、数々の説に臨場感を与えやすいのですが、ほとんどの説が迷信や都市伝説の枠を超えません。それぞれの説を整理したところ、満月と猫の関係でもっとも納得できるのは「おとなしくなる=狩猟本能の事情」かもしれませんね。
猫と満月の関係は、まだまだ未知の領域です。愛猫を観察して、その結論を提唱してみるのも楽しそうですね。