猫の「鼻」の驚くべき使い方とは
小さくて可愛らしい猫の鼻。実は単に呼吸をしたり、匂いを嗅ぐためだけの器官ではないのです。
ここでは、猫の「鼻」の人間とは明らかに異なる使い方について紹介いたします。
1.温度を測る
猫の鼻は温度計のような役割を持っており、鼻から取り込んだ空気を0.5℃の違いまで判別することができます。
この能力があることで、危険な温度との接触を避けることができます。もちろん、誤って熱いものを食べてしまうというミスも起こりません。
2.匂いの分析を行う
猫の鼻腔と上顎の間にはヤコブソン器官というものがあり、匂いの分析を行うことができます。分析中は口を半開きにして、ぼーっとした表情を浮かべます。そう、いかにも臭そうにしているあの顔のことですが、これは「フレーメン反応」と呼ばれます。
猫の鼻を通して分析できる匂いは、他の猫のにおい・猫以外の動物の匂い・フェロモンのにおいなどがあります。この能力を生かすと、気になる異性能動パターンを把握することができます。
3.食べ物を嗅ぎ分ける
さらに通常の嗅覚も優れています。その能力は、人間の約数万〜数十万倍だといわれています。これにより、安全に食べられるものもそうではないものを嗅ぎ分けることが可能になるのです。
野生界や外の世界では、腐敗したものを口にすれば命取りです。そのため、酸っぱい匂いは避ける傾向にあります(腐敗臭に似ているため)。
4.縄張りを守る
猫は自身の縄張りや、お気に入りの場所にフェイスフェロモンを付着させます。このフェイスフェロモンは、頬から放出させるフェロモンで人間には感知できないものです。
しばらくした後も頻繁に縄張りやお気に入りの場所の匂いをチェックして、縄張りが荒らされていないことを確認することで、自分の縄張りを守るのです。
5.表面を湿らせる
猫の鼻に触れると、じんわり湿っていることがありますよね。健康な猫は、適宜鼻を湿っている状態にすることで、匂いの粒子をかき集めたり、体温調節を行ったりしています。
この機能が備わっていることで、ここまで紹介してきた能力が存分に発揮されることになります。
ちなみに、常に湿り気があって鼻水が出ている状態の場合は、風邪や鼻炎などの可能性があります。こちらは治療が必要なケースが多いので、病院での診察を受けてください。
まとめ
今回は、人とは違う猫の「鼻」の使い方を紹介いたしました。どれも、猫が生き抜くために必要不可欠なものばかりでしたね。
時々目にする不思議な表情の真相も、ヤコブソン器官を使った分析(フレーメン反応)だということが分かりました。
毎日美味しく食べられることも、飼い主さんの存在を覚えていられるのも、実は「鼻」のおかげ。猫にとっては大切なパーツなので、飼い主さんも気にかけてあげてください。
最後に余談ですが、猫の鼻には鼻紋(びもん)があります。これは人間でいう指紋のことで、個体を識別する手がかりになります。