猫は外に出たがっているの?
一昔前の猫は、家の中と外を自由に行き来していることが多かったため、その状況を知っている場合(完全室内飼育は猫にとってかわいそうだ)と考える方もいまだに多いようです。
しかし、決してそんな事はありません。自分の縄張りの中で毎日同じことをして暮らせることは、猫にとっても安心して心地良く暮らせる環境なのです。「猫も外に出て自由に行動したいはず」というのは、実は人間の勝手な思い込みなのかもしれません。
ただし、一度でも外で暮らした経験のある猫は、少し事情が異なります。外も自分の縄張りだと思っているため、縄張りのパトロールをするために外に出たがるからです。元野良猫ではなくても、一度脱走経験のある猫は外も自分の縄張りだと思うため、パトロールしようと繰り返し脱走したがる傾向があるといいます。
では、なぜ外で暮らしたことのない猫が脱走してしまうのでしょうか。その理由は主に2つあります。1つは発情期による相手探し、そしてもう1つは何か興味を惹かれるものが外にあったからです。
たとえどのような理由であっても、外の世界は猫にとって厳しく過酷です。愛猫のためにも「うっかり外に出してしまった」などということのないように、脱走対策をするのは飼い主さんの義務であり、責任でもあるといえるでしょう。
猫の「脱走」を防ぐ簡単な対策法
ではここからは、猫の「脱走」を防ぐ簡単な対策法について解説します。元野良猫や一度でも脱走経験のある猫と暮らしている場合には、今一度確認しておくことをおすすめします。
1.玄関の開け閉めに細心の注意を払う
最も猫が脱走しやすい場所が、玄関です。飼主さんが外に出る時や、宅配の荷物を受け取っている時などに、気づかれずにそっと外に出てしまうことが多いのです。
基本的には愛猫が玄関に来られないようにする、玄関を開けっ放しにしないなど、玄関の開け閉めには細心の注意を払う必要があります。
2.窓を開けっ放しにしない
玄関の次に猫が脱走しやすい場所が、窓です。特に窓の下枠が床面と同じ高さになっている窓は、猫にその気がなくてもいつの間にか外に出てしまう危険な場所です。
外に出てしまうと、慣れない音などに驚いてパニックを起こし、迷子になってしまう場合もあるでしょう。玄関同様、窓も開けっ放しにしないことを習慣付けましょう。
3.行動範囲を制限する
玄関や窓の開け閉めに細心の注意を払うことは大前提の上で、最も基本的で簡単な対策法が、愛猫の行動範囲を制限することです。
市販の脱走防止柵や、100均ショップなどで入手できる材料で自作した柵を、玄関や窓の前に設置しましょう。
4.窓や網戸を開けられないようにロックする
猫は高い学習能力を持っているため、飼い主さんの行動を観察しています。重そうに見える窓も、少しの隙間があれば体をねじ込んでこじ開けてしまいますし、網戸であれば爪を引っ掛けて開けてしまいます。
窓や網戸に関しては、市販品のロックを利用して対策しましょう。
5.爪を引っ掛けても破れない網戸に変更する
猫が爪を引っ掛けて網戸の網に穴を開け、突き破ってしまうこともあります。
樹脂コーティングされたり、爪が引っかからないほど細かい網目の網戸に変更することも、愛猫の脱走対策として簡単に取れる対策法です。
脱走対策で失敗しないためのポイント
愛猫の脱走対策で失敗しないためには、とにかく『家の中と外を繋ぐ通路を塞いで、猫が通れなくすること』が、脱走を防ぐ基本的な対策法です。
そのためには、玄関や窓といった通路となる部分の開け閉めに細心の注意を払うと同時に、通れなくするための柵を設置することが簡単で確実な方法でしょう。
その際に失敗しないための重要なポイントの1つ目は、「柵の高さ」です。
犬や人間の赤ん坊とは異なり、猫には自分の体高の5倍程の高さにもおよぶジャンプ力があります。猫によっては2m以上もジャンプできるということを忘れてはいけません。
ポイントの2つ目は、「隙間の幅」です。
猫はもふもふの被毛に覆われているため、見かけは大きく見えても実際の体は細いです。また、猫の鎖骨は他の骨と連結していないため、頭が通る幅であれば肩をつっかえずに通り抜けてしまいます。頭の小さい猫であれば、6cm程度の幅でも通り抜けられるということを忘れてはいけません。
他にも、鳩よけネットを設置した上で愛猫をベランダに出すご家庭もあるようです。
ただしこの時に注意したいのは、ネットの強度です。純粋な鳩よけネットの場合、強度の問題で猫の脱走対策には使えない場合が多いため、専門業者にきちんと目的を説明した上で、問題のない強度のネットを外れないようにしっかりと設置してもらう必要があります。
まとめ
猫は保守的な動物のため、自分の縄張りの外に出たり、いつもと異なる出来事が起こったりすることで不安になり、強いストレスを感じます。そのため、発情やパニックなどという状況ではない限り、積極的に縄張りの外に出たり必要のない刺激を求めたりすることは、基本的にはありません。
しかし、一度外を自分の縄張りだと思うと外に出たがるようになりますし、何か気になるものをみつけた時にたまたま外に出られてしまうこともあるのです。
愛猫を安全でストレスのない環境で快適に過ごさせるためには、外に出る機会を与えないことも飼い主さんの責任だといえるでしょう。今回ご紹介した猫の脱走対策法を参考にしていただければ幸いです。