1. サファイアブルー(濃い青)
青色の目をもつ猫がいますが、実は瞳の色そのものが青色というわけではないことをご存じでしょうか。
猫の瞳には本来「色」というものは存在せず、正確には瞳の周りにある「虹彩(こうさい)」と呼ばれる膜の色によってさまざまな目の色が生じています。
透明な目の中には、太陽光の中の有害な紫外線から保護するための「メラニン色素」というものがあり、そのメラニン色素の含有量によって、目の色(虹彩)が、緑や琥珀色に見えるという仕組みです。
猫の目の色がさまざまある中で、もっともメラニン色素の量が少ない猫に見られるのが「サファイアブルー」です。その名の通り、瞳は宝石のサファイアのようにとても魅惑的。
そしてサファイアブルーの瞳をもつ代表的な猫種は「シャム」です。シャムは、サファイアブルーの目であることではじめてシャムと認められます。
ほかにも、ラグドールとヒマラヤンも、目の色はサファイアブルーのみの猫です。
2.アクア(淡い青)
前述したように、猫の瞳(虹彩)は、メラニン色素の量によって色の見え方が変化します。メラニン色素の多い方から「褐色系(カッパー)」、「黄系(イエロー・ゴールド)」、「緑系(グリーン・ヘーゼル)」と順にならびます。青系は、もっともメラニン色素の量が少ないものです。
そんな青系もさらに3段階に分れていて、最もメラニン色素が少ないのがサファイアブルーですが、こちらの「アクア(淡い青)」は、青系の中でもメラニン色素が多いものです。アクアの瞳(虹彩)は、爽やかな水色が特徴的で、宝石のアクアマリンのようにキラキラと優しいブルーが印象的です。
アクアの瞳(虹彩)は、ペルシャやラガマフィンなど多くの猫種に見られ、青系はアクアだけという猫種はいません。
3.ブルー
メラニン色素の少ないサファイアブルーと、青系の中ではメラニンの多いアクアの中間に位置するのが「ブルー」です。
青系の瞳(虹彩)の中ではブルーだけという猫種は、アメリカンショートヘア、ノルウェージャンフォレストキャット、メインクーンですが、そこまで多くありません。「ブルーは、どんな青?」と気になる人は、先述した猫種で青色に見える目をチェックしてみるとわかりやすいですよ。
サファイアブルーは神秘的で、アクアは神々しく、それに比べて中間となるこのブルーは、まさに惑星のようです。
世界には「究極のブルーアイ」と呼ばれる猫もいて、その吸い込まれそうな青い目をもつ猫種はブリティッシュショートヘアです。ブリティッシュショートヘアは青系だとブルーしかいないため、ブルーも他の青系に引けをとらぬ美しさであることがわかりますね。
4.キトンブルー
実は、生後2カ月までの子猫のほとんどが、グレーがかった青い目をしていて、この目の色は「キトンブルー」と呼ばれています。
生まれたばかりの猫は、まだメラニン細胞が整っていません。先述したとおり、メラニン色素が少ないと青系の目に見えるため、子猫のときは「青色の目(キトンブルー)」となるのです。
キトンブルーは尊いほど美しい青ですが、いわば期間限定の青い目。生後8カ月を過ぎるころには、本来なるべきはずの目の色に変化していきます。
5.オッドアイ
左右の目の色が違う「オッドアイ」をご存じでしょうか。片方が淡青色で、片方が黄色目のことが多く、この目を持つ猫は縁起がいい、とも言われています。
一般的にオッドアイは白猫に多く、左右の眼の色が違うのは、メラニン色素の量が左右で異なることが原因です。
白猫はメラニン色素を制御する遺伝子(白色遺伝子)をもっているため、基本的にオッドアイの多くが白猫であることがわかります。
まとめ
今回は猫の魅力的な「目の色」として、青系を中心に掘り下げて解説いたしましたが、もちろん猫の目はどの色でも魅力的です。
グリーン系はエメラルドやペリドットのような美しさで、黄色やゴールド系はシトリンやトパーズのようで既に「アンバー(琥珀)」という宝石の呼び名がついているほど。褐色についても「カッパー(銅)」という金属の名で呼ばれています。
猫の目は、どの色に見えても宝石のようにキラキラして奥深い美しさがありますので、もし興味があれば、猫に嫌われない程度に瞳を観察してみてくださいね。