猫にとって大切な寝床
猫の語源は寝子であるといわれているほど、1日に占める睡眠時間が長いのが猫の特徴です。そんな猫にとって、寝床は猫の生活の質を高めるためにとても大切な場所だといえるでしょう。猫だって、安全で落ち着ける、寝心地の良い寝床で寝たいはずです。
猫専用の寝床の選択肢としては、大きくベッドとハンモックの2つに分類できます。果たして、猫はベッドとハンモックのどちらをより好むのでしょうか。それぞれのメリットやデメリットを紹介し、愛猫のための寝床の選び方について考えてみたいと思います。
「ベッド」のメリットとデメリット
まずは、猫に「ベッド」を用意するメリット・デメリットについて解説します。
「ベッド」のメリット
一言で「猫用ベッド」と言っても、その形状は実にさまざまです。身を隠せるようなハウス型のもの、天井部分がなく開放的なオープン型、その両方の要素を兼ね備えている2段ベッド型、吸盤などで窓に貼り付けるタイプなどがあります。素材も豊富です。この豊富なバリエーションが、猫用ベッドのメリットの一つだといえるでしょう。
ベッドは直接床に置くため、体重制限もなく多少サイズが合わなくても安全に使用できるというのもメリットの一つです。高さがないため、シニア期に入った後も安心して使い続けられます。
ベッドはハンモックのように吊るす必要がなく、基本的にはただ置くだけなので、臨機応変に設置場所を変えられるというのもメリットです。
「ベッド」のデメリット
一方デメリットとしては、高い場所に設置した場合、ベッドごと転落してしまう危険性があるという点が挙げられます。棚の上などの多少高さのある場所に設置する場合は、棚の広さなどに余裕のある安全な場所を選ぶ必要があります。
ハンモックと異なりベッドは直接床に置くため、接地部分の通気性はハンモックに劣ります。
高い場所に吊るすハンモックと比べると、揺れるなどの遊びにつながる要素が少ないことも、若い猫にとってはデメリットといえるかもしれません。
「ハンモック」のメリットとデメリット
では、猫が「ハンモック」を使う場合のメリット・デメリットにはどのようなことが考えられるでしょうか。
「ハンモック」のメリット
猫用のハンモックには、基本的には『吊るすタイプ』と、台座があって『床に置けるタイプ』の2種類の形状があります。吊るすタイプのハンモックは、ケージの中や階段の手すり、机の脚などいろいろな場所に取り付けられるというメリットがあります。
猫自身の体重で体が沈み込み、全身がくるまれるような状態になるため、眠っている時に猫がとても安心できる環境になるというのも大きなメリットだといえるでしょう。
床面から離れているため、ベッドに比べて通気性が良いのもメリットの一つです。この「床面から離れている」という点に関しては、寝床が揺れることを遊びの要素として楽しめる猫もいることでしょう。
「ハンモック」のデメリット
ハンモックの最大の特徴である「吊るす」という形状から、愛猫の成長によりサイズや耐荷重が合わなくなることがあるというデメリットがあります。同じく、サイズや耐荷重に問題がなくても、素材の経年劣化による事故も考えられるため、こまめなチェックとメンテナンスは欠かせません。
ハンモックは床面よりも高い場所に吊るして使用するため、シニア期以降の猫は安全に上り下りができなくなることもあります。また若い猫であっても、使用状況によっては転落事故もありうることは考慮しておくべきでしょう。
一度設置してしまうと、ベッド程には容易に設置場所を変えられないというのも、ハンモックのデメリットといえるかもしれません。
結局猫はどっちを好むの?
ベッドにもハンモックにも、それぞれにメリットとデメリットがあることが分かりました。
結局、猫が寝床を選ぶ場合に重要なのは、ベッドかハンモックかという点よりも、寝心地の良さや落ち着ける場所であることの方が重要なように感じます。
家の中の居心地の良い場所は、季節や時間帯によっても異なります。そのため、猫にとって居心地の良い寝床を複数箇所に設置することが、愛猫にとって最もベストな環境になるのではないでしょうか。
その際、愛猫の性格がとても臆病なのであれば、隠れ家としても使えるハウス型のベッドも用意したり、愛猫が高齢になってきているのであればハンモックを止めて、そろそろベッドのみに切り替える、というような愛猫の年齢や状態に応じた配慮をすると良いでしょう。
まとめ
一日の大半を寝て過ごす猫にとって、寝心地の良い寝床はとても大切な場所です。そのため、飼い主さんはベッドやハンモックなど、愛猫に最適な寝床を提供しようと考えます。
最上の寝床を一つ提供するよりも、愛猫の性格や年齢を考えて、ベッドやハンモックを複数箇所に設置し、自由に選んでもらえる環境を整えることが、愛猫にとってベストな事かもしれません。