猫の「症状があらわれにくい病気」とは
そもそも猫は自分の体調不良を隠しがちなのですが、「症状があらわれにくい病気」にかかってしまうと、さらに飼い主とっては気付くのが遅れてしまう危険性があります。
手遅れにならないように、必要な知識として頭に入れておきましょう。
1.慢性腎臓病
慢性腎臓病は、症状が分かりづらく、飼い主さんが気付かないうちに発症している場合が多くあるようです。
腎臓の役割として、猫の体の中の毒素や不要な老廃物を尿として出す働きがありますが、この腎臓の働きが十分に機能しない状態が継続的に続くことで発症します。
ウイルス性の感染症や心筋症というような心臓の病気、尿路結石、加齢などの様々なきっかけから発症する可能性があるとされています。
初期症状でよく見られるのが「多飲多尿」です。
水をよく飲むので、トイレの回数や尿の量が増えますが、腎機能の低下によって濃い尿を排泄できません。薄い色の尿がみられるのが特徴的です。さらに症状が進むと、嘔吐や食欲不振などが目立つようになりますが、病状によっては早急に治療を行わなければ命にも関わる場合もある病気です。
2.甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、8歳以上の高齢猫が発症する確率が多い病気です。
代謝をあげるための甲状腺ホルモンを過剰に分泌することで発症します。病気になっていると気付きにくいのは、「目力が強まる」「元気に動き回る」「食欲が増進する」といった病気には見えない行動を起こすためです。
新陳代謝が異常に活発になる影響で攻撃的になったり、頻繁に鳴く様子もみられます。病気が進行したころには、嘔吐や下痢などの消化器症状があらわれ、食欲や体力が低下してしまいます。
3.猫免疫不全ウイルス感染症
通称「猫エイズ」とも呼ばれるウイルス性の病気です。感染している外猫たちと濃厚接触することで感染しやすいと言われています。
感染した直後は、ほとんど目に見えて分かる症状がありません。猫の免疫機能が抑制されて全身にあらゆる症状を起こすため、症状のあらわれ方には猫によっても個体差があるでしょう。
無症状の期間を経て発症すると、「発熱」「下痢」「体重の減少」「歯肉口内炎」などの多くの症状が現れます。
猫エイズのウイルスは人に感染することはありませんが、外を自由に行き来する猫は、同居猫などの周囲にも感染を広げてしまう恐れがあります。ワクチン接種や室内飼育の徹底で予防することが大切です。
猫の病気になるべく早く気付く方法は?
- 定期的な健康診断
- かかりつけの獣医師へ相談
症状があらわれにくい猫の病気は、症状が目に見えて分かるころには病気が進行していることが多いようです。食欲の増減や排泄の異常、今までになかったような行動の変化があれば、病気のサインである可能性があります。
なるべく早い段階で病気を発見するためには、「動物病院での定期検診」が何よりも有効になるでしょう。血液検査や尿検査を受けることによって思わぬ病気を発見できる可能性が高くなります。
まとめ
猫は周囲に体調が悪いことを隠す動物です。病気を発症した初期の段階では、猫の元気な様子がみられるので、飼い主さんが気付かないうちに密かに病気が進行していたということも少なくありません。
しかし、猫の日常生活の中に病気のサインがあらわれている場合も多いため、不安に思う事や違和感を感じたら、その後の行動をよく観察してみましょう。猫の健康を守るには、少しの異変を見過ごさないこと、かかりつけの獣医師さんへ相談してみることが大切です。
7歳以上の猫は発症しやすい病気も増えてきます。病気の早期発見と早期治療のためにも、年に1、2回の健康診断を心がけていきたいですね。