猫のしつけ方
「うちの子はいたずら好きで」とか「噛み癖が直らなくて」と悩まれている飼い主さんは、多いと思います。どんなにかわいくても、頻繁にかまれたり家具を傷つけられたりしたら、愛情深い飼い主さんでも参ってしまうことでしょう。
よくいわれている通り、猫へのしつけは簡単ではありません。猫が集中できる時間はわずかな間だけですし、犬のようにトレーニングを楽しむことも苦手です。そのため、できるだけ猫がいたずらをしないような環境づくりが、問題解決の第一歩です。
もちろん、猫も犬と同じくらい高い学習能力を持っているため、しつけは可能です。学習方法も、基本的には犬と同じです。
行動の直後にご褒美や罰を与えることで、「これをすると良いことがある」とか「これをすると嫌なことがある」と覚えます。ご褒美も罰も、行動をした直後に与えることがポイントです。
気を付けなければならないのは、罰の与え方です。猫が行動する場合、そこには必ず理由があります。それがかなわないことが罰になります。例えば飼い主さんにかまって欲しくていたずらをした場合、無視することが罰になります。
この考え方を理解した上で、時間をかけて根気良く何度も繰り返し教えることで、猫にもしつけをすることができるのです。
いたずらや噛み癖には理由がある
まずは猫のいたずらや噛み癖の理由について考えてみましょう。
私たちは、室内に家具や装飾品を配置することで日々の生活に潤いを与え、豊かな人生につなげようと考えます。そのため家具や装飾品は、実用性を持ちつつも鑑賞に値する物として扱います。しかし猫にはそのような感覚はありません。
自分の通り道に鉢植えや装飾品があれば、それは単なる邪魔な物なのでどかして進むまでです。縄張り内の重要な場所に置いてある家具は、マーキングのための爪とぎ器として格好のターゲットです。
乳歯が永久歯に生え変わる際のムズムズ感を解消するために身近な物にかみついていた行動が習慣化してしまい、噛み癖になってしまうことは珍しいことではありません。また子猫の頃から飼い主さんの手や足で遊んでいた猫は、手や足が獲物に見えるでしょう。
テーブルの上やゴミ箱の中から美味しそうなニオイや気になるニオイがすれば、惹きつけられてつまみ食いやゴミ箱漁りをしてしまうでしょう。
このように、単なるいたずらのように見える猫の行動も、猫にとってはいたずらではなく、ごく自然な行動の一部なのです。このことを理解することが、いたずらの防止や噛み癖を直すことにつながります。
猫の「いたずら・噛み癖」の防止策
では、猫がするいたずらや噛み癖の防止策としてはどのような方法があるのでしょうか。
1.転倒防止グッズの活用
帰宅したら花瓶や装飾品などが倒れたり、棚の上から落とされたりしていた場合は、猫にとって邪魔だったためにどかした結果だと考えられます。また、避けようとしたのにうっかり落としたら楽しくなってしまい、癖になった可能性もあります。
さらに、飼い主さんの在宅中にわざと物を落とす場合は、過去の経験から、飼い主さんの気を引くためにアピールしている可能性もあります。
おすすめの対策としては、以下のような方法がおすすめです。
- 猫が普段よく猫が通る場所には物を置かないようにする
- どうしても必要な物には「転倒防止グッズ」を活用する
- 入られたくない場所には入れないようにする
なお、もし飼い主さんの気を引きたがっている場合は、「何?」などと声をかけずに無視することです。
2.爪とぎ器の設置
椅子やソファ、テーブル、棚などの家具や壁などで爪とぎをするのは、その場所が縄張りの中でも特に重要な場所である可能性が高いです。同居猫との縄張りの境界線だったり、飼い主さんがよく使う場所だったりするのではないでしょうか。
爪とぎをされたくない場所にはシート等でガードをし、すぐ近くに専用の爪とぎ器を設置しましょう。また、自分の気持ちを落ち着けるために爪とぎをすることもあります。できるだけ愛猫がストレスを感じない生活環境を整えてあげることも大切です。
3.いたずら防止スプレーの活用
歯が生え変わる時期はムズムズするため、その不快感を解消したくて目につく物にやたらとかみつくようになります。コードなどの危険なものにはカバーを付け、猫がかんでも問題のないぬいぐるみや蹴りぐるみを与えてそれにかみつかせましょう。
また、よくかみつく物にいたずら防止スプレーを吹き付けておき、猫が嫌うニオイや苦味を付けておくのも良いでしょう。ただし、効果の有無は猫によって異なります。
4.必ずおもちゃで遊ぶ
飼い主さんの手や足をかんだり引っ掻いたりする場合は、手や足の動きが獲物に見えたからだと考えられます。猫は人と一緒に暮らすようになっても狩猟本能を持っているため、獲物のように小さくて素早く動く物を捕まえずにはいられないのです。
一緒に遊ぶ場合は、必ずおもちゃを使いましょう。直接手や足で遊ばせると、手や足は遊び道具だと覚えてしまいます。また気が障るようなことをされたときにも、かみつくことがあります。尻尾の動き等から猫の気分を察知し、かまい過ぎないようにすることも大切です。
5.食べ物を置きっぱなしにしない
気になるニオイがすれば探りたくなり、美味しそうなニオイがすれば食べたくなるのが当たり前です。
高いテーブルや棚の上でも、食べ物を置きっぱなしにしないことです。ゴミ箱は、蓋付きの物を使用しましょう。
まとめ
愛猫のいたずらや噛み癖に悩まれているにも関わらず、猫にしつけはできないと諦めてはいませんか。
猫の行動には必ず理由があります。まずは愛猫の行動の理由を探り、それを排除することでいたずらを防ぎましょう。その上で、根気強く繰り返ししつけることで、いたずらや噛み癖をやめさせ、して欲しい行動を促せるようになります。
猫のしつけには時間がかかりますが、根気よく続けることで成果が見られるはずなので、粘り強く頑張りましょう。