猫の性格と毛色の関連性
猫の性格は、遺伝、社会化期の過ごし方、生活環境、飼い主の接し方などの複数の要因が、それぞれに影響しあって形成されます。それに加えて、猫の毛色によってもある程度の傾向が見られるといわれています。
毛色と性格の関係性は主観的なものだと思われるかもしれません。しかし、最近は専門家による研究も進められています。
猫の毛色のバリエーションが増えていった経緯
そもそも猫の祖先であるリビアヤマネコの毛色は、とてもシンプルです。ベースの色は灰色または薄い茶色です。そこに褐色から黒の縞模様が全身に、そして額にはMの、目の横にはクレオパトラのような縞模様が入ります。
人間の近くで暮らすことで食事が保証されると、栄養状態が安定します。それで繁殖サイクルが早まり、突然変異の出現率が上がり毛色のバリエーションが増えていったと考えられています。
また自然の中ではカムフラージュしづらかった毛色の猫も、人と暮らすことで生存率が上がり、子孫を残せるようになっていったでしょう。さらには、人が「見た目」を重視して品種改良してきたことも、毛色のバリエーションを増やすことに大きく貢献したでしょう。
このような要素を考えると、毛色を決定する遺伝子と性格に影響を与える遺伝子に、関連性があってもおかしくないように思えます。
今回は、2010年に東京農業大学がまとめた毛色別の猫の性格の特徴を参考に、毛色と猫の性格についてご紹介します。
猫の毛色でわかる性格のパターンと接し方
研究では、244匹の猫の飼い主に対し、毛色のパターン別に17項目の性格要素を5段階評価してもらいました。得点が高いほど強い傾向だという評価です。
どの項目も1〜3点台という結果でしたので、3点台を高得点、1点台を低得点として抽出してみました。
1.茶トラ猫はおっとりした甘えん坊
茶トラの結果
- 高得点:おとなしい、おっとり、温厚、甘えん坊、食いしん坊
- 低得点:攻撃的、気が強い
茶トラ白の結果
- 高得点:甘えん坊、おっとり、温厚、賢い
- 低得点:攻撃的
全体的にトラ柄は甘えん坊な傾向が高く、その中でも茶トラはおとなしくおっとりと温厚で攻撃性が低いという傾向があります。猫と初めて生活する方でも飼いやすい、フレンドリーな性格だと言えそうです。
一緒に遊んだりスキンシップを図ったりする時間をたくさんとると良いでしょう。食いしん坊な面があるため、肥満にさせないようにしっかりとした食事管理も大切です。
2.キジトラ猫は好奇心旺盛で人懐こい甘えん坊
キジトラの結果
- 高得点:甘えん坊、賢い、好奇心旺盛、食いしん坊、人懐こい
- 低得点:なし
キジトラ白の結果
- 高得点:甘えん坊、人懐こい、好奇心旺盛、活発、おっとり、賢い
- 低得点:攻撃的
キジトラ柄は、甘えん坊な性格に加えて好奇心旺盛で賢く人懐こい面も強いようです。
日常生活の中に新しい刺激が絶えないように工夫をし、一緒に遊ぶ時間をたっぷりとると良いでしょう。また食いしん坊な面もあるため、食事管理も大切です。
3.三毛やサビはお姫様気質
三毛の結果
- 高得点:甘えん坊、賢い
- 低得点:なし
サビの結果
- 高得点:気が強い、警戒心が強い、臆病、わがまま
- 低得点:従順
三毛は黒と茶と白、サビは黒と茶の毛を持つ猫です。性染色体異常の猫を除き、黒と茶の二色を持つ猫はメスのみです。そのため性差による特徴もあるかもしれませんが、一般的にはマイペースでお姫様気質だといわれています。
ツンデレに見えても三毛は甘えん坊の面が強いため、甘えてきた時にはしっかりとスキンシップをとりましょう。
サビは警戒心が強いため、臆病でわがままに感じられるようです。安心してくつろげる隠れ家を、家の中の複数箇所に用意しましょう。
4.賢い白猫
白の結果
- 高得点:賢い
- 低得点:なし
白猫は自然界の中では目立ちすぎるため、生き残るために慎重になったといわれており、それが賢さという形で出ているようです。
賢いということは慎重で警戒心の強い面があるため、あまりベタベタせず、適度な距離感を保つと良いでしょう。心地よい距離感がみつかると、よく懐いてくれるでしょう。
5.甘えん坊な黒猫
黒の結果
- 高得点:甘えん坊、好奇心旺盛
- 低得点:なし
黒猫は好奇心旺盛な甘えん坊です。毛を黒くするメラニンの原料となるトリプトファンは、精神を安定させるセロトニンを作るので、性格にも影響しているかもしれません。
日常生活の中で常に新しい刺激を与えられるような工夫をした上で、一緒に遊んだりスキンシップを図る時間をしっかりと確保すると良いでしょう。
6.色の割合で性格が異なるブチ模様
黒白の調査結果
- 高得点:甘えん坊、食いしん坊、好奇心旺盛、活発、おっとり、人懐こい
- 低得点:なし
ブチ柄の場合、白の割合が多いほど白猫の性格に似る傾向があるといわれています。逆に黒い部分が多いと、甘えん坊な面が強く出るようです。
一緒に遊ぶ時間やスキンシップの時間をしっかり確保し、肥満にしないために応じられるままにおやつを与えず、しっかりと食事管理をしましょう。
まとめ
猫の性格は、さまざまな要素が複雑に絡まり合って形成されます。毛色だけで性格を論じることはできませんが、ある程度の傾向を予測し、意識して接することで愛猫との適切な接し方がみつかるかもしれません。
毛色と性格の研究はまだ始まったばかりですので、今後も新たな発見が報告されるでしょう。楽しみに待ちたいと思います。