1.真っ白な毛皮を作る
「W遺伝子(白色遺伝子)」は白い毛色を作る遺伝子です。これがあると、他の毛色の混じらない真っ白な猫が生まれます。
子猫のときに頭の上に「キトンキャップ」「ゴーストマーキング」と呼ばれる薄い茶や灰色の毛が出ることはありますが、すぐに消えてしまいます。
ちなみに白黒やキジ白など、白い斑(まだら)模様が入るのはW遺伝子ではなく、「S遺伝子」という白斑遺伝子のしわざです。
2.必ず白い毛色になる
W遺伝子が最強なのは、この遺伝子1つで毛色が真っ白になる点です。
W遺伝子は優性遺伝子で、もともと強い遺伝子です。しかしどの毛色遺伝子の影響もおおい隠してしまうため、「マスキング遺伝子(遮蔽遺伝子)」とも呼ばれています。
3.白い肌とブルーやグリーンの目を作る
W遺伝子は毛を白くというより、メラニン色素を作る活動を抑える遺伝子ともいえるでしょう。そのため色素が薄い白猫の肌は白く(実際は血の色が透けてピンク色)、目の色はブルーやグリーンなど薄い色が多いのです。
なお、同じ白でもアルピノ(先天性色素欠乏症)は全く別の遺伝子の影響で起こります。見分け方は目の色で、血の色が透け目が赤く見えるのが大きな特徴の1つです。
W遺伝子のマイナスポイント
白猫は世界中で珍重され愛されてきましたが、W遺伝子の存在は猫にいいことばかりではありません。
日光に弱い
メラニン色素の役割は、危険な紫外線を含む太陽光から体を守ることです。
しかし、色素を作る力が弱いということは、光をさえぎる力が弱くなり、皮膚や目にダメージを受けやすくなるのです。
聴覚異常を引き起こす
白猫が生まれるプロセスは、なぜか聴覚に影響を与えます。
白い猫は耳の悪い猫が多く、目の色の薄い(青い)猫ほどその確率が高くなります。さらに白猫には、左右の目の色が違う「オッドアイ」も多く、青い目側の難聴確率も高いのです。
生存率が下がる
猫は耳を頼りに狩りをしますが、自然界では耳が悪いと不利なはずです。また敵や車などの接近に気付くのも遅れがちになるでしょう。
そのため、白猫はいろいろな意味で生きにくく、最強遺伝子であるにもかかわらず数が少ないのかもしれません。
臆病になる
一般的に、白猫は臆病な性格だといわれます。おそらくこれも、聴力が関係しているのでしょう。
たとえば、後ろから近づくと、近づく音が聞こえないのでとても驚いてしまうのです。そのため白猫は常に警戒していなければならず、臆病に見えるのかもしれません。
まとめ
猫に真っ白な毛皮を与えるW遺伝子は、美しいブルーやグリーンの目、さらに左右で違うオッドアイなど魅力あふれる猫にする最強の遺伝子です。
しかし同時に、難聴気味の猫を生むことのある、少し困った遺伝子でもあります。
とはいえ室内飼いでいる限り、そういうデメリットは問題になりません。ただし、もしそのような白くて耳の悪い猫に出会ったときは、目を合わせてから触るなど、他の猫のときより少しだけ多めに配慮してあげてくださいね。