猫に与えると超危険な『生モノ』4つ!摂取したときの症状や対処法とは

猫に与えると超危険な『生モノ』4つ!摂取したときの症状や対処法とは

生モノの代表といえば、やっぱり魚介類。猫に必要なたんぱく質をたくさん含む自然の恵みの1つです。しかし魚介類は砂漠地帯出身の猫に本来無縁の獲物であり、ちょっぴり合わない食べものなのです。特に生の魚介類には危険がいっぱいです。どんな魚介がどんな影響を及ぼすのか、身近なものからご紹介しましょう。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.鮮度の落ちた魚(特に赤身の魚)

お皿にのったマグロの刺身

魚は鮮度が落ちると「ヒスチジン」が増えてきます。これはアレルギーに関係するヒスタミンの素となるアミノ酸で、食べ過ぎると体内でヒスタミンが大量生産され「ヒスタミン中毒」を起こします。

「ヒスタミン中毒」の怖さは、アレルギー体質でなくてもアレルギー様の症状が出るところ、そして1度できたヒスタミンは火を通しても消えないことです。特に気をつけたいのは、マグロやカジキ、ブリ、カツオなど血合いの色が濃い赤身の魚です。

また、一般的に「青魚」と呼ばれるサバやサンマも分類上は赤身系の魚であり、ヒスチジンの含有量が多いとされています。

症状はアレルギーと同じで、かゆみや嘔吐、じんましん、ひどくなると呼吸困難に陥ります。

2.イワシなどの青魚

美味しそうなアジのお刺身

イワシやアジ、サンマといった青魚には、体にいい不飽和脂肪酸がたくさん含まれますが、これを代謝するには大量のビタミンEを必要とします。大量の不飽和脂肪酸の摂取により相対的にビタミンEが不足してしまうと、脂肪の変性により「黄色脂肪症(イエローファット)」になるのです。

「黄色脂肪症」は酸化して黄色くなった脂肪が炎症を起こす病気で、痛みや発熱、食欲不振を起こします。ただし、総合栄養食にはビタミンEがたくさん含まれていますので、総合栄養食を主食にしている場合は青魚を多少食べても理論上は大丈夫です。

しかし、そもそも油は肥満のもとですし、食べ過ぎて発症してしまうケースもあるようです。

3.甲殻類や貝類、頭足類(イカなど)

カニの刺身

エビ・カニなどの甲殻類、ホタテなどの貝類、そしてイカなど頭足類には、チアミナーゼというビタミンB1分解酵素が含まれています。そして猫はビタミンB1をたくさん必要とする動物なので、これらを生で食べると「ビタミンB1欠乏症」を起こすのです。

「ビタミンB1欠乏症」は、だるさや食欲不振、手足のしびれやむくみなどが起こる病気です。「脚気」としても有名で、悪化すると神経症状で歩けなくなったり、心不全を起こすこともある怖い病気です。

4.貝類の内臓

重ねたホタテ貝

サザエやアワビなどの内臓には、ピロフェオホルバイドという物質が含まれています。それを取り込むと体内で炎症が起き、「光線過敏症」になる危険性があります。

具体的には、太陽に当たると毛の薄い部分(特に耳)の皮膚が赤くなる、かゆみや痛みが出るなど、アレルギー性の皮膚炎によく似た症状が出てきます。

非常に稀な中毒ではありますが、ひどくなると、昔からの言い伝えにあるように「耳が落ちる」といわれる状態になるようです。

症状が出たときの対処法は?

輸血中?のキジトラ白

どのケースも症状が出たらすぐに病院へ連れて行き、適切な処置を受けて下さい。その場合、何を・どれだけ・どれくらいの期間食べさせていたか、医師にきちんと伝えましょう。

特に「ヒスタミン中毒」は、食べてすぐ(30分~1時間以内)に症状が出るといわれます。最悪の場合意識障害や呼吸困難を起こしますので、刺身用の新鮮な魚を選ぶようにし、万が一赤身の魚を食べて少しでも様子がおかしくなったら直ちに病院へ連れて行きましょう。

まとめ

魚の玩具と猫

飼い主さんとのコミュニケーションを増やすために、味覚の幅を広げるのは素敵なことです。ただ魚介類は、本来猫が口にすることのない食べものですから、与えるときは鮮度に気をつけ、必ず火を通しましょう。

そしてもし「刺身」として与えたいときは「魚だけ」にし、鮮度や種類を厳選して、たまのひと口程度のご馳走として楽しい時間になるようにしてあげてくださいね。

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