猫が「視力低下」する原因とは
猫の視力低下には、交通事故など直接目に影響するケースのほか、代表的な目の病気が3つあります。
さらにこの3つには重大な病気が絡んでいて、目の治療と同時に原因病の治療も平行して行うことになります。
今回は、猫が視力低下する原因を、代表的な目の病気ごとに解説いたします。
1.目そのものが炎症を起こす「ブドウ膜炎」
「ブドウ膜」とは、眼球をぐるりと取り巻く「虹彩」「毛様体」「脈絡膜」という目の組織の総称で、ここに炎症が起きるのが「ブドウ膜炎」です。
腫瘍や喧嘩の怪我から炎症を起こす場合も多いのですが、主な原因は以下の感染症だといわれています。
- 猫伝染性腹膜炎
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
- トキソプラズマ病
- クリプトコッカス症
このような感染症はワクチンの定期的な接種や、外に出さないことで防ぐことが可能です。目の病気は早期治療が大切ですので、目の異常に気付いたら早めに受診しましょう。
2.穏やかに進行し失明する可能性の高い「緑内障」
何らかの理由で眼球を満たす水が排泄できず、その圧力(眼圧)が異常に上がって目にダメージを与える「緑内障」。犬の場合は激しい痛みを伴うことで有名ですが、猫の場合は比較的穏やかに進行し、気付いたときにはほぼ見えなくなっていることが多いといわれます。
怪我や腫瘍などさまざまな原因で起きますが、猫でもっとも多いとされるのが「ブドウ膜炎」です。ですからそちらの予防を頑張れば、少なくともそこから派生する「緑内障」の確率も下げられます。
3.高齢猫に多い病気から派生する「高血圧性網膜症」
「高血圧性網膜症」とは、血圧が日常的に高くなるせいで「網膜」が壊れ、入ってきた光情報を視神経に伝えられなくなる病気です。猫が高血圧症を発症する原因には、高齢猫によくある以下の病気があります。
- 甲状腺機能亢進症
- 慢性腎臓病
- 糖尿病
これらは12~13歳以上の猫に多い病気です。高齢になったら、この3つに注意することと、健康診断に血圧検査を取り入れることをおすすめします。
猫の視力が低下したときのサイン
では、視力が低下した際に見られる猫の異変のサインには、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
- なでると驚く
- 視線が合いにくい
- つまづいたり足を踏み外したりする
- ものにぶつかる
- 要求鳴きが増えた
- 動作が慎重になった
- 多頭飼いの場合、力関係が変わった
このような様子が猫に見られたら、視力低下を疑う必要があるかもしれません。
また目の状態が、
- 瞳孔が開きっぱなし
- 目の色が変わった
- 目が赤い、腫れる、目やにや涙が多い
のような具体的な変化はないでしょうか。これらは全部視覚異常のサインかもしれません。放っておくと本格的に目が見えなくなるかもしれませんので、気になったらすぐに検査に連れていきましょう。
まとめ
状態の悪い外猫のように、猫風邪をこじらせて目を悪くする猫は少なくありません。ただ、猫風邪は目を腫らしたりして目立つため、気が付きやすいといえるでしょう。
今回挙げた3つの病気は、初期症状が目立たないものの代表です。完全に治らない病気も多いのですが、できるだけ早く治療を行い、完全に治癒しない病気であっても、進行をできるだけ食い止めてあげましょう。