猫が『飼い主の匂い』を嗅ぎたくなる5つのタイミング

猫が『飼い主の匂い』を嗅ぎたくなる5つのタイミング

視覚に主な情報源を頼っている人間とは異なり、猫は音や匂いから多くの情報を得ています。特に猫は、食べ物や環境、身近にいる人や動物に関する情報を匂いから収集しています。そのため、家の中でもよく匂いを嗅いでいる姿を見かけるはずです。その対象は、飼い主さんも例外ではありません。猫が飼い主さんの匂いを嗅ぎたくなるタイミングについて考えてみました。

猫の五感

猫同士の挨拶

人も猫も、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感により情報を得て暮らしています。しかし人と猫とでは、五感の能力や使い方に大きな差があるようです。

猫は動体視力や暗闇の中で物を視認する能力には長けていますが、人間の視力に相当する能力でいうと近視に相当し、静止しているものの識別も10m程度までです。また色の識別も苦手です。

その代わり、猫は聴覚や嗅覚を使って多くの情報を得ています。獲物の位置情報の察知には聴覚が大きく貢献し、食欲や環境、コミュニケーションに必要な他者情報の収集には嗅覚が主として使われています。

したがって人と一緒に暮らしている猫は、ことあるごとに家中のあらゆる場所や物の匂いを嗅ぎ、飼い主さんの匂いも嗅いでいます。

猫が飼い主の匂いを嗅ぎたくなるタイミング

指先の匂いを嗅ぐ猫

では、愛猫が飼い主さんの匂いを嗅ぎたくなるのがどのようなタイミングなのかについて、考えてみましょう。

1.帰宅時

猫と一緒に暮らしたことのある方であれば、真っ先に思い浮かぶのが帰宅時でしょう。玄関を開けたら目の前で待っていて、ひとしきり匂いを嗅いだ後に自分の体をこすりつけてきたという経験は、誰もがしていると思います。

これは、飼い主さんの匂いを嗅いでどこに行ってきたのか、何か美味しいものを食べたのか、誰と会ったのか、何をしたのかといった情報を確認し、外出で弱まってしまった自分の匂いを改めてつけ直しているのです。

2.入浴後

飼い主さんがお風呂から上った後、しきりに匂いを嗅いだ後に体をこすりつけてきたという経験もあることでしょう。これも、入浴後の匂いを確認し、洗い流された自分の匂いをつけ直している行為です。

いつもとは違う銘柄のシャンプーを使った後などは、髪の毛の中に顔を突っ込んでしつこく匂いを嗅がれたという経験もあるかもしれません。

3.挨拶

においをかぐ猫

一緒に住んでいるといっても、四六時中傍に寄り添っているわけではないでしょう。猫は、家の中で最も居心地の良い場所を見つけ、そこから家の中を見渡しながら過ごしている事が多いです。

そのため、家の中で飼い主さんとすれ違ったり、飼い主さんが猫に近づいてきたりすると、鼻を突き出して飼い主さんの鼻のあたりや指の先、足などの匂いを嗅ぐことが多いです。これは猫同士の挨拶と同じことを、飼い主さんに対しても行っていると考えられます。

4.不安な時

雷、地震、いつも以上に長い留守番、知らない人の来訪など、猫にとって恐怖や緊張、警戒を感じるような不安な状況の時には、自分の匂いや飼い主さんの匂いを嗅ぐことで安心できるようです。

人慣れしておらず、来客時はいつも隠れてしまうような性格なら、体がすっぽりと入る小さな箱を用意して、静かに隠れられるようにしてあげましょう。中に猫や飼い主さんの匂いがついたブランケットなどを敷いておくと、安心できるでしょう。

5.甘えたい時

飼い猫は、おとなになった後も子猫の気分に戻る時が多々あります。飼い主さんのお腹などの柔らかい部分を前足で優しく交互に揉むような動作をする時も、母猫の母乳を飲んでいた頃の気分に戻っています。

そういう時の猫の様子をよく見ると、深々と飼い主さんの匂いを吸っていることがあります。飼い主さんの匂いを嗅いで、安心しきっているのでしょう。

猫が匂いから得る情報の種類

猫の鼻のアップ

猫の鼻の孔の周囲(鼻鏡)には毛がなく、いつも湿っています。匂いがするということは、見えていなくても匂いのもととなる成分が存在しているということです。猫の鼻鏡が濡れているのは、匂いのもとの成分を吸着しやすくするためだといわれています。

また猫の鼻はとても小さいのですが、鼻の奥の鼻腔は複雑な構造をしていて、匂いを感知する嗅細胞の数は人間の約5倍もあり、地球上にある40万〜50万種類ある匂いをかなり的確に嗅ぎ分けているといわれています。

生まれたばかりの子猫は、まだ目も見えず耳も聞こえません。にもかかわらず、母親がどこにいるのかを認識して這って行けるのは、母猫の匂いのおかげだといわれています。

こうした嗅覚により、猫は目の前のものが食べられるのか、食べられる温度か、腐っていないかなどの情報を得ます。熱いものを食べられない人のことを「猫舌」といいますが、当の猫は、舌ではなく鼻で温度を認識するのです。

また、いろいろなものに体をこすりつけて自分の匂いを残すことで、その場所が自分の縄張りであることを主張します。また家の中の匂いを嗅ぎ回ることで、侵入者が入った形跡の有無を調べます。

さらに、猫同士が出会ったときには鼻を突き合わせてお互いの匂いを嗅ぎ合い、敵ではないと分かるとお尻の匂いを嗅ぎ合います。こうして相手の性別、年齢、健康状態、発情の有無、どこから来たのかといった情報を得ているのです。

まとめ

指の匂いを嗅ぐ猫

鼻から匂いの成分を吸い込み匂いを嗅ぐという嗅覚の仕組みは、人も猫も基本的には同じです。しかし、その匂いからどんな情報を得ているかという内容は、人と猫ではだいぶ様子が異なることがわかりました。

匂いは、猫にとってはとても重要な情報源です。特に、猫自身の匂いや信頼する飼い主さんの匂いがすることで、猫は安心して過ごすことができます。それを理解することで、より愛猫にとって居心地の良い環境を整えてあげることができるでしょう。

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