猫の過食とは?
動物は、エネルギーが不足したりもっとためる必要がある場合には本能的にたくさん食べようとしますが、バランスのとれた栄養が十分に摂れていれば、本来異常な食欲はわきにくいものです。猫には遺伝的に食欲旺盛で太りやすい子がいるそうですが、以前はそんなことがなかったのにいつも以上にフードを欲しがる時は単に食い意地が張っているのではなく、心や体に異常があるサインなのかもしれません。
猫の過食は、病気によって引き起こされていることもあれば、逆に過食による肥満が病気のリスクを高める場合もあります。健康な体を維持するためにも「愛猫に異常な食欲がある場合、それは何故なのか?」、まずは過食の原因を突き止めることが重要です。
猫が過食を起こす原因
ではここからは、猫の「過食」の原因について解説いたします。
1.精神的なストレス
人が心の病によって食べすぎてしまう「過食症」があるように、猫にも環境の変化などによるストレスから過食を起こすことがあるかもしれません。
しかし、猫の過食にストレスが関わっている場合、生活環境が安心できるものではない、というストレスがあって「食べられなくなることがあるかも。食べられる時に食べてしまおう。」と思い、あるだけの食事を急いで食べてしまうケースの方が多いかもしれません。
そのようなストレスを抱える原因には、同居動物の存在や家族構成の変化、騒音、飼い主の不規則な給餌などが考えられます。猫が、自分の安全や食べ物の確保に不安を感じるようなことはないか、生活環境を見直してみましょう。
2.病気の可能性
- 脳腫瘍
- 初期の糖尿病
- 高齢による認知症
- 甲状腺機能亢進症
など
猫の過食には、病気が関係していることも少なくありません。脳に腫瘍が出来て性格や食欲が変化することも考えられますし、認知症の高齢猫が食べ物を頻繁に要求する、といったこともあります。
また、甲状腺機能亢進症は高齢猫に多い甲状腺ホルモンが異常に多く分泌される病気で、代謝が異常に活発になり食欲も増すことが多くあります。この病気の特徴として、「量を食べているのに太らない」という点があります。しかし、甲状腺機能亢進症の症状は様々で、食欲の増進が見られないこともあります。
このように、猫の過食は病気が関係していることもありますし、逆に病気になるリスクを高めたりもしますので、異変が続く時や飼い主さんの努力や工夫だけでは食事量のコントロールが難しいときは、迷わず動物病院を受診することが大切です。
3.体質や生活環境によるもの
猫には、遺伝的に食欲旺盛で太りやすい個体がいる可能性があるそうです。そのような猫では、飼い主が厳しく食事量と内容をコントロールする必要があるでしょう。
また、避妊・去勢手術後はカロリーの消費量が減ったり食欲が増すと言われています。手術前と同じ食事を続けていると「肥満体型」になりやすいので、手術後の生活環境に合ったフードを与え、カロリーオーバーとならないようにしてあげましょう。
フードを出しっぱなしにして自由採食にしているご家庭もあると思いますが、性格によって、また暇を持て余している場合などに必要以上に食べてしまうことがあります。その場合は、1日の適量をきちんと量り、それ以上を与えないようにしましょう。
保護したばかりの猫や野良生活を経験したことのある猫では、「次はいつ食べられるか分からない」と、あるだけの食事を必要量を超えて食べてしまうことがあります。この場合も、体重に見合った量だけを与えるようにしましょう。
猫がフードやおやつを催促しても、必要量を食べているのであれば、それ以上の量を与えるのではなく、1回量を減らして食事回数を増やしてあげたり、早食い防止用の食器を活用したり、水分量の多い食事にしてあげたりして、食べ過ぎにさせないことが必要です。
まとめ
猫の過食の原因は様々です。しかし、以前は問題のなかった猫で突然に食欲が増したら、病気の可能性も考えられますので、まずはかかりつけの動物病院に相談をしてみましょう。
食べ過ぎになると、多くの場合は太ります。猫が太っている場合、まずは食事量が適切かを判断しないといけません。これは、多頭飼育下ではなかなか難しいかもしれませんが、飼い主さんがそれぞれの猫が食べた量を把握できる環境を作るようにしましょう。
病気が原因だったり、逆に病気にさせてしまうこともある過食。猫にとって楽しみでもある食事の内容や量を工夫して、健康的かつ楽しく過ごせるようにしてあげたいですね。