猫の去勢・避妊手術が大切な理由3つ しなかった場合のトラブルも

猫の去勢・避妊手術が大切な理由3つ しなかった場合のトラブルも

猫が人間と暮らす上で、去勢・避妊手術は避けることはできないでしょう。なぜ、手術が必要なのかを様々な角度から見ていきましょう。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.望まない妊娠を回避

生まれたばかりの子猫たち

繁殖をさせる予定がなければ、手術を行いましょう。猫は交尾をすると、ほぼ必ず妊娠をしますし、条件が整えば年に何回も出産をしたりと、繁殖能力が非常に高い動物です。

「手術が可哀想」「多頭飼いでお金がかかる」という考えが、あっという間に面倒を見切れない数にまで猫が増える原因となり、多頭飼育崩壊を引き起こす事も少なくありません。

普段から外にも出る猫でしたら当然妊娠する機会も多くありますが、完全に室内だけで暮らしている猫も無関係ではありません。飼い主さんが知らない間に外へ出て妊娠をしてしまい、飼いきれない子猫を保健所や保護施設へ連れて来るケースもあります。オス猫の場合、外で出会ったメス猫を妊娠させると飼い主のいない猫を増やすことになります。

2.病気を予防

聴診器を当てられる猫

手術を行うことで、生殖器に関係する病気を予防することができ猫の健康を守ることができます。

メス猫は卵巣や子宮の病気、オス猫は精巣に関する病気を予防できます。また、初回発情前に避妊手術を行うことで悪性の乳腺腫瘍の発生率を大幅に減らすことができます。乳腺腫瘍は良性の場合もありますが、猫では約8割が悪性と言われています。

3.猫のストレスを減少・問題行動

大声で鳴いている猫

手術を行うことで、猫が抱えてしまうストレスが減少します。

発情期を迎えるとメス猫は相手を見つけるために独特の大きな声で鳴きます。オス猫はメス猫へアピールをするため、スプレーによるマーキングをしたり、しきりに外に出たがったりなど、本能的な行動をします。しかし室内から出られない猫たちは相手を見つける機会がなくストレスを溜めることになります。

また、発情期を迎えた猫と暮らすことは、人間にとってはこのような猫の行動が問題となります。例えばメス猫の大きな声が騒音となり近所迷惑になる、オス猫のスプレー尿で家中が臭うなどです。性成熟する前に去勢・避妊手術を行えば、猫がこのような行動をすることを防げます。

また、外に出るオス猫では、去勢手術をしていればケンカをすることが少なく、ケガや感染症のリスクを減らすことにもなります。

太りやすくなるので注意!

体重計に乗っている猫

去勢・避妊手術を行うと、猫たちは太りやすくなります。

性ホルモンが分泌されないと様々な面で穏やかになります。そのため、活動量が減少し太りやすくなるようです。食欲も増すようです。手術後は少しでも運動を促すよう一緒に遊んだり、自主的に行動できるキャットタワーなどを設置したり、適量以上の食事を与えないことなどが大切です。

また、性成熟前に手術をした場合は子猫っぽい性格が残りやすい、とも言われています。その場合、猫は人間とのスキンシップやコミュニケーションを多く求めるので、十分に応えてあげましょう。

まとめ

エリカラ装着の猫

猫の去勢・避妊手術が大切な理由3つについてお伝えいたしました。飼い猫に去勢・避妊手術をしなかった場合、飼い主のいない猫が増えることにつながる可能性、予防できた病気になってしまう可能性、猫のストレスと飼い主さんにとっての問題行動が増える可能性があります。

犬の去勢・避妊手術については、メリットとデメリット、動物の福祉に対する考え方などから賛否両論ありますが、猫についてはデメリットに比べメリットがはるかに大きく、また飼い主のいない猫がどこの国でも問題となっているので、繁殖の予定がなければ去勢・避妊手術を行うことが世界中で推奨されています。

暮らし始めた猫の一生は、生活を共にしている人間が管理して見守る必要があります。愛猫に対して責任を持つために、どうすれば良いのか常に考える必要があります。

預かった命を大切にして、これからも愛猫との生活を充実させていきましょう。

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