猫に多い「肛門のトラブル」
肛門のトラブルの代表といえば「痔」ですよね。猫も痔になることがありますが、猫の肛門トラブルはそれだけではありません。
ここでは、猫に多い肛門周辺のトラブルを5つ紹介いたします。どのような病気と症状があるのでしょうか。
1.痔
冒頭でも紹介したように、猫も痔になります。猫の痔は「切れ痔」です。
切れ痔は、排便時に肛門が擦り傷を負い切れてしまう病気です。原因は便秘です。水分量が少ないコチコチ便が続くと肛門を傷つけてしまいます。
2.肛門腺貯留
猫や犬のお尻には、肛門腺という袋状の組織があります。通常は排便時に粘液のようなものが排出される構造になっています。
ところが何らかの理由で目詰まりを起こしてしまうと、液体が溜まる「肛門腺貯留」という状態になります。
排便時に違和感が残るため、ズリズリとお尻歩きをするようになります。
3.肛門腺破裂
肛門腺貯留によって溜まった液体が、化膿すると皮膚を突破って膿を出すようになってしまいます。これを「肛門腺破裂」といいます。
症状が重いと、手術によって肛門腺自体を取り除かなければならいことがあります。
4.皮膚炎
猫はお尻に違和感を覚えると、お尻歩きの他に、頻繁に舐めるという行動を取ります。主な原因は、アレルギーや寄生虫によるトラブルです。
猫の舌にはザラザラとした突起がついているため、舐めすぎると皮膚が炎症を起こしてしまいます。
5.直腸脱
下痢を繰り返すと、直腸が肛門から出てしまう「直腸脱」を引き起こすことがあります。子猫に多い現象ですが、成猫も発症することがあるので気をつけましょう。
もしも直腸が出てきてしまったら、様子を見ることなく動物病院に行ってください。飛び出した腸が外気に晒されると壊死する可能性があります。
肛門トラブルの対処法
実際に、肛門付近にトラブルが起きた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?また、未然に防ぐには何をすれば良いのでしょうか。
症状があり、皮膚が赤ければ病院へ
既にペロペロとお尻を舐め、皮膚が赤くなっているようであれば病院に行きましょう。
肛門腺絞りをする
肛門腺は肛門の隣り(4時と8時の位置)にあります。目詰まりを起こしている時は、そこをもんで刺激を与え、分泌物を出してあげます。
ご家庭でもできる処置ではあるものの、慣れていない場合は動物病院に依頼するほうが安心です。
便秘や下痢を起こさないようにする
肛門トラブルの主な原因は便秘と下痢です。いつでも新鮮な水が飲める環境を整える・時々ウエットフードを与えて水分を補う・ストレスを溜めないように気をつけるなどの配慮をしてあげましょう。
まとめ
猫にも肛門のトラブルがあることが分かりました。しかも、猫特有の肛門腺が絡んでいるものもありましたね。
お尻をしきりに舐める、お尻歩きをする、皮膚が赤くなっている(ただれている)などの様子があれば肛門の問題を疑いましょう。
肛門腺の一時的な目詰まりであれば良いのですが、不自然な行動が続くようであれば診察を受けましょう。直腸脱の場合は日をまたがずに診察を受けてください。
水分補給を促す・ストレスが蓄積しないように遊ばせるなどの対策を取りながら、愛猫を守ってあげてください。