猫の『血尿』で考えられる病気3選!それぞれの治療法と緊急性とは

猫の『血尿』で考えられる病気3選!それぞれの治療法と緊急性とは

猫に泌尿器系の病気が多いことは周知の事実ですので、毎日愛猫のおしっこの色、ニオイ、量などをチェックし、記録されている飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫の場合は血尿がみられたら動物病院で診てもらうのが基本です。血尿は、泌尿器系を始めさまざまな病気のサインだからです。主な病気や緊急度を判断する目安などを解説します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫の血尿は病気のサイン

トイレに入る猫

猫には泌尿器系の病気が多いことはよく知られています。そのため、毎日愛猫のおしっこの色やニオイ、量をチェックし、記録している飼い主さんも多いのではないでしょうか。

人や犬には生理(発情出血)がありますが、猫にはありません。そのため、たとえ未避妊のメス猫でも、血尿は病気のサインだと判断できます。

血尿は、おしっこに血が混じって濃いピンクや赤い色になります。そのため飼い主さんも気付きやすい症状の1つです。多くの場合は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかで病気や外傷が生じ、そこから出血していると考えられます。

また、溶血の可能性もあり、危険な疾患が潜んでいる場合もあります。そのため、血尿がみられた場合はすぐに動物病院で診てもらうことが基本だと考えましょう。

なお、「溶血」とは、血液中の赤血球が大量に破壊され、ヘモグロビンが流出してしまっている状態のことです。赤血球の破壊が進み「溶血性貧血」になると、赤血球が酸素を全身に運べなくなり、全身の臓器に影響が出て命に関わります。赤血球の中の血色素も流出するため、おしっこの中に血色素が混ざって血尿のような色の尿(血色素尿)にもなります。

厳密には血尿と血色素尿は異なるものですが、どちらの場合も猫の体調が良くないことに変わりはありませんので、ここでは血色素尿も血尿に含めてお話します。

血尿で考えられる病気

お尻をなめる猫

1.膀胱炎

膀胱に炎症が起こる病気です。残尿感や違和感を感じるため、猫は何度もトイレへ出入りを繰り返します。排尿する時に痛みを感じて唸ることもあります。濃いピンクや赤い色の血尿や、濃いオレンジ色でニオイのきつい濃縮されたおしっこが、少量しか出なくなります。

膀胱炎には、尿道口から侵入した細菌に感染した細菌性、膀胱結石(結晶)が引き金となった結石性(結晶性)、原因が特定できない特発性があり、これらの原因に応じて抗生剤、止血剤、抗炎症剤、療法食などの処方による治療が行われます。

2.尿石症

腎臓で作られたおしっこは尿管を通り膀胱である程度溜められた後に、尿道を通って体外に排出されます。これらの臓器のどこかに結晶や結石ができる病気が尿石症(尿路結石症)で、猫によくみられる病気の1つです。

正常なおしっこはわずかに酸性ですが、さらに酸性になるとシュウ酸カルシウムが、アルカリ性になるとストルバイトが結晶や結石となり、臓器の粘膜を傷つけたり詰まらせて排尿を妨害したりしてしまいます。他の結石もありますが、猫においては稀です。

軽度の場合は食事療法で改善できる可能性があります。シュウ酸カルシウム結石は食事で溶かすことができないため、大きくなった場合は手術による除去、尿道が詰まった場合は尿道口からのカテーテル挿入による詰まり解消と膀胱内洗浄など、症状に応じた治療を行います。

特に尿管や尿道に閉塞してしまった場合は急性腎不全を発症する可能性があり、急速に命を落とす可能性があります。

3.腎不全

腎臓の機能が低下して生命の維持が困難な状態になる病気で、急性と慢性があります。急性腎不全は、突然症状が現れて急激に悪化していきます。慢性腎不全は時間をかけて徐々に進行していきますが、症状として現れるまでに時間がかかるため、気付いたらかなり重症化していたという場合も少なくありません。

急性腎不全の場合は入院治療が一般的で、各種検査による原因究明を行いながら、点滴による脱水症状の改善や抗生剤投与による細菌感染の抑制、詰まっている尿路への処置など、症状に応じて治療します。

慢性腎不全の場合は、急性腎不全とは異なり回復させられません。そのため、進行を遅らせて残った腎機能をできるだけ維持させることが治療の目的になります。

その他

血尿を引き起こす原因となる病気には、細菌感染による膣炎や子宮炎、子宮蓄膿症などの生殖器系の疾患や、腫瘍、交通事故や落下などの事故による泌尿器の損傷、ネギ類の誤食による溶血性貧血なども考えられます。

緊急性の判断目安

尿路閉塞

結石や腫瘍などが尿路を塞いで尿を体外に排出できなくなると、老廃物や有害物質が体内に溜まり、半日程度で尿毒症により命に関わる状態に陥りやすくなります。

下記は、尿路閉塞が起きて深刻な状態のサインです。血尿の他に下記の症状もみられる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • トイレに頻繁に行くのにおしっこがほとんど出ていない
  • 元気や食欲がない
  • 嘔吐している

おしっこの色

血尿の度合いがひどい場合も、すぐに動物病院で受診すべき状態です。目安となるおしっこの色は下記の通りです。

  • 濃いオレンジ色
  • 濃いピンク色

濃いオレンジ色のおしっこは濃縮されているサインで、脱水症状が起きている可能性があります。濃いピンクや赤色のおしっこは、多量の出血や溶血が起きていることを示すサインです。

様子を見ても良いケース

下記の条件が全て揃っている場合は、特発性など一過性の可能性があります。

  • 薄いピンク色やごく薄いオレンジ色の血尿である
  • 排尿回数がいつも通り
  • 1回の排尿量がいつも通り
  • 元気も食欲もしっかりある

ただし、血尿が半日以上続く、頻尿になる、元気や食欲に変化がみられるといった症状が現れた場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。

まとめ

おしっこをする猫

猫の血尿は病気のサインです。血尿の度合いが軽度で他の症状が何もみられず、1回で治る場合を除き、基本的にはすぐに動物病院に連れて行き診てもらいましょう。

病院受診の際は、直近でした尿を持っていくと診断の助けになります。システムトイレなど尿を吸収しないペレットタイプのトイレであれば、トイレシートを裏返して吸収しないようにして採尿を。吸収する砂タイプなどであれば、綺麗なトレーやおたまを使ってうまく採尿してみてください。

採尿ができなくても尿の写真を撮ったり、吸収したものを持っていくなどして血尿のレベルを見てもらうと良いでしょう。

泌尿器系の病気が多いのが、猫の特徴です。健康管理の中でも特におしっこに関するチェックはしっかりと行い、色、ニオイ、量、回数などの変化はできるだけ早く気付けるように心掛けましょう。また、新鮮な水がいつでも自由に飲めるような環境を作っておくことも大切です。

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