1.元気がない
成猫の体は50%~60%が水分でできているため、健康を維持するためには人と同じように水分補給はとても大切です。水分不足(脱水)は、水分を摂取する量が足りないか失われる水分量が多い、またはその両方によって起こります。何が原因であっても、脱水状態になると元気がなく動きたがらなくなります。
例えば嘔吐や下痢がある場合、嘔吐や下痢の原因となっている病気のせいで元気がないこともありますが、嘔吐や下痢によって起こった脱水によっても元気がなくなります。脱水している場合は、体に適切な量の水分を与えないと改善しませんが、体の状態によってはただ水を飲ませるだけでは脱水を改善できないこともあります。また、脱水状態が長く続くと腎臓などにダメージを与えます。猫の様子に何か異常がある時は早めに動物病院を受診しましょう。
2.尿の異常
猫はもともと、たくさんの水分をとる習性はなく、できるだけ体内の水分を失わないようにして体水分量のバランスを保っています。猫の尿は通常薄い黄色をしていますが、脱水を起こしているときの尿は普段よりも濃い色になります。
尿の色はシステムトイレのシートで確認することができますが、固まる砂の場合は排尿の回数を確認したり、色の白い砂を使って色を確認してみましょう。脱水が重度になると、尿の色が濃くなるだけではなく尿が出る量も減ります。
3.目や口が乾いている
水分不足になっているかどうかは、目や口の中を見ても分かる時があります。猫が脱水を起こしていると、目や歯茎が乾燥していたり、口の中のねばつきがあるなどの症状が現れます。
また、皮膚の張りもなくなり、肩甲骨の間の皮膚をつまんで指を離しても、テント状に持ち上がった皮膚がなかなか戻らなくなります。
飲水量を増やす方法
猫が水分不足になってしまう原因は様々です。病気がある場合には、病気の治療と共に飲水量を増やす工夫が必要なこともあります。また気分によって、食事の内容や水の温度、食器の形状、置き場所などのせいで積極的に水を飲まないことも多くありますし、老齢になると動きたくないことが原因であまり水を飲まないこともあります水分補給する場所や水そのものに問題があるのかもしれません。猫には、若くて健康な頃から積極的に水分を摂取させることが勧められています。愛猫に合った対処方法で、できるだけ水を飲んでもらうようにし体の健康を守りましょう。
ウェットフードやおやつで水分を補う
キャットフードに含まれる水分は、ドライフードでは10%未満、ウェットフードでは75%以上とまるで違います。愛猫の主食がウェットフードであれば、水をあまり飲んでいなかったとしても充分に水分を摂取できている場合があります。しかし、ドライフードの場合は食事とは別に水を十分に飲んでもらう工夫が必要です。
愛猫の水分摂取量を増やしたい場合には、ドライフードをお湯でふやかしてから与えるか、水分が多く含まれているウェットフードを併せて与えるミックスフィーディングを試してみましょう。ただし、猫はふやかしたドライフードを好まないことが多いようです。ウェットフードには、スープ状やゼリー状など、様々なタイプがあるので、まずは何種類か試して愛猫の好みを把握しましょう。ドライフードとウェットフードの組み合わせ方は、猫の好みや飼い主さんのライフスタイルによって決めます。
他にも水分補給を目的とした液状おやつを食べさせてみたり、ささみのフリーズドライをお湯でふやかしてスープにするのもおすすめです。
猫用の自動給水器を使ってみる
猫は、水道水に含まれるカルキ臭(塩素)が気になって飲まない場合もあります。
猫用の自動給水器には、ポンプによって水が循環しフィルターでカルキ臭や不純物を除去してくれるものがあります。これならいつでもカルキ臭のない水を飲むことができます。定期的なフィルターの交換や水換えをして清潔なお水を維持しましょう。
また、高いところから落ちる水や流れている水に興味を持つ猫もいます。そのような猫に水を飲ませたい時は、ペットボトルなどに水を入れて、少しずつ水を落しながら飲ませてあげたり、そのような水の流れを作ってくれる給水器を使ってみると良いでしょう。
暑い日には、氷を少しだけ入れたりすると遊びながら飲んでくれる場合もあります。猫の飲み水を冷たくする必要はなく、また冷たい水を好まない猫もいますが、猫の興味を引く一つの方法として有効でしょう。
食器の置き場所や形状を変えてみる
猫が水をあまり飲まない理由として、周囲が騒がしくて落ち着かない環境などの理由があるのかもしれません。また、猫の本来の習性として、食事の場所やトイレの傍に水飲みボウルがあると嫌がる猫もいますので、その場合は少し離して様子を見てみましょう。
さらに、食器の位置が低すぎて飲みにくいことが理由の可能性も。水を飲ませるための食器の形状や高さを考え直してみるのもひとつの方法です。食器にひげが当たるのを嫌がっていることもあります。食器の素材に好き嫌いがある猫もいます。
猫の性格や生活パターンにもよりますが、好きな時にいつでもどこでも水を飲めるように、水飲み場の数を増やしてみるのも良い方法です。
まとめ
猫は脱水していなくても水分摂取量が少ないと尿路結石症や膀胱炎などの泌尿器系の病気になるリスクは高まります。病気で脱水状態になっている場合は、病気の治療とともに脱水の改善も必要です。
脱水と言うと、暑い日の猫の熱中症も気になりますが、夏だけでなく、一年を通して部屋の温度や湿度に気をつけてあげましょう。
暑い日には猫の熱中症も気になりますが、食欲もなくなりやすいので摂取する水分量も減ってしまいます。夏だけでなく、一年を通して部屋の温度や湿度、食事の管理には気をつけてあげましょう。
飼い主として、猫が好きな時に好きなだけ水を飲める環境、普段からできるだけたくさん水を飲んでくれる環境を整えてあげたいですね。