1.体表に痒みや腫れ
非常に稀な中毒ですが、巻き貝類を摂取して一日ほどで光線過敏症が発症したという報告があります。耳や口の周りなど被毛の少ない皮膚の薄い部分に痒みや腫れが出て、悪化するとその部分が壊死してしまいます。
東北地方では『春先のアワビのツノワタを食べさせると、猫の耳が落ちる』という言い伝えがあります。貝を食べると、含まれるピロフェオホルバイドaが血液の中に取り込まれます。そして皮膚の薄い部分にある血管に日光が当たり中毒症状を発症します。
ピロフェオホルバイドaは、クロアワビ、エゾアワビ、メガイ、トコブシなどの巻き貝に含まれます。
2.神経性麻痺が起こる
フグ中毒によく似た症状で、食後30分程度で軽度の麻痺が始まります。その後次第に全身に広がり、重症化すると呼吸麻痺を起こし、死に至ります。
麻痺性の貝毒はサキシトキシン、ネオサキシトキシン、ゴニオトキシン群などが原因となります。アサリ、アカザラガイ、カキ、ホタテガイ、ムラサキイガイなどの二枚貝に含まれます。
3.嘔吐、下痢、腹痛
吐き気、水様性の下痢など消化器系の障害を引き起こす事があります。
二枚貝類に含まれるオカダ酸やその同族体のジノフィシストキシン群による中毒症状です。食後30分から4時間以内に嘔吐、下痢、腹痛などが見られます。長く続く嘔吐や下痢は猫の脱水症状を引き起こすため、命の危険にも関わります。
アカザラガイ、アサリ、イガイ、イタヤガイ、ホタテガイ、ムラサキイガイなどの二枚貝類に含まれます。
猫が食べられる貝
熱を通し少量ならば、アサリやホタテも食べる事ができます。
生のアサリなど二枚貝類を食べると、上記の食中毒だけではなくチアミン欠乏症である脚気になる危険性もあります。ホタテもミミと貝柱だけが食べられる部位です。
まとめ
猫にとって『貝』はNG?キケンな貝を食べたときにでる症状3つについてお伝えいたしました。
日本国内で市販されている貝類は、中毒防止のためのモニタリングが為されているため、人においての中毒発生は近年激減しているそうです。家庭で中毒を起こす可能性は極めて低いと思われますが、リスクを回避する意味でも知っておいて損はないでしょう。
また、上記の中毒症状を発症する時間は、人間の身体をベースにお伝えしています。猫の体重と人間の体重は大きく異なり、食べた量によっても異なります。
猫がアサリやホタテに興味を持っているならば、熱を通して少量食べさせることはできるでしょう。ししかし、わざわざ興味のない猫に食べさせる必要はない食材と言えるでしょう。