ヒトとは異なる体温調節の仕方をする猫
猫の祖先は砂漠地帯に住んでいたリビアヤマネコだということが知られています。そのため、猫は暑さに強い動物だというイメージが一般的ですが、猫も夏バテをしますし熱中症にもかかります。特に行動範囲に制約がある室内飼育の猫にとって、暑さを和らげるための対策は欠かせません。
愛猫の暑さを和らげるために重要なのが、猫が体温を下げるために行う行動を理解することです。
私達人間は、外気温が体温よりも高くなると、自然に全身から汗をかきます。最終的にその汗は乾いていきます。汗が乾くということは、液体が蒸気の状態に変化(気化)するということです。
気化するためには、気化熱というエネルギーが必要になります。汗が気化するための気化熱として、体に溜まった熱が使われます。そのため、汗が乾くことで体温が下がるのです。
しかし、猫が汗をかけるのは肉球と鼻先だけなので、汗では体温を下げられません。そのため、猫が暑さのために体にこもってしまった熱(体温)を下げるために、どのような行動をしているのかを理解することで、猫の暑さを和らげる手助けができるのです。
猫の暑さを和らげる方法
猫の体温調節の方法を理解した上で、ここからは具体的に猫の暑さを和らげるための方法について見ていきましょう。
1.猫にとって適温の部屋を作る
猫にとっての快適な温度は、一般的に「27〜28℃」だといわれています。個体差がありますので、この数値を参考に愛猫にとっての適温をみつけ、1室はエアコンで常に適温の部屋を作ってあげると良いでしょう。
ワンルームなどで異なる環境を用意することが難しい場合は、エアコンをやや高めの温度に設定し、寒くなりすぎないように注意しましょう。
2.ひんやりした場所を作る
エアコンで温度管理をしていない部屋には、ひんやりした場所を用意しましょう。洗面台を開放しても良いですし、市販の猫用冷却マットを置いても良いです。
冷却マットには、珪藻土やキルトなどの素材や、アルミ、大理石などいろいろな素材の商品が用意されています。愛猫が好む素材をみつけましょう。
また浴室を開放する場合は、万が一の事故を防ぐために、浴槽の水は抜いておきましょう。
3.寒すぎた時に避難できる場所を作る
エアコンが効いた部屋は涼しくて快適に感じますが、場合によっては寒くなりすぎることがあります。その時に愛猫が避難できる場所も用意しておきましょう。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まるという性質があります。そのため、棚の上やキャットタワーなどの高い場所を開放するのも良いでしょう。
4.リラックスできる場所を作る
猫が自分の体温を放散させるためには、体を広げなければなりません。とても無防備な体勢です。猫の習性を理解し、猫がリラックスして暮らせる環境を整備することで、暑い日でも安心して体を広げ、体温を下げられるでしょう。
5.いつでも新鮮な水を飲める環境を作る
猫は元々、積極的に水を飲もうとしない猫が多いです。しかし、暑い時に毛づくろいをすることで、唾液を使って体温を下げようとします。そのため、夏は特に体の水分が不足しがちです。夏は、普段以上に水が飲める環境を作りましょう。
猫の場合、冷たい水よりも少しぬるめのお水を好む傾向があります。また、流れる水を好む子が多いので、循環式の自動給水器の利用もおすすめです。
いずれにしても、こまめに水を取り替え、いつでも新鮮な水を飲めるようにしましょう。
まとめ
ヒトは、主に全身で汗をかくことで体温を下げます。猫はできるだけ居心地の良い場所を探し出し、そこで毛づくろいをしたりひんやりしたものに密着したり、熱のこもった体を広げたりして体温を下げます。
猫はヒトと同じ家で一緒に暮らしていますが、暑さをしのぐための行動は異なります。それぞれの特徴を理解した上で、最適な暑さ対策を施せるように工夫し、お互いができるだけ快適に、そして元気に暑い夏を乗り切れるようにしたいものです。