愛猫の『誘拐』に要注意!今すぐできる3つの防止策

愛猫の『誘拐』に要注意!今すぐできる3つの防止策

完全室内飼いが多くなった現代日本では、愛猫が出掛けたまま帰ってこないということは大分少なくなりました。それでも、ペット探偵という職業があるほど、愛犬や愛猫を探している人々は多くいます。実は、そういった事例の中には単なる脱走ではなく、誘拐も含まれています。今回は、ペットの誘拐事例と、愛猫の誘拐を防止する対策をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫の行方不明、もしかしたら誘拐かも

連れ去られる猫

世の中には、ペット探偵という職業があります。迷子になったペットを探して、飼い主さんの元へ返すのが主な仕事です。最近は、ドキュメンタリー番組に取り上げられたり、ドラマが放送されたり、本が出版されたりと、その存在が注目を浴びていますので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

自由に家の中と外を出入りできる状態で飼われていた頃は、猫が帰ってこなくなるということも多かったようです。しかし、完全室内飼いが増えている現代日本でも、ペット探偵という職業が必要とされるほど、帰ってこなくなる犬や猫がいるのはなぜでしょうか。

あるペット探偵の本には、ショッキングな事実が書かれていました。いなくなったペット達は、単に脱走しただけではなく、ペットに不満を抱いている身近な人や、恋人間のトラブルが原因で起こった誘拐も少なくないというのです。

脱走したと思い探していた猫が、実は誘拐されていたといったような事件は、国内外で起きているようです。そこで今回は、いくつかの誘拐事例と大切な家族である愛猫を誘拐から守るための防止策について、ご紹介します。

笑い話ではない、猫の誘拐

迷子猫の情報提供

事例:外出から返ってきた愛猫の首輪にメモ!

これは、イギリス南西部で飼われていた猫の事例です。実際に誘拐されてはいませんが、誘拐されてしまう可能性があった事例です。

ある日、外出から帰宅した飼い猫の首輪に、ビニール袋が貼り付けられていました。中には3枚のメモが入っていて、「あなたの飼い猫が私の家に入ってきて我が物顔で振る舞うためうんざりしています。今度また私の家に入ってきたら、どこか遠いところへ連れていきますからね。」という趣旨のことが書かれていたそうです。

このメモを見た飼い主さんは、自分の猫の行動をはじめて知り、たいへん驚いたそうです。そして、今では完全室内飼いに切り替えているそうです。

事例:法外な身代金要求の電話で誘拐が発覚!

こちらは、ポーランドに住む12歳の少年の話です。

彼は、とても珍しい品種の猫を飼っていました。ある日姿が見えなくなったため、彼は街中にポスターを張って情報提供を呼びかけました。しかし、情報は来ません。

諦めかけていたその時、少年の家に1本の電話がかかってきました。「猫を預かっている。返して欲しければ、100万ユーロ(約1億1,500万円)の支払いを要求する。」という内容でした。

実際の猫は500ユーロ(約6万円)程度だったようで、そんなお金はなく困っているというニュースでした。その記事には、警察が捜査を開始したとありました。

事例:北海道のヨークシャー・テリア誘拐事件

ヨークシャー・テリア

これは犬の事例ですが、日本での話です。室内で飼育していたヨークシャー・テリアが、買い物に出掛けた隙にいなくなってしまいました。ペット探偵に捜索を依頼しましたが、1週間が過ぎても見つからず、一旦捜索を打ち切りました。

しかし、20kmほど離れた場所で保護されているという情報が入ります。その家に引き取りに行き話をよくよく聞いてみると、その方は飼い主さんの隣家の奥さんの妹で、姉が姉の家の近所で保護した犬を引き取ったということでした。その奥さんは、愛犬に何らかの不満を持っていて、留守の隙に愛犬を誘拐して自分の妹に「捨て犬を保護した」と言って譲ったのです。

このように、ご近所のトラブルが、愛犬や愛猫の誘拐に繋がることは、決して少なくないようです。

愛猫の誘拐を防止する方法

室内飼いのリラックスした猫

1.完全室内飼いにする

まずは、完全室内飼いにすることです。自由に外に出られる状況にしてしまうと、知らないところで愛猫が他人から恨みや不満を持たれて、誘拐や虐待に遭うリスクが高まります。

また、窓や玄関からの脱走防止対策が必要です。空き巣に入られた時にパニックを起こした飼い猫が、割られた窓から外に逃走してしまったという事例もありますし、災害等で外に出てしまう可能性も否定できません。万が一に備えて、マイクロチップや迷子札を装着しておくことをおすすめします。

2.外出時は自由にさせず目を離さない

猫はとても臆病なところがある動物です。突然の大きな音などにびっくりしてパニックを起こし、逃げ出してしまうことがあります。動物病院に連れて行くなどの避けられない外出時には、必ずキャリーバッグに入ってもらい、かつ目を離さないようにしましょう。

どんなに慣れている猫でも、フリーな状態で抱きかかえて外を移動するのはやめましょう。自動車のクラクション、雷、工事の音など、いつ猫がパニックを起こすような音がしても良いように備えておきましょう。

3.人間関係でのトラブルを避ける

事例にあったように、身近な方とのトラブルが原因で誘拐されることも少なくありません。ご近所との間にトラブルを起こさないよう、飼い主としてのマナーや一般市民としての良識をもった行動を心がけましょう。

また、恋人間のトラブルが原因となる場合もあります。どんなに親しいおつきあいをしている方とでも、いつ感情のもつれが起こるか分かりません。とばっちりが愛猫に向かわないように注意しましょう。

まとめ

行方不明猫のチラシが張られた木

日本の法律では、残念ながら、ペットは物品扱いになります。そのため、愛猫が誘拐されても誘拐罪は適用されません。身代金目的の人間の誘拐ならば、無期又は3年以上の懲役に処されるそうですが、猫だと窃盗罪や動物愛護法違反の罪で済んでしまうのです。

人の悪意は弱者に向かうことが多く、動物に対する犯罪は罰も軽く済んでしまうことが多いため、普段感じている以上に愛猫が誘拐されるリスクは高いのかもしれません。もう一度、誘拐されるかもしれないという観点で、環境や飼育方法、人付き合いなどを見直してみてもよいのではないでしょうか。また、現在マイクロチップを装着していない猫は、万が一誘拐されたり迷子になった場合に備えて装着を検討するのも良いと思います。

【ご紹介した本】

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