1.ストレス
警戒心が強い猫はいつも過ごしている環境に大きな変化があると不安を感じる動物です。突然大きな物音がした時や見知らぬ物や人が突然目の前に現れた時なども、怯えて神経が高ぶったり、攻撃的な態度をとる事があります。
一時的な状況であれば猫もすぐに落ち着きますが、慢性的なストレスが原因で発症する病気は猫にもあります。
- 心因性脱毛(舐性皮膚炎)
- 特発性膀胱炎など
環境の大きな変化や同居動物との折り合いの悪さなどの精神的なストレスによって引き起こされる病気に「心因性脱毛(舐性皮膚炎)」があります。猫がストレスから過剰に毛づくろいをすることによって、舐め続けているた個所が剥げて(毛がちぎれて)しまいます。猫が不快感や不安、恐怖を感じるような事が続く場合に発症することがあり、ストレスの要因を見つけて環境の改善や治療をしていく必要があります。
他にもトイレの失敗をしたり、排泄に異常がある場合は「膀胱炎」の可能性があります。。猫の膀胱炎にはいくつかの原因がありますが、原因を特定することができない「特発性膀胱炎」があり、ストレスが大きな原因となっているだろうと言われています。治療には、生活環境を見直してストレスの原因を見つけ、改善をすることが必要となります。また猫は、トイレの大きさや屋根の有無、砂の種類や量などに好みがあって、気に入らない点があるとトイレを我慢したり、粗相をしてしまう事もあります。トイレに入るけれども排泄をしないで出てくる、トイレの壁やかく、トイレをした後に走り回るなどの行動が繰り返し見られたら、泌尿器系の病気がないかをチェックしてもらうとともに、トイレに気に入らない要素がないか、トイレが清潔か、見直してみましょう。
2.食欲の低下
いつもは食欲旺盛なのに猫が急にごはんを食べなくなると心配になってしまいます。偏食子も多い猫は、気分によってごはんを食べない時もあるため、一日に必要な量をきちんと食べていれば問題はないでしょう。
気をつけたいのは、食欲が無くなるとともに嘔吐や下痢、元気がないなどといった他の症状が見られる時です。猫がそのような症状を起こす場合に考えられる病気には以下のものがあります。
- ストレスや食事内容による胃腸炎
- 腎臓病
- ウィルス感染症
- 誤食など
体調が悪い時は、身を守るために、部屋の隅や人目のつかないところで安静にしている事も多くなります。具合の悪そうな症状に加え、行動に異変があれば病気のサインである可能性が高いでしょう。
3.睡眠をとらない
猫が夜中に室内をバタバタと走り回り、元気すぎて時には困ってしまう飼主さんも多いかと思います。猫の眠りはもともと、浅い睡眠を細かく何回もとるものですが、飼われている猫は飼い主さんの生活パターンに合わせて生活することが多いため、日中充分に活動ができていれば夜中には活動的にならないのが一般的です。しかし、飼い主さんが帰ってきた夕方以降や夜中などに異常に元気があるといった場合は、以下のような状況が考えられます。
- 認知症
- 甲状腺機能亢進症
- 運動や遊びが足りていないなど
認知症や甲状腺の病気は高齢の猫に多く見られます。大きな声で鳴いたり、動き回る事が増えたりして落ち着きのない様子がある、食の好みが変わる、食欲が落ちたり逆に増したりするなど、似たような症状が見られることがある二つの病気ですが、「認知症」では同じ場所をウロウロして動作や反応が鈍くなる傾向が強いかもしれません。
「甲状腺機能亢進症」は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてエネルギーが余計に消費され、典型的には食欲が増したり、異常に活動的になったり、元気でよく食べるのに痩せる病気と言われています。しかし症状には個体差があり、食欲不振という全く逆の症状を起こしたり下痢だけを症状として現す猫などもいるようです。病気のサインとしては分かりにくいですが、悪化すると心臓や腎臓などの大切な臓器にも大きな影響を与えるため、少しでも異変を感じたらかかりつけの動物病院で相談をしてみましょう。
病気ではなく、単に運動や遊びが足りない場合にも夜中に寝ずに活動的になることがあります。できるだけ遊んであげる、知育おもちゃなどを使って留守番中もできるひとり遊びをさせるなどの工夫をしましょう。
まとめ
気まぐれな行動も多い猫ですが、体調が悪くなると隠そうとする動物です。「猫の行動がいつもと違う…」と感じたら愛猫の様子に気を配り、一時的なものなのか、病気の可能性があるのかを見極めることが大切です。異変に気付いた時からの変化や症状を記録しておくと、動物病院での診断に役立つことがあります。
愛猫の行動があきらかにいつもと違い、変化が続く、さらなる悪化が見られる場合は病気の可能性が高くなるため、迷わず動物病院で獣医師に相談をしましょう。