猫が八つ当たりするときの行動とは
生きているとさまざまな悩みに遭遇します。それは、人も猫も同じこと。猫も「攻撃すべきか、逃げるべきか」等と迷い、葛藤することがあります。そしてこのように2つの考えに挟まれて葛藤している時に、猫は自分を落ち着けるための行動をとることがあります。
それが、「転嫁性攻撃行動(転嫁行動)」と「自己指向性転位行動(転位行動)」です。
これらの行動は、いずれも悩みの本質とは全く関係なく、ただひたすら自分の気持ちを落ち着かせて気を静めようとする行動で、猫だけではなく人間にも見られる行動です。
転嫁行動
転嫁とは、罪や責任を第三者になすりつけることです。人が何かに失敗した時に、机を力いっぱいバンっと叩いたり、自分よりも力の弱い人に意地悪をしてしまったりする、八つ当たりと同じです。
猫はどうにかしたいのですが、それが上手くいかずにイライラすると、その気持の原因となる対象とは全く関係のない、身近にいる飼い主さんや同居猫などに対して攻撃を仕掛けるのです。この場合、猫は本気なので、非常に危険な状況だと考えましょう。
転位行動
どうにもできない気持ちを自分自身に向けるのが、転位行動です。人が何かに失敗した時に、頭をポリポリと掻いてみたり、髪の毛をいじってみたりするのと同じです。猫が何かをしようとして失敗したときに、急に毛づくろいや爪とぎをする行動が、転位行動です。
この行動は自分自身に向かうため、他者を傷つけません。またやりすぎなければ、はげたり皮膚炎を起こしたりといった問題にまではなりづらいので、あまり心配する必要はないでしょう。
猫のキュートな八つ当たり行動
では、飼い主さんや同居猫などに対して本気で攻撃してしまう八つ当たり行動が、どのような理由で起きるのかについて見ていきましょう。
1.侵入者発見!でも手が出せない
窓から外を覗いていたら、庭に野良猫を発見。「外敵が侵入している!でも外に出られず、撃退できない。あぁ、じれったい!」という葛藤から、近くにいた飼い主さんや同居猫に対して攻撃的になってしまうことがあります。
2.飼い主さんへの嫉妬!?
玄関に飼い主さんを出迎えに行ったら知らない猫のニオイ。「どういうこと!?相手は誰なの?どういう関係なの?」と、姿の見えない相手に対して警戒や威嚇をしたくて、身代わりに飼い主さんなどに攻撃的になってしまうことがあります。
3.お気に入りの場所を返して
今まで自分が専有していたお気に入りの場所に、飼い主さんが別の物を置いてしまって使えなくなった。でも猫の力ではどかせない…。
「もどかしい!」と愛猫がイライラしていた時に、近くを通りがかった飼い主さんや同居猫に攻撃的になってしまうことがあります。
4.そこ、違う!
飼い主さんが撫でてくれた。でも、ちょっとその場所は撫でてほしくない。「そこは触らないで!」と、たまたま近くを通りかかった別のご家族や同居猫に、攻撃的になってしまうことがあります。
5.八つ当たりからトラウマへ
最初は八つ当たりだった行為でも、それが経験として愛猫の記憶に固定化してしまうことがあります。
例えば、飼い主さんがなでてくれた場所が気に入らなかった時に、たまたま通りがかった同居猫に八つ当たりをした場合、「嫌な場所をなでられる」という不快感と「同居猫」がセットとして固定化されてしまうことがあります。
そうなると、嫌な場所をなでられる度に同居猫を襲うようになってしまい、一緒に暮らすには支障が出てきてしまう可能性があります。
度が過ぎる前に解決する方法
猫の八つ当たりは本気の攻撃なので、思っている以上に危険な事態になることがあります。
ひどい事態に発展してしまう前に解決する方法について、考えてみましょう。
落ち着くまで待つ
下手に手を出してなだめる方が危険です。攻撃的になった猫をそっとしておき、近くにいる飼い主さんは、離れた場所で静かに見守りましょう。
暗くして落ち着かせる
もしも同居猫を激しく攻撃してしまい、飼い主さんが仲裁に入らないと危険な状態に発展しそうだという場合は、大きなタオルや毛布で猫を覆ったり、部屋の電気を消すなどで暗くして、しばらくそのまま落ち着かせましょう。
原因をみつけて取り除く
愛猫が落ち着いたら、次にやることは「原因究明」です。またいつ八つ当たりを始めるかわからないため、原因を取り除くことが大切です。
- 野良猫の気配が理由であれば、よく姿を見せる窓にカーテンをする
- 飼い主さんの体についた他の猫のニオイが原因であれば、外ではできるだけ他の動物と接触しない
- 猫から奪ったお気に入りの場所は元の状態に戻す
- 愛猫が嫌がる場所は撫でない
このように、猫が八つ当たりしてしまう原因に合った対策を講じましょう。
まとめ
猫が八つ当たりをする原因は案外キュートな理由で微笑ましくなりますが、八つ当たり行動は本気の攻撃なので笑ってはいられません。まずは原因を探り、八つ当たり行動を引き出させないことが大切です。
しかし、もしも八つ当たり行動が固定化してしまったり、すぐに攻撃的になるような場合は、一度専門家に相談してみることも考えてみましょう。