1.脱毛や皮膚炎
グルーミングのし過ぎにより脱毛している、さらに皮膚が炎症を起こしている場合はストレスサインである可能性が高いです。
猫はストレスを感じて気持ちを切り替える時や心を落ち着かせたい時に「転位行動」としてグルーミングを行うことがありますが、ストレスが過剰であったり長期間続くと、そのグルーミングも過剰となることがあります。すると、ざらざらの舌で舐められ続けた部位の被毛が炎症し、皮膚炎を起こします。それでもストレスがなくならずに舐めることがやめられないでいると、皮膚がただれても舐め続けたり、ただれた皮膚に細菌感染が起こり膿んだりすることもあります。
このようなストレスサインとしての皮膚炎は舐性皮膚炎と言いますが、猫で脱毛や皮膚のただれ(びらん・潰瘍)、過剰に舐める原因(痛みや痒みなど)を引き起こす病気は他にも複数あり、ストレスによる舐性皮膚炎であると診断するのは難しいことがあります。
2.マーキングなどの排泄に関する問題行動
部屋中に臭い尿をスプレーする行為(マーキングの一つ)もストレスサインです。トイレ以外の場所での排便がストレスサインであることもあります。
スプレーとは、自分のテリトリーや存在、地位を主張をするために、排尿の時とは違う尿を尻尾を上に高く掲げて後向きや上向きに勢いよく出すことです。通常の尿より濃い上に、フェロモンの原料などの数種のたんぱく質が混じっているため、その独特で強烈なニオイは丁寧に拭いてもなかなか落ちません。
スプレーは性的なアピールである場合が多いですが、精神的なストレスによっても行われることがあります。トイレ以外の排便もそうですが、自分が守りたいテリトリーのマーキングを強化することで、自分の家や部屋を「より安心できる場所」にしようとしていると考えられます。オス猫の性的な行動としてのスプレーの場合は、去勢手術を行うことでスプレーしなくなることがあります。しかし、同居猫とのテリトリー争いがあったり何らかの精神的ストレスがあったりしてスプレーを行っている場合、解決するにはまず何がストレスになっているかを突き止め、そのストレスを取り除いてあげる必要があります。
3.食事や排泄のパターンが崩れる
食事や排泄のパターンが大きく崩れた場合も、ストレスサインである場合があります。
病気によってそれらのパターンが崩れることもありますので、食べる量が減った、排泄の回数が減った、排泄の時の行動がおかしい、などの異常が見られればまずは体調に異変がないかを動物病院でチェックしてもらう必要があります。
しかし、ストレスから食欲不振や便秘、下痢などが見られることもあります。また、神経質な性格の猫の場合、新入りの猫や同居動物のせいで隠れ家に隠れてばかりいて、きちんと食べたりトイレに行ったりできなくなる子もいます。猫は栄養を摂取できない時間が数日続くと、もとは精神的なものが原因だったとしても体まで壊してしまうことが多くあります。また、ストレスが原因だと考えられているタイプの膀胱炎もありますし、単に思うようにトイレに行けない状態も膀胱炎になりやすくさせるでしょう。
きちんと食べられているか、排尿、排便ともに変化はないか、いつも気にかけてあげましょう。
4.ゆっくりと眠れていない
健康な成猫でも1日に14時間以上寝ている猫で、ゆっくり眠れない状態が続く場合は何らかのストレスがあると考えて良いでしょう。
ストレスには精神的なものと身体的なものがありますが、しつこく遊ぼうとからんでくる新入りの子猫がいる、近所で行われている工事の音が怖い、または痛みや痒みがあるなど、様々な種類のストレスが猫が眠れなくなる原因になり得ます。また原因が何であれ、きちんと眠れなくなること自身がストレスにもなります。
猫の睡眠を妨げるような環境の変化がないか、眠れなくてイライラしている様子はないかなど、気にしてあげましょう。
まとめ
猫のストレスが限界に達している時に見られる4つのストレスサインについてお伝えいたしました。
人間もそうですが、ストレスは様々な病気を引き起こす原因になります。猫では、皮膚病や排泄、食事、睡眠の変化、泌尿器系の病気を引き起こすことがあります。このようなストレスサインが出てくる前に、早く猫のストレスに気が付いて対処できるようにしたいですね。