人間には無い猫の目の『タペタム』とは?その機能やタペタムがある理由・猫の目にまつわる驚きの事実5つ

人間には無い猫の目の『タペタム』とは?その機能やタペタムがある理由・猫の目にまつわる驚きの事実5つ

猫の主な獲物はネズミなどの小動物。夕方や明け方の薄暗がりで活動するため、猫達も自然と薄明薄暮性になりました。光がわずかしかない時間帯に小さな獲物を捕まえるため、猫の視覚情報は私達人間のそれとは随分異なり、同じ空間で暮らしていても見えている世界は随分と異なるようです。では、猫の目にまつわる不思議な事実をご紹介しましょう。

1637view

薄明薄暮性の猫の目には不思議がいっぱい

猫の目

ヒトと一緒に暮らす猫は、飼い主さんに合わせて夜眠ります。しかし元々は薄明薄暮性で、夕方や早朝の薄暗がりの時間帯に活動します。なぜなら、猫の主な獲物であるネズミなどの小動物が活動する時間だからです。

そのため、猫が必要とする視覚情報はヒトが必要とするものとは異なっており、それぞれに必要な能力を獲得するように進化してきました。したがって、私達が見ている世界と猫が見ている世界では、たとえ同じ部屋の中であってもかなり異なって見えているようです。

今回は、猫の目にまつわる事実をご紹介します。

1.薄暗がりでもよく見える目の構造

人の目の構造

まず猫に必要なのは、暗がりでもよく見える目です。夕方や明け方は、真っ暗ではありませんがごく僅かな光しかありません。そこで、猫の目の構造には次のような大きな特徴が備わりました。

大きい目

ヒトの眼球の直径は平均で2.5cm程で、猫の眼球の直径は平均2.2cm程です。「何だ、同じくらいじゃないか」と思われるかもしれませんが、ヒトと猫の身体のサイズを比べてみてください。猫の目がかなり大きいことが分かるでしょう。

目が大きいと、取り込める光の量も多くなります。しかも猫の瞳孔拡大率はヒトの20倍もあるため、かなりたくさんの光量を取り込めます。

光を有効活用するタペタム

光る猫の目

目の構造は、ヒトも猫も基本的には同じです。瞳孔から取り込んだ光が水晶体を通って光を受容する網膜に達します。網膜の裏には脈絡膜があり、さらにその先にある白い強膜が眼球を包んで保護しています。

ヒトの場合、網膜を通り抜けた光はそのまま脈絡膜、強膜へと進んで吸収されてしまいます。しかし、猫には網膜と脈絡膜の間にタペタム(輝板)と呼ばれる層があります。

この層が、網膜を通過してしまった光を反射して網膜の光受容器に戻すため、明暗情報が約40%も増加されるのです。暗闇の中で猫の目が光って見えるのは、タペタムが光を反射しているためです。

明暗を察知する細胞の数

光受容細胞には、明暗を受容する桿体細胞と色を受容する錐体細胞の2種類があります。猫の桿体細胞の数はヒトの3倍もあり、僅かな光で物を見られるのです。

これら3つの特徴を総合すると、猫はヒトの限界の6倍暗い場所にいても、物を見ることができると考えられています。

2.人間式の視力は低い

視力検査表と遮眼子

猫はネズミや小鳥などを捕まえる名ハンターなので、とても視力が良いと思っている方も多いかもしれません。しかし人間式の視力で考えると、0.2程度しかないそうです。最もピントが合うのは獲物に飛びかかる距離の75cm程で、遠い背景や15cm未満の近距離は、ぼやけて見えるようです。

その代わり、猫は動体視力に優れています。猫自身を軸として、1秒間に25〜60度程度移動する小さな対象物に最も強く反応します。つまり、獲物となる小動物の動きに最適化されているのです。

3.捕食者の視野

馬と猫

左右それぞれの目で見える部分を合わせた範囲を視野といいます。その内、両目で認識できる視野を立体視野といい、この範囲なら距離を正確に把握できます。一般的に、被食者は立体視野が狭く視野が広い、捕食者は視野が狭く立体視野が広いといわれています。

被食者の代表として馬を、そして私達ヒトと猫の視野を比較してみると、下記のようになります。
<各種動物のおおよその視野/立体視野>
ウマ:350度/65度
ヒト:200度/120度
ネコ:285度/120度

ヒトと猫はよく似ていますが、猫の方がヒトより視野が広いことが分かります。

4.色数の少ない世界

獲物を狙う猫

光受容細胞には2種類あり、猫には明暗を受容する桿体細胞が多いという話をしました。しかし、猫は色を受容する錐体細胞をヒトの1/5以下しか持っていません。錐体細胞には、赤、緑、青を感じる3種類の細胞がありますが、猫には赤を感じる細胞が欠けていると考えられています。

そのため猫が見えている色は黄色から青までの狭い範囲で、赤はほとんど黒っぽく見えていると考えられています。時々赤い色に着色されたドライフードを見かけますが、飼い主さん用の着色であり、猫の食欲には影響を与えていないでしょう。

猫が狩りをするのは薄暗い時間帯であり、かつ獲物となる小動物もカラフルではないことを考えると、光に強く色に弱いという目の構造は、猫にとってとても合理的だといえそうです。

5.成長につれて変わる目の色

子猫

猫の特徴の1つに、美しい瞳の色を挙げることができます。これは虹彩の色です。実は、猫の虹彩の色は成長とともに変化することをご存知でしょうか。

生まれて間もない猫の目は、どの猫も皆キトンブルーといわれる美しい青色です。この時の虹彩はまだメラニン色素ができていない、または非常に少ない状態なので、光のレイリー散乱という現象で美しい青色に見えるのです。

生後4〜5ヵ月頃になると徐々に虹彩にメラニン色素が沈着していき、やがて本来の瞳の色に固定されます。目の色は被毛の色に準じていて、濃い被毛の猫は目の色も濃く、淡い被毛の猫は目の色も淡くなります。

まとめ

瞳が美しい猫

同じ家で一緒に暮らしている愛猫が見ている景色は、私達飼い主が見ている世界とはかなり異なっていることが分かりました。私達人間は、五感のうちの約8割を視覚に頼っていますが、猫は2割程度だといわれていますので、実際に体感している世界はもっと異なっているのかもしれません。

猫について深く知ることで、愛猫にとっても私達飼い主にとっても、お互いが心地よく過ごせるような工夫点がみつかるかもしれません。

スポンサーリンク