猫の『尿検査』でわかることとは?早期発見に繋がる病気や検査方法・頻度など5つ

猫の『尿検査』でわかることとは?早期発見に繋がる病気や検査方法・頻度など5つ

人も猫も治せない厄介な病気の1つが腎臓病です。猫は元々砂漠のような乾燥した地域に生息していたため、少ない水分で生きられる身体のつくりになっている分腎臓への負担が高く、腎臓病は猫の宿命だと諦められていました。愛猫にできるだけ快適に長生きしてもらうためには、腎臓病の早期発見と早期治療が鍵となります。今回はそのために重要な「尿検査」について解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の健康管理に重要な尿検査

リビアヤマネコ

砂漠のような乾燥地域に生息していた猫の祖先にとって、少ない水分で生きていける身体のつくりは不可欠でした。現代のイエネコたちも、あまり積極的に水を飲む動物だとは言えません。それが腎臓や膀胱への大きな負荷となり、腎臓病は避けられない宿命のような病気だと諦められています。

最近の研究で、他の動物と比べて猫に腎臓病が多い原因は、AIMというタンパク質が猫だけ先天的に機能していないからだということが解明され、猫のための腎臓病治療薬の開発が進められています。

しかし、猫にとって慢性腎臓病は早期発見・早期治療が重要であることに変わりはありません。そのために重要な役割を果たす「尿検査」について解説します。

1.検査方法

猫の尿検査

尿検査は、主に4つのステップで行われます。

  1. 色、混濁度、ニオイの観察
  2. 尿検査用マルチスティックを用いた化学的性状の確認
  3. 尿比重
  4. 遠心分離機にかけて尿沈渣の顕微鏡観察

上記の4ステップで、尿の物理的な状態や化学的な検査、そして尿中に浮遊している成分などを調べることができます。

尿検査で使われる尿(検体)は、できるだけ余計なものが混ざっておらず、時間経過により変性していない状態であることが望ましいです。

ご自宅で採尿された検体を持ち込まれる場合は、できるだけ不純物が混ざらないように採取し、室温保管の場合は3〜6時間以内に動物病院に持ち込むことが理想です。それ以上時間がかかる場合は、冷蔵庫で保管しましょう。

2.尿検査で分かること

尿沈渣の顕微鏡検査

腎機能の低下はほとんどが無症状のまま進行し、かなり末期になってから急に症状が現れます。そのため愛猫の様子を観察していても、飼い主さんにはなかなか気付きづらいです。そこで、症状が現れる前に早期発見できる尿検査が有効なのです。

猫の尿は黄色が正常です。無色に近い場合は多尿により尿が非常に薄い状態であることを示し、赤い場合は血液が、乳白色の場合は膿が、褐色の場合は胆汁色素が多く混入していることがわかります。

また透明な場合は正常ですが、混濁している場合は結晶、赤血球、白血球、上皮細胞、細菌、脂質などが含まれていることがわかります。具体的に何が含まれているかは、尿沈渣を顕微鏡で観察することで明確にしていきます。

化学的検査では、尿pHの値や尿蛋白、尿糖、ケトン体、ビリルビン、尿潜血の有無を調べ、それぞれの値により該当する病気の早期発見を行います。

3.尿検査で早期発見に繋がる病気

点滴を受ける猫
尿比重
糖尿病、脱水症、腎不全、尿崩壊など
尿pH
尿路結石、尿路感染症など
尿蛋白
腎臓病、腎腫瘍、尿路結石、尿路感染症など
尿糖
糖尿病など
ケトン体
糖尿病、糖尿病ケトアシドーシスなど
ビリルビン
高ビリルビン血症、黄疸など
尿潜血
膀胱炎、尿道炎、尿石症、腎炎、泌尿器系の腫瘍など

4.採尿方法

自宅採尿する猫

尿検査には検体である尿が必要です。検体さえあれば猫自身を動物病院に連れて行かなくても検査を受けられます。どうしても病院へ行くことを嫌がってしまう猫の場合は、ご自宅で飼い主さんが採尿をし、検体だけを動物病院に持ち込むこともできます。

検査に必要な尿は、最低でも1~2mlは必要です。多い分には問題ありません。できるだけ余計なものが混ざっていない尿を新鮮な状態で持ち込むことが大切です。

自宅採尿の場合、トイレの形状や猫の性格にあわせて、良い採取方法を見つけましょう。最も単純な方法は、猫のお尻に容器を差し出し、そこに排尿して貰う方法です。システムトイレの場合は、ペットシーツを敷かずに排尿させ、トレイに溜まった尿をシリンジなどで吸い取る方法も良いでしょう。

自宅採尿が難しい場合は、動物病院でカテーテルまたは膀胱穿刺という方法で採尿し、そのまま検査してもらえます。

5.理想的な検査の頻度

検体の提出

猫は、歳をとればとるほど泌尿器系の病気に罹りやすくなります。まだ若い間は年に1回の検査でも良いですが、シニア期と呼ばれる7歳を迎えたら、年に2回以上の定期的な検査が理想的です。

定期的に尿検査、血液検査、画像検査を含めた総合的な健康診断を受けておくと、愛猫が健康な時の数値や内蔵等の状態を把握でき、さまざまな変化も早期に察知し、対処できます。

かかりつけの動物病院と相談をしながら、それぞれの年齢ステージや健康状態に合わせて、最適な検査項目で定期的に検査することをおすすめします。

まとめ

猫の尿検査

泌尿器系の疾患は、加齢と共に発症率が増えていきます。慢性腎臓病として失ってしまった腎機能は、二度と再生できません。対症療法でできるだけ生活の質を良い状態に維持する治療しかなく、それでも末期には非常に苦しい状態を迎えることになってしまうのです。

そのため腎機能の低下については、とにかく早期発見・早期治療が鉄則です。具体的な症状が現れる前に兆候を察知できる「尿検査」は欠かせません。

定期的な尿検査と並行して、普段から自宅でも量、色、回数、ニオイ、排尿時のしぐさなどを観察しておきましょう。これらの様子に「何かいつもと違うな」という違和感を覚えたら、すぐにかかりつけの動物病院に相談してください。

定期的な尿検査と普段の観察を習慣化することで、より早く愛猫の泌尿器系疾患を察知し、対処することができるようになるでしょう。

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