猫を最期まで飼うためのコスト
「猫はあまりお金がかからないのでは?」と思っている方は少なくないでしょう。しかし実際に一緒に暮らすとなると、思わぬところでお金がかかってしまうのは事実です。
猫の平均寿命は10歳~16歳で、なかには20歳前後まで生きる長寿猫も数多くいます。猫に毎日与える「食費」やお手入れ用品などの「生活雑費」はもちろんのことですが、猫と長く暮していけば突然のケガや病気になる可能性もあり「医療費」が飼い主さんの大きな負担となります。
日頃から猫の健康に気をつけて、病気にかからないようにすることが大切ですが、そのためには飼い主さんがある程度「時間」と「費用」を確保する必要があるでしょう。
1.猫と一緒に過ごす時間
日中は寝ていることも多いので「猫は手がかからない」というイメージがあります。確かに「12時間~16時間寝る」と言われている猫は、すやすやと眠っていることが多く、常にかまってあげる必要はありません。
しかし室内で飼われている猫は、外猫と違って身体を動かす機会や活動範囲も狭いので、運動不足による肥満やストレスがうまく発散できないということもあるでしょう。
室内飼いの猫でも活動範囲が広く、キャットタワーなどを使って上下運動ができるような環境にあるのなら良いですが、一人暮らしや猫が動けるスペースが限られている場合はおもちゃなどを使って猫と遊ぶ時間を設けることが必要になります。
- 短毛種は、20分~30分程度
- 長毛種は、15分~20分程度
猫の種類によって活発であったり、大人しい猫だったりと性格によっても運動量は変わってきますが、1日に遊んであげる時間は上記を目安にしましょう。長時間続けて遊ぶと猫の体に負担がかかるので、タイミングをみて飼い主さんが時間を作り、1日に数回おもちゃを使って遊んであげるのが理想的です。
2.猫に毎月かかる費用
猫を最期までお世話するためには猫への愛情だけでなく、環境と健康を維持するための「費用」が必要になってきます。毎月かかる費用は目安として以下のことが挙げられます。
- 猫の食事代
- 猫の生活用品
- 猫の光熱費
猫の食事代は2kg未満のキャットフードで500円前後~3000円以上するものまで金額に大きく差があります。他にも「おやつ」や「猫草」などの嗜好品も含めれば、毎月の猫の食費は4000円以上になることも多いでしょう。
消耗品となる猫の生活用品は「猫のトイレ砂」や猫の身体をケアする「お手入れ用品」、買い替えが必要な「爪とぎ」などは定期的に費用がかかります。これらは猫の健康を守るためにも、なくてはならない費用といえるでしょう。
他にも猫を室内で飼っていると、エアコンを24時間つけていることもあるため、ペットを飼っていない人に比べれば冷暖房などの光熱費もかかります。
基本的に健康な猫は寒い時に自分から暖かい場所を求めに行くので、人が快適に過ごせるくらいの室温であれば暖房をつけなくても良いのですが、長毛種や短毛種など毛の長さや年齢によっては気にかけてあげなければなりません。
特に仔猫や高齢猫の場合は、急激な温度変化にも弱く、まだ歩き回ることができない仔猫は、低体温症を防ぐために猫ベッドやケージなどにペット用ヒーターを設置することも多いでしょう。
他にも室内が乾燥することによって風邪を引きやすくなったり、皮膚トラブルの原因になるため、加湿器などを使って湿度を調整することも必要になります。
3.その他に必要な費用
必ずしもお金がかかるわけではありませんが、猫を飼う時に必要となる費用は以下の項目があげられます。
- 避妊去勢手術費
- ワクチン接種費
- ペット保険料
- 病気やケガによる医療費
猫との暮らしで心配なのは、突然の病気やケガなどによる医療費です。尿路結石症など猫特有のなりやすい病気もあり、入院や手術、治療が長期間続くほど高額な医療費がのしかかります。ペット保険に入っていなければ全額自己負担となりますので「治療費に数十万円かかってしまった」というケースも少なくありません。
病気の種類によっては症状を悪化させないための「猫の療法食」を医師からすすめられることもあります。療法食は一般的なキャットフードと比べると値段が高いので、猫の食費が以前より格段に増えてしまうことも考えられるでしょう。
また、高額な病院の費用を抑えるためペット保険に加入していれば、プランによって通院や入院、治療費が手厚く保障されるので万が一の時の備えとして安心です。ペット保険は掛け捨て型で年々保険料があがるタイプが多いので、加入する前は保険会社をよく比較し、加入した後は保証内容が愛猫に合っているか定期的にプランを見直すことも大事です。
まとめ
猫との暮らしは楽しいことがたくさんありますが、長く一緒に住んでいれば思わぬケガや病気になる可能性があるのは猫も同じです。病気の種類にもよりますが、入院や手術など「高額な費用が突然かかることがある」ということを忘れないようにしなければなりません。
猫を最期まで飼うため費用を前もって準備しておくことは必要ですが、猫が病気にかからないように普段から気をつけてあげる環境作りは何よりも大切です。猫に楽しく、健康な生活を送らせてあげられるように、猫と過ごす「時間」や「費用」についてしっかりと向き合っていきたいですね。