名ハンターでもあり獲物でもあるのが猫の本質
猫は名ハンターで、人と一緒に暮らすことになったきっかけも、蔵の穀物や経典を狙うネズミを狩る能力を買われたからだといわれています。
また自由奔放なイメージも強く、ストレスを受けて弱るといったイメージとは程遠いかもしれません。
しかし、ストレスを受けやすい繊細さを持っているのが猫です。それは、猫が単独で生活することを基本としてきたことが関係しています。
身体が小さい猫は、名ハンターであると同時にいつ自分が獲物になるかわかりません。しかも、自分自身で身を守るしか術がありません。
そのため、猫はとても縄張りを大切にします。侵入者を許さず、小さな変化にも敏感です。
今回は、猫にとってストレスになりやすい要因やストレスサイン、そして愛猫にストレスを与えないための注意ポイントや予防策をご紹介します。
主な猫へのストレス要因
前述の通り、猫は縄張りをとても大切にします。なぜなら、縄張り内なら安心して過ごせるからです。
飼い猫にとっての縄張りは、飼い主さんと一緒に暮らす家の中です。縄張りを飼い主さんと共有しているという感覚なのです。
そのため、猫にとって最大のストレスとは、下記のような内容です。
- 家の外に出ること(引っ越しも含みます)
- 知らない人間や動物が家を訪れること(家族の増加も含みます)
- 家の中が変化すること(リフォームや模様替えも含みます)
また、下記も猫のストレス要因として挙げられます。
- 猫の習性に適していない環境である
- いきなり食事内容が変わった
- なかなか掃除されない汚いトイレ
- 刺激がなく退屈な毎日
- 飼い主の不適切な接し方(構いすぎ、構わなさすぎ、手際の悪いお手入れなど)
- 普段はあまり起きない出来事(雷花火工事などの大きな音や地震など)
猫のストレスサイン
猫はストレスを受けると、その行動に変化が現れます。この行動の変化を「ストレスサイン」と呼びます。
代表的な猫のストレスサインをご紹介します。
- 隠れて出て来なくなる
- トイレ以外の場所で排泄をする
- 下痢をしたり嘔吐をすることが増える
- セルフグルーミングをする時間が増える
- 前足などの同じ場所をグルーミングしすぎて脱毛が見られるようになる
- 食欲がなくなる、または増える
- 攻撃的になり、ちょっとしたことで噛みついたり引っ掻いたりするようになる
- まだ若いのに寝てばかりいる、またはなかなか寝なくなる
上記のような行動の変化が見られた場合は、ストレスサインの可能性があります。
変化が現れたきっかけに思い当たるフシがないかを振り返り、ストレス要因を見極めましょう。
猫のストレスに対する注意ポイントと予防策
ストレス要因を見極めたら、環境やコミュニケーション法を改善し、ストレス要因を取り除きましょう。
下記に挙げる注意ポイントや予防策を参考に、取り組んでみてください。
1.猫の習性に適した環境を整備する
元々猫は森林で暮らし、木の上から縄張りを監視したり、洞穴に身を隠したりしていました。
それを意識して、室内の空間を立体的に使わせてあげたり、身体がちょうど入る程度の小さくて四方を囲まれた隠れ家を複数設置してあげましょう。
2.環境の変化に対応する
引っ越しやリフォームなどは、それがいくら猫にとって苦手なことだとしても、現実には避けられないことです。
その場合は、愛猫や飼い主さんのニオイがついたブランケットやクッションなどを、新しい環境に置いてあげましょう。
猫は慣れ親しんだニオイを感じることで、新しい環境でも安心できます。
3.爪とぎをする場所を作る
猫は、自分の縄張りを主張するためにニオイを使います。
爪とぎには、鋭い爪を維持する他に、傷や自分のニオイをつけることで縄張りを主張するという役割もあります。
室内の複数箇所に、爪をといでも良い場所を作りましょう。
4.コミュニケーション方法を見直す
縄張りを共有する相手となるために、飼い主さんと愛猫との間には信頼の絆が必要です。
そのため、毎日のスキンシップがとても大切です。コミュニケーション不足では、良い関係性は作れません。
一方、構いすぎもいけません。適度な距離感を保ちつつ、信頼関係を築きましょう。
5.狩猟本能を満たす
猫には、今でも狩猟本能が受け継がれています。
飼い主さんがおもちゃを獲物に見立てて上手に操ってあげましょう。
そのような遊びを通して、猫は擬似的に狩りを行い、狩猟本能を満たしてストレスを発散することができます。
6.多頭飼いの場合の注意ポイント
新しい家族が増える場合は、必ず先住猫を優先しましょう。
新しい猫に気がいきすぎてしまうと、先住猫は新しい猫に嫉妬します。
必ず先住猫を優先し、新しい猫を迎えても、変わらず先住猫を愛しているということを伝えてあげましょう。
また、トイレの数は最低でも「猫の頭数+1個」は必要です。多頭飼いでも、トイレが常にきれいな状態であることが大切です。
7.長期間留守をする際の注意ポイント
猫と暮らしていても、どうしても数日留守にしなければならない場合もありますよね。
猫の場合は他へ預けるよりも、家で留守番をさせる方がストレスが少ないです。
知人、または信頼できるペットシッターに留守中の世話を頼めると良いでしょう。
まとめ
猫には「名ハンター」とか「自由奔放」といったイメージが強く、ストレスを受けやすい繊細な面があるというイメージがないかもしれません。
しかし実際の猫はとても繊細で、ちょっとしたことでもストレスと感じて体調を崩したり、神経質になったりすることがあるのです。
愛猫のストレスサインを早めに察知し、愛猫に快適な暮らしを提供することで、飼い主さんも快く楽しい生活を送れるようになるでしょう。