遺産を愛猫へは相続できない
現在(2022年3月時点)の日本の法律では、飼い主さんの遺産を愛猫へは相続できません。ペットはあくまでも「物」として扱われるためです。
遺産を相続する人に、「財産を受け取る代わりに愛猫の面倒をみる」という「負担付き遺贈」もできるのですが、これは残念ながら確実とはいえません。なぜなら、遺産だけ受け取って後は知らん顔、もしくは相続を放棄されてしまう可能性があるからです。
そこで頼りになるのが「ペット信託」。ペット信託であればお金や猫のお世話が適正に管理、監督されるため、安心して託すことができるのです。
基本は三者の間で成り立つ
ペット信託は「委託者」である飼い主と、財産を管理する「受託者」、そして猫のお世話をする「受益者」で成り立ちます。そこへお金と猫のお世話を監督する「信託監督人」を設定すれば適正に運用が行われるため、安心して愛猫を託せるという仕組みです。
受託者は家族や親しい友人など、飼い主さんが信頼できる人物に任せるのがよいよう。もしなり手がいない場合は、請け負ってくれる団体もあるそうです。実際に愛猫のお世話をする受益者も、よく確認して信用できるところへ任せた方がよいと思われます。
監督をする信託監督人は、ペット信託契約に携わった法律家がなるケースが一般的なのだそう。信託監督人の設定は任意となります。
ペット信託をする際は飼い主さんだけで行うのではなく、専門家の意見を聞く方が確実に、安心に行えると思われます。
費用は預ける先によって違う
ペット信託をするには、当然ですが愛猫を託した後のお世話費用がかかってきます。その費用はいくら、という決まった金額があるわけではなく、猫をお世話する先によって変わってくるのです。
ここで信頼できる預け先でなければ、飼い主さんの愛猫への愛につけこみ、法外な費用を要求される可能性もゼロではありません。預け先の選定は慎重に行なった方がよいようです。もし保護団体などにお願いする場合は、見積もりを2~3箇所でとるようにすると安心できるかもしれません。
メリット
ペット信託にするメリットは、「愛猫のお世話とお金の管理が適正に行われる」という点が考えられます。たとえば負担付き遺贈では、財産を相続した後に本当に愛猫のお世話が行われるかはわかりません。もしかしたらお世話してもらえない…ということがあるかもしれないのです。
その点、ペット信託ならば安心できると思われます。信託監督人をつければ更に確実に、実行されるでしょう。
また、愛猫のお世話にかかる費用は相続財産には含まれないため、万が一相続争いが起きたとしても、影響を受けることはありません。その点もメリットと言えるのではないかと考えられます。
デメリット
考えられるデメリットとしては、「それなりの費用がかかる」という点があると思われます。ただものは考えようで、飼い主さんが亡くなったあとの愛猫が心配であれば、ある程度費用はかかったとしても安心できる方がよいでしょう。ペット信託をするかどうかは、飼い主さん次第となるのではないでしょうか。
他にも、猫のお世話をしてくれる受益者を探すのが難しいという点が挙げられるようです。個人で行おうとするとハードルが高い場合もあるかもしれませんが、ペット信託を提供している団体などもあるため、そういったところにお願いする方法も。飼い主さんがやりやすくて安心できる方法をとるのが、一番と思われます。
まとめ
飼い主さんが元気なうちにペット信託をしておけば、その後の人生を安心して生きることができるかもしれません。上手に使って、不安を解消できるとよいですね!