猫の寿命が2倍になる時代に?猫の長寿で飼い主に求められる『心構え』6つ

猫の寿命が2倍になる時代に?猫の長寿で飼い主に求められる『心構え』6つ

昨年の夏、新型コロナウイルス感染拡大により資金調達が困難となった猫の腎臓病治療薬の研究開発費として、2億円を超える寄付金が集まり話題になりました。多くの人々が待ち望んでいるこの薬が完成すれば、猫の寿命が2倍になるかもしれないと期待が寄せられています。やがて訪れるであろう長寿時代に向けて、猫の飼い主に求められる「心構え」をまとめました。

日本中の猫好きたちに応援されている新薬の研究開発

東京大学

2021年夏、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ある新薬の開発資金調達が行き詰まっていると報じられました。

猫の宿命とも言える腎臓病に対する治療薬です。

これは、『動物の血液の中に存在しているAIMという遺伝子のアミノ酸構造が、ネコ科の動物だけ異なっているために腎臓病になりやすい』ということがわかり、それを応用して猫用の腎臓病治療薬を開発しようという研究です。

するとその大学に2億円を超える寄付金が集まり、さらに話題になり、猫の飼い主さんをはじめ、非常に大勢の人々が新薬を待ち望んでいることが分かりました。

この研究は、2022年3月末には多くの関係者が新しく設立されたベンチャー企業に移り、本格的な治験を進めて2023年の農林水産省への承認申請を目指そうと動き出しています。

この薬が完成すれば、猫の寿命が今の2倍、つまり30歳まで生きられるようになるかもしれないと期待が寄せられています。

猫の長寿化に伴う問題

元気なシニア猫

しかし、50年前の猫の平均寿命4〜5歳が現在の約15歳になったことでさえ、新しい問題が発生してきています。

さらに寿命が30歳まで伸びることで、状況はより厳しい面も増えてくることが容易に予想されます。

それは、高齢化する猫の健康管理問題です。

腎臓病以外にも高齢化に伴い、多くの病気にかかるリスクが増えます。

さらに基礎代謝や筋力などのさまざまな身体機能の低下により、食事も住環境もストレス管理も、今まで以上に飼い主さんの負担が増えることになるからです。

また飼い猫の高齢化と同時に、飼い主さんの高齢化も進みます。

その結果、今まで以上に「老老猫介護」の問題も深刻化していくはずです。

こういった状況を考慮して、やがて訪れるであろう猫の長寿時代に向けて、飼い主さんに求められる「心構え」についてまとめます。

長寿化時代の猫の飼い主に求められる心構え

獣医師と猫と飼い主

1.ホームドクターを持つこと

猫の飼い主さんにまず求められるのは、なんでも気軽に相談できる信頼のおけるホームドクターを持つことです。

予防医療を含めて若い頃からホームドクターにお世話になることで、小さな変化にも気付きやすくなり、その時々で必要なアドバイスも受けられます。

また、高度医療を必要とする難しい病気になった場合も、ホームドクターや2次医療機関とうまく連携することで、愛猫をしっかりとサポートすることができるでしょう。

そのためにも、若い頃からペット保険に入っておくということも大切です。

2.年齢に適した食事に切り替えること

年齢を重ねることで、猫も基礎代謝や消化機能が衰えていきます。

愛猫の状態に合わせ、食事内容や量を適切なものに切り替えていくことが大切です。

無頓着でいると、肥満による不自由な生活を強いる、体調不良の原因となるなどに繋がります。

3.毎日のスキンシップと観察を怠らないこと

スキンシップ

いくら頼れるホームドクターを持てたとしても、飼い主さんが愛猫の異変に気付けなければ、あまり意味がありません。

愛猫の健康管理を行い、病気の早期発見・早期治療を実現するためには、飼い主さんによる愛猫とのスキンシップと観察が欠かせません。

『愛猫の様子を毎日しっかりと確認し、違和感を感じたらホームドクターに直ぐに相談をする。』『定期的な予防接種や健康診断も継続して受ける。』

その積み重ねが、愛猫を元気に長生きさせる秘訣です。

4.ストレスのない住環境を維持すること

猫は非常にストレスに弱い動物です。

しかも、高齢化により身体能力が衰えていきますので、若い頃以上に愛猫へのストレス管理は重要になっていきます。

『愛猫の身体能力や体調に合わせて、適宜住環境を改善し続ける』『状況がどんなに変わっても、変わらない愛情を注ぎ続ける』といったことも、大切な心構えの1つです。

5.元気なうちから介護の準備を始めること

猫と老人

猫も老化によって介護が必要になります。

足腰の筋力が弱まり、ちょっとした段差にも躓くようになったり、若かった頃と同じ姿勢では食事が辛くなったり、最終的には寝たきりになったりもします。

認知症を発症することも少なくありません。

介護の準備は、症状が出てから始めるのでは遅すぎます。

愛猫の様子を見ながら、先手先手で準備を行うように心がけましょう。

6.万が一への備えをすること

歳を重ねるのは愛猫だけではありません。

猫の1年は人間の4年分とは言え、猫の長寿化に伴い飼い主さんの高齢化も避けられないでしょう。

飼い主さんの長期入院や施設への入所、死亡などを想定し、元気なうちから備えておく必要があります。

ホームドクターにもアドバイスを貰えますので、ペット信託、老猫ホームなども含めていろいろな選択肢を調べ、万が一の場合に愛猫が路頭に迷わないための備えをしておきましょう。

まとめ

シニア猫と女性

AIMという遺伝子を活用した猫の腎臓病治療薬の開発が成功し、腎臓病で苦しむ多くの猫たちが救われる日が待ち望まれます。

それと同時に、ますます長寿化が見込まれる猫達に元気に長生きしてもらうための、飼い主としての責任も考える必要があります。

猫の長寿化は、そのまま飼い主さんの高齢化も意味します。

猫達の健康管理や日々のケアだけではなく、飼い主さんご自身が万が一の場合にも、愛猫が路頭に迷わないための備えが必要です。

猫の長寿化は嬉しいことですが、それに伴い、さらに飼い主としての責任や心構えについても見直していきましょう。

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