猫の『多頭飼育届出制度』とは?その目的や内容・多頭飼いをする際の心構えなど5つ

猫の『多頭飼育届出制度』とは?その目的や内容・多頭飼いをする際の心構えなど5つ

法律による厳しい規制がなく、動物と一緒に暮らすことを学ぶ機会も少ない日本では、善意ある人々が正しい知識を持てなかったために多頭飼育崩壊を起すことが少なくありません。跡を絶たない多頭飼育崩壊の対策として、「多頭飼育届出制度」を導入する自治体が増えています。制度の内容や目的、そして猫を多頭飼いする際の心構えについて整理します。

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続く多頭飼育崩壊

保護猫達

6畳に163匹の猫、アパートで100匹以上の猫、飼い主が亡くなり猫20匹だけが残された等々、多頭飼育崩壊のニュースはなぜか跡を絶ちません。

多頭飼育崩壊を起こすのは、一般の人々であったりブリーダーであったりと、さまざまです。

動物と一緒に暮らすにあたり、日本では特別な制約や法律による厳しい規制がほとんどありません。

多頭飼いに関しても、「化製場等に関する法律(化製場法)」の中に指定地域における許可性が取られていることと、「動物愛護管理法」に多頭飼育崩壊発生後の措置として、改善勧告・命令に関する規定がある程度です。

※化製場:死亡した家畜の死体などを処理する施設のこと

また動物と一緒に暮らすための知識を学ぶ場所も、多いとは言えません。

そこで続出する多頭飼育崩壊への対策として設置されたのが、一部の自治体における『多頭飼育届出制度』です。

最初に導入されたのは、2003年の「山梨県動物の愛護及び管理に関する条例」でした。

現在では、山梨県の他に、茨城県、佐賀県、滋賀県、長野県、新潟市、大阪府、さいたま市、埼玉県、千葉県、京都市、札幌市、福岡市、神奈川県など、導入自治体が増えてきています。

しかし、まだ一部の自治体のみにとどまっています。

今回は、多頭飼育届出制度の概要と、猫を多頭飼いする際の心構えについてご紹介します。

多頭飼育届出制度の概要

くつろぐ猫たち

多頭飼育届出制度は条例の中で定められているため、各自治体ごとに内容が異なります。

ここでは、神奈川県の制度をベースに説明します。

お住まいの自治体にこの制度があるかどうかを確認し、ある場合は直接条例を確認してください。

概要

犬または猫の飼い主さんは、飼養している犬または猫(いずれも生後91日未満の個体は除く)の合計数が、一施設内で10頭以上となった場合は、その日から30日以内に、飼養する施設ごとに知事に届け出なければなりません。

目的

一斉に食事

多頭飼育崩壊による犬や猫の引き取り事例が増加しています。

また、多頭飼育による犬や猫の不適正飼育や騒音、悪臭など、近隣の生活環境への悪化による苦情も寄せられています。

そこで、多頭飼育に関する情報を早期に把握し、飼い主への支援や指導を行えるように、届出制度を新設しました。

届出事項

  • 飼い主の氏名(法人の場合は法人名、代表者名)及び住所
  • 飼育場所の所在地
  • 犬または猫の数、性別、避妊または去勢手術実施の有無
  • 飼育等の方法

届出先

保健福祉事務所環境衛生課、動物愛護センター 等

届出様式

  • 多頭飼養届出書
  • 多頭飼養変更届出書
  • 多頭飼養廃止等届出書

多頭飼いをする際の心構え

集合した猫達

1.不妊去勢手術は必須

不妊去勢手術は猫が可愛そうだと考える方もおられます。

しかし猫の繁殖能力はとても高く、2回も出産させてしまうと10頭を超えてしまい、あっという間にきちんと世話をできる頭数を超えてしまいます。

多頭飼いをするのであれば、不妊去勢手術は必須だと考えましょう。

2.災害時の避難方法の確保

地震、洪水、火事など、自然災害や人災はいつ起こるか分かりません。

いざという時に、一緒に暮らしている猫達を守れるのは飼い主さんだけです。

万が一の場合に、飼い主さんが猫達を連れて安全に避難できる手段の確保が必要です。

また、いざはぐれてしまった場合の対策として、すべての猫にマイクロチップや名札の装着もしておきましょう。

さらに、避難所生活にも適応できるように、普段からきちんとしつけを行っておくことも大切です。

3.動物同士の関係に配慮

猫の喧嘩

元々、猫は単独で生活する動物です。

飼い主さんだけでなく、他の猫達とも縄張りを共有して暮らしていくことは、猫にとってかなりストレスフルな環境です。

それを理解した上で猫同士の関係に配慮できなければ、多頭飼いの成功は難しいです。

4.健康管理と食事管理は個体別に実施

猫の頭数が増えれば、かかる手間も費用も増えていきます。

定期的なワクチン接種や健康診断もすべての猫に対して必要ですし、年齢に適した栄養管理や心身の健康管理も全て個別に行う必要があります。

5.不十分な世話は虐待となる

飼い主さんの経済力、時間、体力のいずれが欠けても、十分な世話はできません。

食費や医療費の負担、糞尿掃除、衛生管理、猫の生態や習性に適した住環境の整備、ブラッシング、歯磨き、爪切り等々。

これらが十分にできなければ、飼い主さんが愛猫達に対してどんなに愛情を持っていたとしても、虐待をしていることに等しいのです。

まとめ

抱かれる子猫たち

猫を多頭飼いする場合は、決して「可愛いから」または「可哀相だから」という感情だけで始めてはいけません。

飼い主さんにどんなに気持ちがあっても、実行力が伴わなければ、猫達も飼い主さんも幸せにはなれません。

正しい知識を学び、自分の限界をしっかりと見極めましょう。

それでも多頭飼いをするのであれば、お住いの自治体が多頭飼育届出制度を設けているか否かを確認し、きちんと手続きを行いましょう。

多頭飼育で困ったことが発生した場合にも、支援やアドバイスを受けることができます。

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