『猫カゼ』の種類と原因3つ!予防のためにすべき対策は?

『猫カゼ』の種類と原因3つ!予防のためにすべき対策は?

人の場合、風邪をひいても軽症であれば自宅療養で治してしまう方も多いでしょう。猫にも、「猫カゼ」と呼ばれている病気があります。猫カゼも2〜3週間で自然に回復する場合もありますが、初期段階できちんと治療を受けることが望ましいです。今回は猫カゼについて、原因やこれをきっかけに発症する病気、予防策などを解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫カゼとは

くしゃみをする猫

人間の場合、「風邪」と聞いてもあまり大変な病気だというイメージがなく、こじらせない限りは自宅で療養して治してしまうという方も多いかもしれません。

猫にも、人の風邪とよく似た症状が現れる『猫カゼ』と呼ばれている病気があります。

実は、猫カゼとは固有の病名ではありません。

ウイルスや細菌に感染したことが原因で発症する、猫上部気道感染症の総称です。

その症状は、目ヤニ、くしゃみ、鼻水などが出る、元気や食欲がなくなるなど、人の風邪によく似ています。

しかし、人の風邪と猫カゼは、感染するウイルスの型などが異なるため、お互いの風邪がうつることはありません。

今回は猫カゼについて、その原因や症状・特徴、猫カゼがきっかけとなって発症する病気、予防策などを解説します。

猫風邪の種類と原因

風邪をひいた猫

1.猫伝染性鼻気管炎

猫ヘルペスウイルスⅠ型に感染して起こる猫カゼです。

このウイルスは、猫の間には非常に蔓延しているウイルスで、猫カゼの多くがこのウイルスの感染症だといわれています。

症状としては、涙が増え、目ヤニやくしゃみ、鼻水が出たり、元気や食欲がなくなります。また、結膜炎などを発症することもあります。

この目ヤニや鼻水の中に大量のウイルスがいます。

未感染の猫が感染した猫と接触し、この目ヤニや鼻水を、自分の口、鼻、目などの粘膜から体内に取り込んでしまうことで感染します。

2〜3週間で回復しますが、鼻炎や結膜炎が治らずにグズグズと長引くことがあります。

また、ヘルペスウイルスに感染してしまうと、ウイルスがその猫の体内に潜伏し続けるため、体力や免疫力が低下したり、過度のストレスを受けた時に再発することが多いのも特徴です。

2.猫カリシウイルス感染症

舐める猫

猫カリシウイルスに感染して起こる猫カゼです。

このウイルスも、猫の間に広く蔓延しており、猫カゼとしてこの感染症もとても多いといわれています。

一般的な風邪の症状の他に、口内炎が発症するのがカリシウイルスの特徴です。

そのため、鼻水、くしゃみの他に、唾液による感染リスクにも注意が必要です。また、関節炎や肺炎を発症することもあります。

カリシウイルスもヘルペスウイルスと同様に、2〜3週間で回復します。

しかし、一度感染すると猫の体内に潜伏するため、体力や免疫力の低下やストレスなどをきっかけに再発することが多いです。

カリスウイルスの中には強毒のものもあり、それに感染してしまうと命に関わる場合もあります。

3.クラミジア感染症

クラミドフィラ・フェリスに感染することで起こる猫カゼです。

1歳以下の子猫でよくみられ、眼の結膜に感染しやすいという特徴があります。

そのため、くしゃみや咳、鼻汁などの症状の他に結膜炎が見られます。感染は、鼻水や目ヤニなどの接触感染です。

カゼがきっかけとなって発症する病気

猫カゼの猫

一口に猫カゼと言っても、「ヘルペスウイルス」「猫カリシウイルス」「クラミジア」などの感染したウイルスや細菌によって症状やその後の状態も変わる、ということがおわかりいただけたでしょうか。

前述の説明の中でも触れていますが、猫カゼがきっかけとなって発症する病気は以下のとおりです。

  • 鼻炎
  • 結膜炎
  • 口内炎
  • 関節炎
  • 肺炎

いずれも重篤化すると、猫自身がつらい思いをしたり命に関わることもある厄介な病気です。

猫カゼを「ただの風邪」と軽く考えずに、初期症状のうちにきちんと動物病院で治療を受けてください。

予防のための対策

猫のワクチン接種

猫カゼを引き起こす病原体は、猫の間には広く蔓延しているウイルスや細菌です。

したがって、感染を完全に防ぐというのは難しいのが現実です。

しかし、感染を防げなくても、軽症化するためにとても有効な予防法が、定期的なワクチン接種です。

猫伝染性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症は、その感染力の強さからコアワクチンとされ、完全室内飼育の猫でも必要なワクチンに指定されています。

5種混合ワクチンを接種すれば、コアワクチンと共にクラミジア感染症のワクチンも含まれています。

たとえワクチンを定期的に接種したとしても、猫を外に出さないこと、他の猫との接触は避けることが重要です。

特に、庭に侵入した野良猫と網戸越しで接触することも危険ですね。

また、飼い主さんが外で触れ合った猫から病原体を媒介してしまうこともありますので、十分な注意が必要です。

帰宅後は、すぐに手を洗うように心がけましょう。

さらに、すでに感染してしまっている場合の再発を防ぐために必要なことがあります。

栄養バランスの取れた食事を摂らせて体力や免疫力を維持すしたり、ストレスフリーな生活を送れるようにしてあげることも、とても大切です。

まとめ

マスクをした猫

ヘルペスウイルスやカリシウイルスなどは、猫の間に広く蔓延しており、感染力も強いウイルス。

そのため、愛猫がご家庭にやって来る前に感染している可能性も非常に高いです。

「外に出さない」「他の猫と接触させない」「飼い主さんが他の猫と触れ合った後はすぐに手を洗う」などの対策はもちろん徹底しましょう。

さらに、体力や免疫力の維持、ストレスのない生活をサポートするといった「再発予防策」や、定期的なワクチン接種による「軽症化対策」も重要になります。

猫カゼは感染力が強いため、特に多頭飼いの場合はワクチン接種で大事な愛猫たちを守ってあげたいですね。

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