猫には猫に、犬には犬に合った飼い方があります
人生、いつ何が起こるか誰にもわからないものです。
以前、犬と一緒に暮らした経験のある飼い主さんが、ふとしたご縁で猫と一緒に暮らすことになったということもあるでしょう。もしくは、逆のパターンもあるかもしれません。
その時に、犬との経験をそのまま猫に当てはめたり、猫との経験を犬に当てはめたりすると、大きな問題につながるかもしれません。
猫と犬は、共に長く人と一緒に暮らしてきた動物ですが、その習性や進化の歴史はかなり異なります。
猫には猫に、犬には犬に合った飼い方があるのです。
猫と犬の習性の違いに焦点を当てて、その特徴と注意ポイントをご紹介します。
1.森で暮らすか草原で暮らすか
猫と犬の祖先をたどっていくと、同じ「ミアキス」という動物になります。
つまり、猫も犬も同じ動物から進化しているのです。
しかしそれを言ったら、アメーバも猫も犬も人も、皆生命の起源から出発して進化してきたのです。
つまり、進化の過程が異なると、姿形も習性も能力も、大きく異なるということです。
ミアキスは、約6,500万年前〜4,800万年前頃に、ヨーロッパから北米の森林に生息していた、イタチに似た小型の肉食動物でした。
そのまま森林での生活を選んだミアキスは猫の祖先になり、草原へと暮らしの場を移したミアキスは犬の祖先になりました。
森林で暮らしていた猫は、狭くても上下に移動できる立体的なスペースを上手に利用して心身ともに安定して暮らします。
草原で暮らしていた犬は、立体的な空間は利用できませんが、広い大地を駆け回ったり散歩したりすることで、心身の健康を維持して暮らします。
2.単独で暮らすか群れで暮らすか
猫は、ずっと単独で生活してきました。何をするのも、頼れるのは自分自身の力だけです。
そのため、獲物となるのは小動物や昆虫となります。
必然的に、1度の食事量は少なくなり、複数回食べることでお腹を満たしきました。
そのためイエネコも、1日に1回の給餌をしたからといって一気にどか食いをすることはなく、自分で食べる量を調整します。
犬は、ずっと集団で生活してきました。狩りをするのも群の仲間たちと協力しながら獲物を捕まえ、分け合って食べるのです。
そのため、最初に餌にありつけるのは群のリーダーで、その後は仲間たちで奪い合いながら食事をすることになります。
現在の飼い犬にも「食べられる時に食べておく」という習性が残っていて、1度にたくさんのフードを給餌すると一気にどか食いをしてしまいます。
愛犬への給餌は、飼い主さんが適量を複数回給餌するような調節が必要です。
3.自立か協調か
前述の通り、猫は単独で犬は集団で暮らしてきました。
猫は何でも自分の思い通りに行動し、その結果何が起きても全て自己責任になります。
そのため、猫は他者からどう評価されるかを気にしません。
しかし、失敗したことは忘れずにいて、二度と繰り返しません。
犬は、集団の中である程度の役割を担って行動していました。群のリーダーや仲間たちとの協力が必要だったのです。
そのため、犬は他者からの評価を気にします。褒められる事自体に喜びを感じるのです。
この違いは、犬と猫のしつけのしやすさに大きな影響を与えます。
犬の場合はいわゆるトレーニングが可能です。
猫の場合も可能ですが、どちらかというと、人間が「こうして欲しいということをするように」、「こうして欲しくないということはしないように」誘導していくといったイメージに近いかもしれません。
4.縄張りを死守するか集団に合わせるか
猫は自立して生きていく必要があったため、自分の縄張りをしっかりと死守する必要があります。
そのため、住環境の変化にはとても強いストレスを感じます。
イエネコも、部屋の模様替えや引っ越しなどは強いストレスになりますし、縄張りの外へ出る外出や旅行も苦手です。
犬は集団を優先するので、群が引っ越すのであれば一緒に行動するのが当然でした。
そのため、犬は飼い主さんと一緒に外出したり旅行に行ったりすることを楽しむことができます。
5.一匹狼のハンターかチームプレイヤーか
猫はとにかく自力で獲物をハンティングしなければ生きていけませんでした。頭の中は、狩りのことでいっぱいだったのでしょう。
イエネコも、その習性は変わっていません。飼い主さんとの遊びも、飼い主さんが動かすおもちゃを獲物に見立てた擬似的な狩りが中心になります。
犬は群の中で役割をこなしていました。その後も人間のために役に立つようにと、品種改良が重ねられてきました。
そのため、チームプレーに喜びを感じます。遊びについても、ゲームや競技、旅行など飼い主さんとの共同作業を楽しむことが中心になります。
まとめ
今回は、猫と犬の習性の違いに焦点を当ててご説明してきました。
他にも、狂犬病予防法という法律で、犬を飼う場合は居住している市区町村に登録しなければならない等の規定がありますので、注意が必要です。
それぞれの習性に合わせた飼育方法があるのですが、猫も犬も、飼い主さんとのコミュニケーションにより深い絆を築くという点は同じです。
相手の習性や性格を理解し、相手の立場で考えて愛情深く接していけば、犬とも猫ともきっと良い関係が築けるはずです。