猫の目の構造
人の目は、白目の中に瞳がある様子がひと目で分かりますが、猫の場合、瞳の部分が大きいため、白目はまぶたに隠れて見えません。
瞳は、光を透過させる瞳孔と、光量を調節するために瞳孔の直径を調節する虹彩からできています。
瞳の上を覆っている角膜は透明で血管もないため、そのまま虹彩と瞳孔が見えています。
猫は、夕方や明け方の薄暗い時間帯に狩りを行っていたため、薄暗い場所でもなるべく多くの光を取り込めるようにと、虹彩が大きくなったと考えられています。
一般的に猫の目の色といった場合、この虹彩の色を指します。
猫の目の色の決まり方
虹彩にはメラニン色素があり、この色素の量で猫の目の色が決まります。
生まれて間もない子猫のメラニン細胞は、まだ色素として定着していません。
そのためどんな猫も、子猫の時期にはキトンブルーと呼ばれる色の目をしています。
これは、微小な粒子が光を散乱する「レイリー散乱」という現象の結果です。
これは、虹彩に含まれる少量のメラニン色素が、オレンジやレッドなどの長い波長よりもブルーやグリーンなどの短い波長の光を優先的に散乱させるためにブルーに見える現象です。
いわゆる、空が青く見えるのと同じ原理です。
子猫の時期はメラニン色素がまだないため、最も短い波長の青い色に見えるのです。
生後2ヵ月、早い場合は生後3週間を過ぎると目の色が徐々に変化し、おおよそ生後8ヵ月くらいで本来の目の色になり、その後は変わりません。
猫の目の色の種類
1.ブルー(青系)
メラニン色素として定着しても、その量が少ないとレイリー散乱により目がブルーに見えます。
最も色素が少ないと濃いめのサファイアブルーとなり、色素の量が増えていくとブルー、アクアと徐々にブルーの色味が薄くなっていきます。
シャムなどの被毛がポインテッドの猫は、皆ブルーの目です。
ポインテッドとは、顔、耳の先、手足の先のように、温度の低い部分のみにメラニン色素ができ、濃い色になる模様です。
目は温度が高く色素ができないため、ブルーになります。
2.グリーン(緑系)
ブルーの目よりもメラニン色素の量は少し多いですが、ブルーと同様にレイリー散乱によりグリーンに見えています。
代表的なのがロシアンブルーで、シルバー・ブルーの被毛でグリーンの瞳を持つ猫だけが認定されます。
また、エジプシャンマウ、ベンガルでシルバーの被毛を持つ猫の目もグリーンになります。
3.ヘーゼル
グリーンよりもメラニン色素の量が多い目の色です。
ヘーゼルとは、グリーンからブラウンのグラデーションになっている目です。
通常は中央が薄い色(グリーン)で、外側が濃い色(カッパーやアンバー)です。
4.アンバー(琥珀色)
ヘーゼルよりメラニン色素の量が多い目の色です。
その中でも色素量が少なく色味もやや薄めのイエロー、中間のアンバー、色素量が多めで色味も濃いめのゴールドと呼び分けられることもあります。
5.カッパー(銅色)
最もメラニン色素量が多い目の色です。メラニン色素が多いと長い波長と短い波長の両方を吸収するため、黒っぽい色合いになります。
人間の場合はユーメラニンという黒色を作り出す色素が多いので、アジア人のような黒目になりますが、猫の場合は黄色を作り出すフィオメラニンが多いため、銅色になります。
6.オッドアイ(虹彩異色症)
左右で異なる色をした目を、オッドアイと呼びます。白猫の25%がオッドアイだといわれています。
また、ターキッシュアンゴラ、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、メインクーンなどに多いともいわれています。
左右ではなく、1つの瞳に異なる2色が入っているダイクロイックアイも、オッドアイの一種です。
7.レッド
突然変異で、色素が全く作られないアルビノが生まれることがあります。
色素を全く作れないため被毛も全身真っ白で、目も虹彩だけではなく、タペタム層にも色素が作られません。
そのため、血管が透けて赤みがかった目の色になります。
人気品種の目の色の特徴
スコティッシュ・フォールド
前に折れた耳が特徴で人気のスコティッシュフォールドは、ホワイトやブラックといった単色や、タビー、バイカラー、スモークカラーなどさまざまな被毛の色や柄のパターンがあります。
大きくて真ん丸な目の色も、被毛に準じて豊富です。
マンチカン
短い足が人気のマンチカンも、ブラック、ホワイトなどの単色や、タビー、バイカラーなど被毛の色や柄のパターンが豊富です。
用心深そうな印象を与えるくるみ型の目の色も豊富ですが、中でもグリーンやヘーゼルが多いといわれています。
日本猫
日本猫という純血種があるわけではありませんが、日本土着の猫たちには、アンバーやカッパーの目を持つ猫が多いといわれています。
ブルーやグリーンの場合は、洋猫の血が入っているようです。
まとめ
猫の大きな目は愛らしく、濁りのない美しい目に吸い込まれそうな魅力を感じる飼い主さんも、多いのではないでしょうか。
しかし猫の目をじっと見つめる行為は、けんかを売っているというサインになり、愛猫に強いストレスをかけてしまいます。じっと見つめることは避けた方が良いでしょう。
ただし目の色が定着した猫は、その後色が変わることはありません。
万が一目の色に変化が現れた場合は、病気の可能性が高いです。普段のお手入れの中で、さり気なく目の状態も確認すると良いでしょう。