身の回りのユリの仲間
冠婚葬祭で好まれる真っ白なカサブランカは、まさにユリの代表格。
おせちに欠かせないユリ根や中華料理の金針花(乾燥ワスレグサ)も立派なユリの仲間です。
さらには風で種が運ばれて、いつの間にか庭や道路脇に咲いているテッポウユリなど、花や園芸に縁がないと思っていても、さりげなく身の回りにあるのがユリの仲間なのです。
避けたいのはユリ全般
中毒になる物質は特定されていませんが、ユリの仲間とユリに似た花を咲かせる球根植物(キスゲやカンゾウ、スイセン、スズラン、チューリップなど)は危険だと考えましょう。
ユリは花・茎・葉・球根・花粉、さらにはユリを挿した花瓶の水まで危険だといわれます。
猫は猫草に似た葉に1度は興味を示しますし、手や服に付いた花粉は知らずに舐めてしまうはず。
また、こぼれた花瓶の水を飲んでしまう可能性もなきにしもあらずです。
ユリ中毒の症状は?
ユリの毒は腎臓に大きなダメージを与え、急性腎不全を引き起こし死に至ることがあります。
猫がユリを口にすると
- 元気がない
- 大量のよだれ
- 嘔吐
- ぐったりする
- 痙攣を起こす
などが症状としてあらわれます。
愛猫がユリやその仲間を口にしたら、あるいは原因不明でも、上記の中毒症状を起こしたら、一分一秒を争って病院へ向かいましょう。
ユリ中毒の予防策
予防策として1番いいのは「ユリの仲間を買わない・置かない・育てない」です。
何をするか分からない子猫や好奇心いっぱいの若い猫、何でもかじってしまう猫がいる間は、家に持ち込むのを控えた方がいいでしょう。ユリの花を自宅に飾ったり、植える場合は以下のことに気をつけてください。
1.猫の手や口の届く所に花や球根を置かない
花を飾るなら、吊り下げ式や壁掛けタイプの花瓶などを用い、猫の手や口から遠ざけましょう。
足がかりのない高いところに置くのもいいですね。
ただし花瓶の水をこぼさない工夫は必要です。
2.花粉を散らさない
ユリの花粉は服に付くと取れないため、いただきもののユリの花では必ずおしべが取ってあります。
しかしつぼみが咲けば、花粉たっぷりのおしべが顔を出します。
花が咲いたらすぐにおしべを取れるよう、開花のタイミングには常に注意します。
3.ユリのありかを知っておく
テッポウユリの種は軽く、風に乗ってやって来て気が付くと芽を出しています。
特に小さいうちは猫草に似ており、おとなの猫でもかじろうとします。
庭はもとより、ベランダの植木鉢などに芽が出ていないか、時々チェックしておきましょう。
まとめ
ユリの仲間は花束に入っていることも多く、思っているより身近です。
幸い、最も猫の口に入りやすい花粉は、花材店でおしべを取って捨てられることが多いため、植物をかじるクセのある猫でなければ、そこまで神経質にならなくてもいいかもしれません。
しかしやはり油断は禁物です。
ユリの仲間の存在によって、猫の宿敵「腎不全」、特に「急性腎不全」で愛猫が命を落とす可能性があることを忘れないようにしておきましょう。