一体猫は人間をどう思っているのでしょう
愛猫のことを我が子のように感じ、愛猫からも親だと思われていると感じている飼い主さんが多いのではないでしょうか。
たしかに、飼い主さんと愛猫がスキンシップを交わすことで、母子間と同じようにお互いに幸福ホルモンが分泌されて、愛情の絆が深まることが分かっています。
しかし、これは飼い主さんと愛猫という特殊な関係だから成立する関係性です。
では、猫は人間一般のことをどのように思っているのでしょうか。
動物行動学者によると、『犬は人間のことを自分たちとは異なる動物種だと認識しているが、猫は人間のことを自分たちと同じ猫だと思っている』とのことです。
では、もう少し詳しく整理してみましょう。
1.猫だと思っている
動物学者が『猫は人間のことも猫だと思っている』と判断した理由は、猫の人間へのコミュニケーションが、猫同士のコミュニケーションと変わらないという理由からです。
猫は、人と挨拶をする時も、自分のにおいを相手につける時も、毛づくろいをすることも、友好のサインを出しながら近寄ってくる時も、一緒に遊ぶ時も、猫同士のコミュニケーションと同じ方法で人間とコミュニケーションを図ります。
これは、犬同士で遊ぶ時と人間と遊ぶ時では態度が異なる犬とは、全く異なる点です。
犬は元々群れの中で生活しているため、少なくともリーダーとメンバーという立場を意識した行動を取っています。
一方、猫は基本的には単独で生活するため、相手とは常に対応な立場で行動を取っています。
犬と猫の違いは、人間を人間だと思っているかどうかというよりも、立場が違うと思っているか対等と思っているかの違いなのかもしれません。
2.不器用だと思っている
猫は、人間のことを猫だと思っていますが、体格の違いは当然理解しています。
また、猫には当然できて当たり前のことができないということも理解しています。
例えば、自分で獲物を狩ることができない、俊敏性に欠ける、高い場所へ飛び乗ることができないなどです。
これらを総合すると、猫は人間をただ猫だと思っているわけではなく、「図体は大きいけれども不器用な猫だと思っている」というのが、実態に近いと言えそうです。
以前は、猫が獲物を飼い主の所へ運んでくるのは、狩りの仕方を教えるためだとか、とった獲物を自慢しているのだといわれていました。
しかしこの猫の行為も、今では「この人ならこの獲物をもっと美味しくしてくれる」と思っているのではないかという説もあるようです。
この点については、直接猫に聞いてみたいところです。
3.友好的な仲間だと思っている
『猫は嫌な思いをしたことは一生忘れない』といわれています。そうすることで、リスク回避をしているというわけです。
そのため、過去に嫌なことをされた人には自分から近寄ることはありません。
しかし、猫がしっぽをまっすぐ上にあげて近寄ってくる場合は、猫が相手のことを敵意のない猫だと認識しており、挨拶しに来るためだといわれています。
つまり、過去に嫌なことをされた人間でなければ、猫は基本的には人間のことを「友好的な仲間」だと思っていると解釈できます。
まとめ
このように猫にとって人間は、基本的には対等で友好的な仲間です。
ただし、身体は大きいのに不器用でちょっと頼りない部分もあると思われているようです。
注意すべきなのは、「嫌な思いをさせたら、一生忘れてはくれない」という点です。
上から目線で猫に不快な思いをさせたり、身の危険を感じさせるようなことをしてしまうと、友好的な関係から一転、排除されるような関係性に変わってしまうかもしれません。
親子間に近い愛情はそのままに、支配的な態度は見せずに愛猫と対等な立場でコミュニケーションをとるように心掛けると、良い関係を維持できるのかもしれません。