それまで喜んでいたのに急に怒り出す猫
猫と一緒に暮らしていれば、一緒に楽しく遊んでいたのに急に手に噛みつかれたとか、自分から寄ってきて気持ちよさそうに撫でられていたのに、突然猫パンチに見舞われたなどという経験をお持ちなのではないでしょうか。
このような、よく見かける猫たちが突然キレたような行動は、人間には単なる気まぐれとかわがままのように見えます。
しかし、猫たちには猫たちなりのきちんとした理由があるのです。
今回は、猫たちが突然キレる理由とその対策について、解説します。猫が突然キレる理由を知り、上手に愛猫とのコミュニケーションを図れるように工夫してください。
1.人の手を狩りの獲物と勘違いしている
一緒に楽しく遊んでいたら急に愛猫が飼い主さんの手に噛み付いてきた、最初は甘噛み程度だったのだが次第に力が入ってきて思わず「痛いっ!」と叫んでしまった、などという経験をお持ちの飼い主さんも、おられるのではないでしょうか。
もしかすると、子猫の頃から猫と一緒に素手で遊んでいたのではありませんか?
猫にとっての遊びは、狩りのシミュレーションです。大抵は、猫じゃらしなどのおもちゃを獲物に見立てて遊びます。
しかし飼い主さんの手で直接遊んでいると、猫は「飼い主さんの手=おもちゃ」であり、狩りゲームの獲物である、と学習してしまいます。
そのため、遊びのクライマックスで獲物に飛びかかり捕まえようと、飼い主さんの手を噛んでしまうのです。
愛猫と一緒に遊ぶ時には、必ずおもちゃを使って遊ぶようにしましょう。
2.「やめて!」のサインが出ていたのにしつこく触る
気持ちよさそうに撫でられていた愛猫が、突然嫌がって猫パンチを仕掛けてくることがあります。
飼い主さんに撫でられることが大好きな猫は、たくさんいます。自分から飼い主さんに近寄り、撫でてくれと催促することも多いでしょう。
しかし、自分が求めていた以上にしつこく撫でられすぎると、今度は耐えられなくなってしまうのです。
人間も、いくら好きな相手からだったとしても、あまりにもしつこくベタベタされると「もうやめて!」という気持ちになるのではないでしょうか。それと同じことだと思ってあげてください。
猫は、そろそろ止めて欲しいと感じると、下記のようなサインを発信します。よく観察し、「もうやめて!」のサインが出たら早々に切り上げるようにしましょう。
- 耳を少し寝かせる
- しっぽを大きく不規則に振る
- 毛を逆立てる
- 唸るような声を出す
3.知らない人や猫が訪ねてきた
飼い主さんと愛猫だけの時には穏やかに過ごしていたのに、来客や知らない動物が窓から見えたりすると、急に興奮して「シャーッ!」と威嚇をすることがあります。
猫にとって、家の中は自分の縄張りです。もちろん自分だけの縄張りではなく、飼い主さんや同居猫たちと共有しているものの、大切な縄張りには違いありません。
猫にとって縄張りは、安心できる場所であり、しっかりと守らなければならないエリアです。
そのため、自分の縄張りに侵入してきた見知らぬ人や、侵入しそうな知らない動物を見かけたら、侵入させまいと必死に縄張りを守る行動をとるのです。
窓の外の野良猫に興奮するようであれば、猫が外を見られないようにする等の工夫をしてください。
また愛猫をいろいろな人に会わせて、「人間は怖くない」「敵ではない」ということを学習させるようにして、徐々に人に慣らしていきましょう。
来客者を怪我させるわけにはいきませんから、遠目から見るだけ、少しだけ近づいてみる、など段階を踏んで、猫から人に近づいてくるのを待ちましょう。飼い主さんには攻撃したことがない猫でも、見知らぬ人となれば話は別です。急に近づいて猫に触ったりしないよう気をつけてください。
4.食事中に邪魔をされた
愛猫の食事中に触ったりちょっかいを出したりすると、突然怒り出す場合もあります。
食事は、生きていくためにとても大切な活動です。食事中に触られたりちょっかいを出されたりすることで、餌を取られてしまうと感じて守ろうとするのです。
特に、お家に迎え入れられる前に生存競争の厳しい環境で育ってきた猫には、その傾向が強く見られます。
まずは、食事中は静かに食べることに集中させてあげましょう。
そのうえで、愛猫に「飼い主さんは愛猫の食事を横取りしたり食事の邪魔をしない」と信頼してもらえるような関係を築いてください。
5.病気や怪我の可能性
今までは体を触ったり抱き上げたりしても平気だったのに、ある日突然愛猫の身体に触ると怒り出すようになったという場合は、触られることで痛みなどが生じるからかもしれません。
外見上は何の変化も見られない場合でも、病気やケガが潜んでいる可能性がありますので、早めに動物病院で診てもらうようにしてください。
6.脳神経系に異常の可能性
まるで別の猫になったように攻撃的になったという場合は、脳神経系に異常を来している可能性があります。
飼い主さんや同居している他の猫などに対して激しい攻撃行動をとるようになった場合は、速やかに動物病院で診てもらいましょう。
脳神経系の病気の場合、完治するのは難しいかもしれません。しかし、投薬治療などで症状を緩和することが可能なこともあります。
まとめ
それまで穏やかだったのに、突然キレてしまう猫の代表的な理由とその対策についてご紹介しました。
猫と人間ではその習性が異なるため、なかなか理解しがたい部分もあるかもしれません。
しかし、猫の習性を学ぶことで、猫の視線で考えることができるようになり、愛猫との間により深い絆を築けるようになるはずです。
また、突然キレる理由の中には、病気やケガが潜んでいる可能性があることも分かりました。
少しでも思い当たるフシがある場合は、躊躇せずに愛猫を動物病院で診てもらうようにしましょう。