猫の習性と脳の構造
愛猫の仕草や行動を見ていると、私達人間と同じような感情を持ちながら生活しているように思えてしまいます。しかしそう感じるのは、勝手に人間の尺度を猫に当てはめているからなのかもしれません。
思考や感情は、脳によってコントロールされています。したがって、猫の感情について考える際には、猫の習性に加えて脳の構造の特徴も把握しておくべきでしょう。
猫の脳と人の脳とを比べると、基本的な構造はとても良く似ています。しかし、大きな違いが「大脳新皮質」です。
大脳新皮質は、物事を論理的に考えて情報処理をする役割を担っている部分で、高等動物から表れた部分です。
人の脳は大脳新皮質が大きく発達しているのに対して、猫の大脳新皮質はうっすらとしかなく、本能的な行動を司る旧皮質や古皮質の部分が発達しています。猫は論理的な思考を組み立てることは苦手だと考えても良いでしょう。
またよく言われているように、猫は単独で狩りを行う動物ですので、行動のすべてが自己責任になり、周囲の目を気にするという習性は持っていないということも、感情に大きな影響を与えていると考えて良いでしょう。
これらを前提に、猫の「照れる・嫉妬・恥」という感情について考えてみたいと思います。
猫に「照れる」や「恥」という感情はあるか
「照れる」という言葉の意味を調べると、「気恥ずかしく感じる。また、恥ずかしそうな態度や表情をする。」とあります。つまり、照れるという行動は、恥ずかしいという感情から発したものだということが分かります。
「恥ずかしい」という感情は、一人っきりの時には生じません。他の人から自分がどう見えているかということを意識することから生じる感情です。自分の行動が第三者の目にどのように映り、どう思われているかということを、論理的に考えた末に出てくる感情だといえるでしょう。
前述の通り、猫は周囲の目を気にしません。また、論理的な思考もそれほど得意ではありません。「照れる」とか「恥」といったような感情は、猫にはあまり生じるとは思えない感情だということになります。
猫の照れ隠し!?
猫に「恥ずかしい」とか「照れる」という感情はないと言われても、うちの猫は台に飛び乗りそこねた時などに、よく照れ隠しのような行動をしていると思われている飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
明らかに失敗したなというシーンの後で、急に毛づくろいを始めたり、大きなあくびをしたりするといった行動です。
これは転位行動と言われる行動です。動物行動学で使われる言葉で、相反する感情の板挟みになって葛藤した時に、その葛藤とは全く無関係な行動をすることを言います。
人間の場合、失敗をした時に照れ隠しで頭をかくといったような行動を取ることがあります。これも転位行動の一種ですが、猫の場合はそもそも照れることがありません。
猫が失敗をした時の転位行動は、気持ちを切り替えて次の行動に移ろうという意味合いが強いと考えられています。
猫に「嫉妬」という感情はあるか
基本的には単独で行動する猫ですが、子猫を生んだばかりの野良の母猫は、協力しあってお互いの子猫を育て合うことが知られています。また飼い主さんと愛猫との間には、本当の親子のように深い愛情の絆が結ばれることも分かっています。
このように、猫はとても愛情深い動物です。そのため動物行動学者たちも、猫には「嫉妬心がある」と考えています。
猫の多頭飼育をされている方は、新参猫を迎える場合、新参猫よりもまずは先住猫を優先するように気を使われることが多いのではないでしょうか。これも、経験的に先住猫が新参猫に嫉妬心を持つことが分かっているからだと思われます。
まとめ
今日のねこちゃんより:姫(ひめ)♀ / 1歳 / 茶トラ / 4.9kg
私達人間は、猫の仕草や行動を自分たちの尺度で推し量り、猫も人間と同じような感情をもって暮らしていると考えがちです。
しかし、猫と人間とでは、習性も脳の構造も異なるため、あまり猫を擬人化してしまうと大きな誤解をしてしまい、猫にとってあまり良くない態度をとってしまうかもしれません。
今回の記事を参考にしていただき、猫の行動を見直してみると腑に落ちることが見つかるかもしれませんね。