猫のライフステージの目安
令和2年の一般社団法人ペットフード協会の調査によると、猫の平均寿命は15.45歳でした。猫の15歳は、人間の76歳に相当します。
では、猫のライフステージの目安はどう考えればいいのでしょうか。
環境省発行の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、猫のライフステージを下記のように分類しています。
- 哺乳期:誕生〜30日位
- 離乳期:生後20〜60日位
- 成長期:生後50日〜1年位
- 成猫期:生後1年〜8年位
- 中高齢期:生後8〜10年位
猫の体は、細胞レベルでは7歳で老化の兆候を示し始めるともいわれています。どうやら、中高齢期手前頃から愛猫の老化を意識し始める必要がありそうです。
老化とは
老化とは、加齢に伴い体のさまざまな機能が徐々に低下していき、元に戻ることなく進行していくことです。
人間の場合は皮膚のシワ、髪や歯の抜け落ち、視力や聴力等の低下、筋力や反射能力等の低下といった兆候が見られます。臓器の機能や免疫力も低下するため、さまざまな病気にも罹りやすくなります。
猫も同じように、老化によりさまざまな身体能力が低下し、体や心に様々な変化が現れてきます。よく見られる猫の老化による変化について、もう少し具体的に見ていきましょう。
老化で現れる心や体の変化
1.被毛の変化
一部の品種を除き、猫は鼻先や肉球といったごく一部を除いて全身が被毛で覆われています。そのため、もっとも気付きやすいのが被毛の変化かもしれません。
艶がなくなり、パサついたり被毛に割れ目ができたりします。また濃い毛色の子は、顔周りの白髪が増え、全身の被毛の色も薄くなってきます。
2.口の中の変化
口の中も変化しやすい部位です。歯の黄ばみや黒ずみ、歯石が多くなってきます。
また口臭がするようになったり、以前よりもよだれが出るようになることもあります。歯肉が赤く腫れたり下がってきたりと、歯周病になっていることも多いです。
3.柔軟性がなくなる
体に柔軟性がなくなり、ケガをしやすくなります。ほんの少し高いところから降りる場合でも、注意が必要になります。
また柔軟性がなくなることで、毛づくろいできる範囲が限定的になってきます。前述の被毛の変化も、これによる影響が大きいといえるでしょう。被毛の変化は皮膚にも影響を与えます。
4.筋力が低下する
加齢により筋力も低下していきます。顕著なのは、後ろ脚の太腿が細くなってくることでしょう。筋力の衰えと共にジャンプ力も低下し、今まで簡単に上がれた場所にも上がれなくなります。関節炎を伴っていることも多いです。
また徐々に動かなくなり、動けなくなっていきます。爪とぎも含めて爪が使われることがなくなっていくため、爪が厚く鉤爪のように伸びます。
5.五感の機能低下
嗅覚、聴覚、視覚などの感覚機能が低下していきます。猫は元々視力にあまり頼らないため、視力の低下には特に気付きづらいでしょう。物にぶつかる、急に抱き上げると驚くといった変化に注意しましょう。
嗅覚の低下は食欲の低下に繋がります。呼んでも無反応な場合は聴力の低下が疑われますが、老化により「面倒くさい」という気持ちが出た結果の場合もあります。
6.好奇心がなくなる
好奇心もなくなっていき、周囲に無関心になることも多いです。感覚機能の低下で気付かないのか、気付いても興味が湧かないのかは判断に迷うところです。
刺激のない退屈な暮らしが続くと、ますます無気力になってしまいます。
1日に10数分程度を数回だけでも構わないので、なるべく一緒に遊ぶ時間を作り、積極的に刺激を与えるようにすると良いでしょう。
7.性格が変わったようになる
老化により今までできていたことができない、周囲の様子を把握できないといった体の変化は、猫自身を不安な気持ちにさせます。
それが原因で、若い頃よりも甘えん坊になる猫もいれば、周囲に対して攻撃的になる猫もいます。特に攻撃的になる場合は、加齢に伴って患いやすくなるホルモンの病気や脳の病気が隠れている場合も。
いずれにしろ、ちょっと性格が変わったと感じた場合は、老化が原因かもしれません。
まとめ
老化は止められません。しかし早期に老化のサインに気付き、生活環境の改善や飼い主さんの適切な介助をすることで、老化の進行を緩めたり生活の質を維持することも可能です。
愛猫が中高齢期に差し掛かる時期になったら、定期健康診断の頻度を上げる、愛猫の様子をよく観察する等で、老化のサインをいち早く察知してあげましょう。