猫はなぜ縄張りを持つの?
猫にはなぜ、縄張りが必要なのでしょうか。その理由をいくつか挙げてみます。
- 縄張りを作ることで安全に生活できる
- 他の猫と無駄な争いを避けるため
猫は本来、単独で生活する動物です。予め生活圏を決めておくことで、安全に暮らすことができます。
猫はすぐに喧嘩をするイメージがありますが、これは誤解です。
お互いに致命傷を追うことを避けるため、威嚇や睨み合い程度に留めておくことが暗黙のルールになっています。
縄張りの広さや特徴について
ここからは、縄張りの特徴について紹介いたします。野良猫と家猫とでは、縄張りの特徴が異なるのでしょうか。
縄張りの種類
縄張りには「ホーム・テリトリー」と「ハンティング・テリトリー」の2種類があります。
ホーム・テリトリーは、食事や睡眠などを取るプライベートは空間です。範囲は狭く、誰かと共有することはありません。これは、野良猫も家猫も同じです。
ハンティング・テリトリーは、狩りをして食料を得る場です。獲物が多い地帯であれば範囲は狭く、乏しい場合は範囲を広げなければなりません。さらに、他の猫とエリアが重なることがあります。
よって、住んでいる地域や自分自身の能力に応じて個体差が生じます。
ホーム・テリトリーとは異なり、確実に食料を調達しなければならない野良猫のほうが範囲が広くなります。
オスはメスよりも広い縄張りを持つ
オス猫は、生活に必要な縄張りの他に繁殖に関する縄張りを持ちます。だから、自ずとメス猫よりも範囲が広くなるのです。
オス猫は時期を問わず交尾をすることができます。より多くの子孫を残すために、広げた縄張りの中で繁殖可能な相手を探します。
家猫は室内が縄張りになる
家猫にも縄張り意識があります。完全室内飼育であれば、家の中でホーム・テリトリー(お気に入りの寝床)やハンティング・テリトリー(遊び場)を作ります。
野良猫は縄張りが変わることも
猫は変化を嫌う動物なので、基本的には同じエリア内で生活します。しかし、ハンティング・テリトリーは共有スペースであることから、常にキープできる保証はありません。
睨み合いで負けた猫は、強い猫にその場を譲らなければならないのです。ちなみに猫界では、顔の大きな猫は有利だといわれています。
マーキングで縄張りを主張する
猫は自分の尿を吹きかけることで縄張りを主張します。一般的にマーキングと呼ばれるもので、中でもこの尿を飛ばす行為をスプレー行動といいます。強烈な臭いを放つことが特徴的です。
家猫もマーキングを行います。標的になるのは壁やカーテンなどです。早い段階で避妊・去勢手術をすることで改善することが期待できます。
縄張りはどう守るものなの?
1度獲得した縄張りは守っていかなければなりません。どう守るのでしょうか?
1.パトロール
縄張りを死守するためには、毎日の見回りが欠かせません。猫は几帳面な動物なので、そのルートも概ね決まっています。
家庭内をウロウロして歩く行動もパトロールです。単に室内を巡回して歩くだけであれば、そっと見守りましょう。
2.マーキング
ここでもマーキングが行われます。先程のスプレー行動をはじめ、爪を研ぐ行為もマーキング目的ですることがあります。
3.睨み合いの喧嘩
猫は賢い動物なので、狩りをする場所は他の猫と時間帯が重ならないように気をつけています。それでも時々、鉢合わせしてしまうことがあるのです。
ここでやむを得ず、睨み合いや威嚇といった喧嘩に発展します。ルールはシンプルで、目を逸らして背を向けたら降参の合図です。
勝者は敗者を痛めつけることはありません。負けた猫は、速やかにその場を立ち去ります。
まとめ
猫の縄張り制度。それは、ひとり暮らし専門の動物が、平和に暮らしていくための賢い生き方だということが分かりました。猫は単に我が強いわけではないのですね。
縄張りを築くという習慣は、家猫にも備わっています。愛猫が気に入っているスペースは縄張りなので、侵さないように気をつけましょう。