猫にも「恥ずかしい」感情はあるの?
猫は運動神経が良い動物です。それでもジャンプに失敗することや、カーブを曲がりきれずに転んでしまうことがあります。
一緒に暮らしていると、時々このような場面に出くわすことがあるでしょう。こういう時、失敗を見られた猫が、ちょっぴり照れくさそうな仕草をすることがありませんか。やはり、猫も恥ずかしいのでしょうか。
猫は失敗を見られても「恥ずかしい」という感情が湧くわけではありません。しかし思うように行かなかった結果、イライラや葛藤を感じることがあるようです。
あの照れくさそうな仕草は「転位行動」といって、気持ちを落ち着かせるための行動なのです。
猫の転位行動
何かミスをしてしまった時、猫は次のような転位行動を取ります。
1.毛繕い
毛繕いにはリラックス効果があります。日常のあらゆる場面で目にする行動ですが、気持ちを落ち着かせるためにも行われます。
飛び乗ろうとした場所に上手く乗れなかった時に毛繕いを始めたら、転位行動だと思ってください。
2.爪とぎ
爪とぎも転位行動の1つです。ジャンプに失敗したり、思わぬ場面で転倒してしまった時に"バリバリ"と爪を研ぎます。
タイミング良く目撃してしまうことが多いので、「照れくさそうにしている」という印象を受けやすいのです。
3.あくび
ミスの後に見られる行動ではありませんが、あくびも転位行動なので紹介します。
中でも特に注目してほしいのは、叱られた後に見られるあくびです。注意した後に目を逸らしてあくびをしたら、反省していると解釈してあげてください。
「もう分かったから勘弁して。飼い主さん、ちょっと怖いよ…」という気持ちが込められています。叱りすぎはストレスの原因になります。
転位行動が見られたら、叱るのをやめましょう。
猫の失敗に遭遇したら…
実際の現場に遭遇したとき、私達はどのような対応をすれば良いのでしょう。
近づかない
転位行動は気持ちを切り替えたり、落ち着かせたりする行動です。たとえ猫に羞恥心がなかったとしても、気が立っている可能性はあります。
失敗から転位行動をとっている最中は、近づかないのが無難です。
笑わない
動物写真家の岩合光昭さんは、自身の番組やトークショーの中で「猫の失敗を笑ってはいけない」と語っていました。その理由は、猫が敏感な動物だからだそうです。
猫は、直接「恥ずかしい」という感情は抱かずとも、雰囲気的に良い意味ではないということを感じ取れるのかもしれません。
思わず笑ってしまったとしても、「大丈夫?痛かったね」と優しく声をかけてあげるようにしてください。
怪我がないか確認する
愛猫が落ち着いてからでいいので、怪我がないか確認してください。特に低い場所からの転落や、着地の失敗では怪我をしやすいという特徴があります。
歩き方に違和感がある、特定の場所に触れると痛がるなどの症状があれば、獣医さんに診てもらいましょう。
まとめ
猫も照れくさそうな仕草をすることがあります。しかし、そこには「恥ずかしい」という思いが込められているわけではありませんでした。
転位行動は気持ちを切り替えたり、心を落ち着かせるための行動です。タイミングが良すぎて「恥ずかしいのかな?」という誤解が生じていたようですね。
だからといって、ミスを笑うと機嫌を損ねてしまうことがあるそうです。(岩合光昭さんのエピソードから)
実際に愛猫の身に起きたとしても、笑い過ぎには気をつけたほうが良さそうです。そして、落ち着いてから怪我の有無を確かめるように心がけてください。