猫は悲しさや寂しさを感じていたら生きていられない
猫が持っている感情について、2名の著名な動物学者の説をご紹介します。
1人は『猫脳が分かる!』の著者、今泉忠明氏です。彼は、猫には悲しさや寂しさという感情がなく「喜怒『愛』楽」なのだと説明しています。「森の中で単独生活をする動物が寂しい、悲しいと感じていたら生きていけない」という訳です。
もう1人は『動物感覚』の共著者で、アメリカの動物学者テンプル・グランディン氏です。彼女は、自閉症を抱えながらも社会的な成功を収めたということでも有名になりました。彼女は、「自閉症と動物の感情は似ていて、どちらも羞恥心、罪悪感、きまり悪さ、貪欲、妬みという感情を持っていない。」と説明しています。
猫が確実に持っているといわれている感情は、「怒り」「獲物を追いたくなる衝動」「恐怖」「好奇心」「関心」「期待」の6つです。学者により細かい見解に差はあるでしょうが、今回はこの6つの感情について、猫の表現方法を整理していきます。
猫が確実に持っているといわれている感情とその表現方法
1.怒り
猫は争いごとを好まない、非好戦的な動物です。そのため、積極的に怒りを爆発させることはあまりありません。
不快に感じている時には、「嫌だよ」というサインを出しています。立ち去る、背を向ける、尻尾を床に叩きつけるように振る、背中をピクッとさせる、軽い猫パンチを出す等です。
これらのサインに気づかずに、しつこく猫をなでたり構ったりしていると、猫は怒って本格的な猫パンチを繰り出したり、引っ掻いたり噛み付いたりという行動に転じます。
2.獲物を追いたくなる衝動
室内から窓を見上げていると、ベランダに鳩やカラスなどの鳥が止まることがあります。それを見た猫は、姿勢を低くし、腰を少し上げ気味にしてカッカッカッカッという歯を鳴らすような不思議な音を出します。
この時の猫は、まさに獲物を追いたくなる衝動に駆られている時だといえるでしょう。
3.恐怖
猫はとても優秀なハンターですが、自然界の中では自らが獲物にもなる存在です。そのため、とても警戒心が強く、とても恐怖心を感じやすい動物だともいえるでしょう。
恐怖を感じている時の猫は、瞳孔が大きく開き丸くなります。ヒゲは顔の両側にピタッと張り付くような感じになり、耳は下に向きに伏せ、尻尾も後ろ脚の間にはさみ込んで、体全体を小さく見せようとします。
4.好奇心
猫は、小さなものが素早くササッと動くとすぐに察知します。獲物だと思うからです。何かに興味を惹かれている時の猫は、その方向に顔を向け、ピンと立てた耳を前に向け、ヒゲも前方に向けて全神経を対象物に集中させ、捕まえようとします。
5.関心
猫は、自分の縄張りの様子がいつもと異なっていると、すぐに不安になります。違いの原因に関心を寄せ、探りにいきます。飼い主さんが置きっぱなしにしたスーパーの買い物袋などもすぐに関心の対象になります。
また飼い主さんが落ち込んでいると、愛猫がずっと傍に寄り添って体を擦り付けたり、涙を舐めてくれたりすることがあります。
飼い主さんは慰めてくれていると勘違いするかもしれませんが、これも縄張りの様子がいつもと異なっているために、何事が起きているのかと確認に来ている行動なのだといいます。
6.期待
何かに期待を寄せている時の、いい意味で興奮している時の猫の瞳孔も大きく丸くなります。そして、尻尾を細かくブルブル震わせたり、甘えたような声で鳴いたりします。
こういう場合は、飼い主さんに対して何か期待をしているか、少なくとも愛情を表現していると解釈できます。
まとめ
今日のねこちゃんより:りる♀ / 2歳 / ミックス / 4.4kg
愛猫の縄張り異変の確認行為を自分を慰めてくれていると思ってしまうような勘違いは、これから先もずっと解消されないかもしれません。
それでも、お互いがお互いの気持ちに寄り添おうとすれば、これからも飼い主さんと愛猫の絆は深まり、幸せに暮らしていけるのだと思います。
大切なのは、相手の気持を汲み取ろうとする努力ではないでしょうか。