猫に『魚』を与えても大丈夫?種類別の栄養分と注意点3つ

猫に『魚』を与えても大丈夫?種類別の栄養分と注意点3つ

猫といえば「魚」が大好物、と考える人は多いのではないでしょうか。実はそのイメージ、日本特有のものなのです。本当に魚を与えても大丈夫なのか、正しい知識を身につけましょう。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫と魚

魚をくわえている猫

「猫は魚が大好き」という考えは、実は日本という島国ゆえの発想であることをご存知でしょうか。

島国である日本は周りを海で囲まれているため、昔から、港を歩いている猫に余った魚をそのままあげる慣習が少なくなかったそうです。

しかし、海外ではそもそも身近に魚がたくさんいる状況ばかりではないため、これは一般的な慣習とはとらえられていません。よって、「猫が魚を食べる」という光景自体が、日本などの島国や海辺の街に独特のものなのです。

実際、猫が魚を食べても特に問題はないのですが、食べる量や種類によっては注意が必要なものもあります。

そもそも猫は陸上の生き物で、泳ぎが得意なわけではありません。本来はネズミなどを捕獲して食料とする事が通常です。猫によっては魚が嫌いな子もいますので、その子の個性を見ながら与える際は注意して与えましょう。

1.DHAやEPAを摂取しすぎること

魚で遊ぶ猫

魚の種類の中でも「青魚」に分類される種類は、「DHA」や「EPA」といった不飽和脂肪酸やタウリンの栄養成分が多く含まれています。

体内では不飽和脂肪酸の酸化を防止するために、ビタミンEを多く消費します。そのため、DHAやEPAをたくさんの量を摂取してしまうと、ビタミンE欠乏症になり、筋肉が衰えてしまうといった症状が出てくる可能性があります。

また、DHAやEPAを多く含む魚を偏って食べている猫で、「黄色脂肪症」という脂肪の炎症性疾患がみられることがあり、時に重症化することがあります。

青魚かどうかは背中の色味を見て判断するのですが、いわゆるイワシやサンマ、サバなどが該当します。与える際は量に注意しましょう。

2.アニサキス寄生虫

魚を見つめる猫

「アニサキス」は寄生虫の一種であり、サバやイワシ、カツオ、シャケ、サンマなどの内臓に寄生します。

魚の鮮度が落ちてくると、アニサキスは内臓から筋肉に移動します。生の状態で食べることで体内に侵入し、胃壁などを破って食中毒を引き起こすのです。

人間でも同様に食中毒を引き起こす寄生虫なので、名前を聞いたことのある人も多いかもしれません。アニキサスは嘔吐や激しい痛みを引き起こしますが、これは犬や猫でも例外ではありません。

しかし、アニサキスは「熱に弱い」という弱点があります。そのため、よく焼いたり煮たりすると、ほぼ死滅します。

24時間以上冷凍することでも死滅しますが、猫に生魚を与えると「チアミン欠乏症」など、その他の疾患を起こす可能性もありますから、加熱して与える方が望ましいでしょう。

3.ヒスタミン食中毒

魚を触る猫

「ヒスタミン食中毒」は、ヒスタミンという物質を高濃度に持っている魚を摂取することにより発症する中毒です。

魚がもともと持っている「ヒスチジン」という物質が、ヒスタミンを産生する細菌と合わさることによって、魚肉内でヒスタミンが蓄積されます。

ヒスタミンは加熱処理で分解する事が難しいため、上記のアニキサスのように「煮たり焼いたりすればよい、ということではない」のが厄介です。

予防策としては、なるべく新鮮な魚を与えることを意識して、常温で放置しないように気をつけることです。もし食中毒になると、口周りや顔が腫れる、体に発疹ができる、嘔吐や下痢といった症状がでます。

まとめ

外で穏やかにしている猫

猫に魚を与える際は、上記の点で気をつけることが大切です。特に生魚は危険を多く含んでいますので、加熱してから与えるようにしましょう。

その他、魚の骨がある場合、人間は細かく噛んで飲み込むといった工夫ができますが猫にはできませんので、与える際には骨を取ってあげる、というような「先回りの工夫」を心がけましょう。

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