自由気ままではない猫
猫は誰にも縛られずに自由気ままに暮らしている、というイメージを持っている方はおられませんか。実は筆者も、実際に猫と一緒に暮らすまではそう思っていました。
ところが猫と一緒に暮らしてみると、毎朝薄暗い時間から起こされ、いつもと違う食事を出すと見向きもせず、布団の中で寝る位置もいつも同じです。猫には意外と保守的な面が多いことに気が付きました。
意外と保守的で几帳面
専門家の研究やアンケート調査などの公表情報から、「猫が保守的で几帳面である」という情報を集めてみました。
猫の飼い主は早起きになる
猫の飼い主へのアンケート調査では、「猫と一緒に暮らし始めて規則正しい生活になった」と答えている方が多いことが分かりました。
特に、毎朝早朝に起こされる飼い主が多いようです。
これは猫が薄明薄暮性で、獲物となるネズミなどが活動的になる明け方になると「狩りの時間=食事の時間」だと認識して起き出し、飼い主に食事を催促するからのようです。
猫は体内時計を持っている
1976年に行われた実験で、猫が体内時計を持っていることが分かりました。太陽の光を浴びることで体内時計を調整しているようです。
特に同じ場所で長く生活していると体内時計が出来上がるという説もあるそうです。そのため、同じ場所で同じ飼い主と長く暮らしている猫は、生活リズムもしっかりと出来上がるようです。
飼い主の生活リズムに合わせる猫
猫は薄明薄暮性であるため、夕方や明け方に活動的になりますが、決して猫本位で生活リズムを決めている訳ではないようです。
動物行動学の専門家によると、猫は飼い主の生活リズムに合わせて自分の生活リズムを決めているといいます。
農場に住む猫の1日の行動比率は、睡眠40%・休息22%・グルーミング15%・狩り14%・移動3%・食事2%・その他4%で、夜に眠って明け方に目覚め、昼間は休息以外は起きてご飯をもらったり、飼い主さんとコミュニケーションを取ったりしていました。
一方、都会に住む野良猫を対象に調査した結果は、昼間よりも夜間の方が活動的であるという結果でした。これは、夜間の方が交通量や人通りが少なく、人との関係が希薄な野良猫にとっては昼間よりも安全だからです。
これらの結果から、動物行動学者たちは「猫は人間の行動パターンに合わせて生活リズムを決めている」と結論づけたようです。
猫のために気をつけたいポイント3つ
以上より「猫は規則正しい生活を好み、飼い主の行動パターンに合わせて自分の生活リズムを変更する傾向にある」ことが分かりました。つまり、飼い主が不摂生な生活をすると、猫の健康面にも悪い影響を与えかねないということです。
そこで、猫と一緒に暮らす飼い主さんが猫のために気をつけた方が良いポイントを整理してみました。
1.飼い主も規則的な生活を基本とする
不摂生は猫だけでなく飼い主自身の健康も損なわせる原因になりますので、基本的には規則正しい生活を心掛けましょう。
2.飼い主の生活リズムに巻き込まない
やむを得ない理由で夜更かしをする場合は、愛猫を巻き込まないようにしましょう。
できれば、自然と同じように暗くて静かな状況の部屋を作り、猫の寝床もそこに用意して自由に出入りできるようにすると良いでしょう。
3.寝る時にはストレスを排除する
テレビの音や蛍光灯の光は猫にとってストレスの原因になります。つけっぱなしのまま寝ないようにしましょう。
部屋を分けられない場合は、部屋の隅に覆いのある寝床を作り、テレビなどの音は極力小さくするようにしましょう。
まとめ
今日のねこちゃんより:もみじ♂ / 黒猫 / 0kg
自由気ままに暮らしているように見える猫も、実は保守的で規則正しい生活を好みます。そして、自分の生活リズムを人間の行動パターンに合わせることも分かりました。
出来るだけ愛猫が規則的で静かに落ち着ける生活環境を維持できるように工夫しましょう。飼い主さんが猫に合わせられる部分は極力合わせることで、愛猫も飼い主さんも健康的な生活が送れるのではないでしょうか。