鼻ぺちゃ猫と一緒に暮らす場合の注意点4つ

鼻ぺちゃ猫と一緒に暮らす場合の注意点4つ

アジアでは、「鼻ぺちゃ」が特徴の短頭種の猫を好む割合が他国よりも高いという調査結果があるそうです。多くの鼻ぺちゃの血統は品種改良により人間が作り出した特徴のため、実は鼻ぺちゃ故に発症しやすい病気を抱えていることが多いです。短頭種の猫と一緒に暮らしたい飼い主が注意すべき点を整理しました。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

鼻ぺちゃ猫の特徴

エキゾチック

日本では、エキゾチックショートヘアー、ヒマラヤン、ペルシャのような、鼻ぺちゃの短頭種に一定の人気があるようです。

「ブサカワ」と呼ばれている鼻ぺちゃの猫たちは、頭蓋骨が他の猫よりも丸いことが多いため、丸くて柔らかい顔つきをしています。

そのため、赤ん坊やぬいぐるみのような可愛さを感じて母性をくすぐられることが、人気の要因なのかもしれません。

鼻ぺちゃ猫がかかりやすい病気

短頭種気道症候群

ペルシャ

鼻、喉、気管などの気道が一般的な猫よりも狭くなることで呼吸に負担がかかる病気です。短頭種の宿命とも言える病気でしょう。

気道が狭く、空気の出入りがうまくいかないときには、呼吸のたびに音が出る、お腹を使って努力性の呼吸をする、という症状が出ます。

口を開けて速い呼吸をしたり、体温調節がうまくいかなくなったりした場合、死に至ることもある病気です。

短頭種の猫は、他の品種よりも鼻の穴や鼻腔が狭く(鼻腔狭窄)、鼻の奥の筋肉が通常よりもたるんだり、喉の奥がフタをされるように長くなっていたり(軟口蓋過長)、喉から気管にかけて狭くなったり(気管虚脱)といった症状が複合的に発症し、呼吸困難になりやすいという特徴があります。

若い頃から発症しているとそれが普通だと思われてしまい、見逃されることが多いです。

安静時にも鼻を鳴らして呼吸したり、喘息のようにヒューヒューという音が聞こえる場合は、動物病院で診てもらいましょう。

流涙症

ヒマラヤン

短頭種は鼻腔狭窄のため、目から鼻に涙を流す管の部分が詰まるなどの理由で涙や目やにがたまりやすくなります。涙は赤く変色してきますので、目の周りが白い猫の場合はとても目立ちます。

猫自身も不快ですし、ひどい場合は目周りの皮膚炎の原因になります。マーキング等で家具や服に赤くなった目やにがついてしまうこともありますので、こまめに目の手入れをする必要があります。

熱中症

元々猫は体温調節が難しい動物ですが、短頭種の場合は呼吸で体内の熱を逃すことがより難しくなるため、熱中症のリスクが高くなります。

重症化すると死に至る事もあるため、温度と湿度の管理には十分な注意が必要です。

鼻ぺちゃ猫を飼うときの注意事項4つ

口を開けたヒマラヤン

短頭種の猫には体の構造上かかりやすい病気があり、その点を意識したケアが必要です。

1.目の手入れ

流涙症により涙や目やにがたまりやすいため、こまめに目周りの手入れをしましょう。

また、猫では珍しい白内障ですが、ペルシャなどの短頭種では他の猫種に比べると遺伝的な白内障になりやすい傾向がある、ともいわれています。

年に1回は健康診断を受け、チェックしてもらうと良いでしょう。

2.呼吸状態のチェックと温湿度管理

短頭種気道症候群に注意し、呼吸の状態には常に気を配りましょう。苦しそうにしていないか、鼻を鳴らしていないか等をチェックします。

子猫の時からそうだからと放っておくと、重症化して命に関わる場合があります。夏場は温湿度管理にも気をつけて、熱中症予防に努めましょう。

猫が口を開けて呼吸をしていたら、かなり危険な呼吸困難のサインだと思ってください。

3.食器選び

ペルシャ

鼻ぺちゃなため、食べる時に顔全体をフードに突っ込んでしまうことになりかねないため、ある程度の大きさがあり、浅い容器で食べさせましょう。

水飲みも、ある程度の広さと高さがある容器を選ぶと良いでしょう。

4.顔の手入れ

猫は主に嗅覚で情報をキャッチします。そのため、挨拶や不審物の確認などの際には、必ず鼻先を対象物に近づけてにおいを嗅ごうとします。

この場合も、顔の構造のために顔全体に汚れがつきやすいため、こまめに顔を拭いてあげるようにしましょう。

まとめ

エキゾチックショートヘアー

ぬいぐるみのように可愛くて母性本能をくすぐる鼻ぺちゃ猫たちですが、実はその可愛さのために、一般的な猫たちよりもたくさんのリスクを背負っています。

飼い主さんは、可愛い愛猫のために、そのリスクを十分に意識したケアを心がけてあげましょう。

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