歩き方に違和感を覚えた場合
ある日、ふと見たら愛猫がおかしな歩き方をしていたことはないでしょうか。筆者の場合、すぐに元に戻ったのでたまたまかなと思いました。その後も2度ほど同じことがありましたが、すでに老猫だったため「老化で足腰が弱ってきているのだ」と思っていました。
それからしばらく経ち、けいれん発作を起こしたため動物病院に連れて行ったところ、「脳腫瘍」と診断されました。安易に老化などと考えずに、もっと早く動物病院に連れていくべきだったと後悔しました。
このように愛猫の歩き方に違和感を感じた場合は、裏に深刻な病気が潜んでいる可能性があります。今回は、歩き方に異常をきたす原因となり得る病気についてご紹介します。
いつもと違う歩き方のパターンと考えられる病気
特定の足を床につけないようにしている
明らかに特定の足をかばっている事がわかるような歩き方の場合は、骨折や脱臼などの可能性が高いです。高いところから落下したり、何かに挟まっておかしな方向に大きな力が加わったというような原因が考えられます。
原因究明のためには、触診の他にX線などの画像検査を行います。
よろける
ふらついたりよろけたりする場合は、平衡感覚に異常をきたす病気や尿毒症、貧血などの可能性が高いです。また、老猫やスコティッシュフォールドの場合は、変形性の骨関節炎のことも多いです。夏であれば、熱中症かもしれません。
真っ直ぐ歩けない
真っ直ぐに歩けない、足の上げ方がおかしい等の場合は、脳・神経系疾患や腫瘍、特定ビタミンの過剰症や欠乏症、甲状腺や循環器系疾患の可能性があります。突然おかしくなった場合は、異物誤飲による中毒症状かもしれません。すぐに動物病院で診てもらいましょう。
原因究明のためには、血液検査、X線検査の他に、脳脊髄液検査やMRIなどが必要な場合もあります。
体重減少の有無
歩き方がおかしくなる前に、食欲低下、元気消失や体重減少といった症状がみられる場合があります。このように体重減少を伴っている場合に考えられる病気としては、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症、腫瘍などが挙げられますが、老化の可能性もあります。
体重の減少を伴わない場合は、心疾患や神経疾患、中毒症状など緊急度の高い病気かもしれません。すぐに診察を受けることが望ましいです。
老化と病気の見極めの目安
歩き方がおかしい時は、老化による筋肉の低下だと思いがちです。しかし、老化の場合はゆっくりですが徐々に悪化していき、改善がみられることはありません。
それに対して病気の場合は、投薬や状況により悪化したり改善したりを繰り返しながら、全体的には徐々に進行していくことが多いです。
こういった観点も含めて、普段から愛猫の状態をよくチェックし、記録しておくと良いでしょう。
まとめ
猫には、自分の体調不良を他者に知らせないようにする習性があります。それは飼い主さんに対しても同じです。また、たとえ飼い主さんに助けを求めたくても、言葉で説明することができません。
日頃から愛猫の様子をよく観察し、うまく表現できなくても違和感を覚えるといった場合には、臆せずに動物病院に連れていき、診察を受けてください。その際、おかしいと感じた歩き方等を動画に撮影して獣医師に見せると、診断の助けになります。
後から後悔してもどうにもなりません。愛猫のためにも、「あれ?」と思ったらご自身の直感を信じて診てもらいましょう。