1.周囲の環境や人が分からなくなる
猫の認知症の症状として挙げられるものを「DISHA」と呼びます。これは認知症を診断する明確な基準というわけではないのですが、参考にはなるでしょう。順番にご紹介していきます。
まずDISHAの「D」、「Disorientation」です。日本語で「見当識障害」という意味で、周辺状況の感知やこれまでの経験が混乱するなどの症状が見られます。
具体的には、家の中で迷子になってしまったり飼い主さんが分からなくなる、良く知っているはずのものに威嚇するなどです。
2.他の猫や人に対しての行動変化
次にDISHAの「I」です。これは「社会的交流」を表す「Interaction」を意味しています。飼い主さんや同居猫などとの関わりの変化、指示に対する反応力の低下などが挙げられます。
例えば飼い主さんに撫でられる、遊ぶなどに対する反応が鈍くなることがあります。逆に異常につきまとう場合も。また怒りスイッチが入りやすく、同居猫への攻撃性が高まるケースもあります。
3.睡眠のしかたが変わる
3番目はDISHAの「S」。「Sleep-wake cycle」つまり「睡眠サイクル」の変化を表します。
日中寝ることが増え、逆に夜は起きていることが多くなる傾向に。深夜に徘徊して大きな声で鳴き、飼い主さんの安眠を妨害することもあります。
これは分かりやすい症状なので、気がつく飼い主さんも多いでしょう。
4.排泄の変化
4番目はDISHAの「H」です。「House soiling」「不適切な排泄」を意味しています。
トイレ以外の場所で排泄する粗相を始め、自分のベッドに排泄してしまったり、突然漏らしてしまったります。これも分かりやすいサインなので「最近トイレを失敗するな…」と思うことが増えたら認知症を疑いましょう。
ただし、同じような症状が膀胱炎や尿路結石などの下部尿路疾患でも起こりますので、動物病院で尿検査を行い確認してもらうことが必要です。粗相をしたら認知症と決めつけないようにしてください。診察の結果、特に問題がないようであれば認知症やストレスの可能性が高くなります。
何も対策しないと掃除する飼い主さんの手間が非常にかかりますので、トイレの数を増やす、場所を変える、トイレの高さを低くする、ペットシーツをトイレの周りに敷くなどしてみてください。
イラっとすることも増えると思いますが、猫を叱らないようにしてあげましょう。
5.活動の変化
最後はDISHAの「A」です。「活動性」を表す「Activity」を意味しています。目的を持った活動が低下します。例えば毛づくろいや遊びなどをあまりしなくなるなど。
逆に目的のない活動が増えるのです。具体的には体を異常に舐め続けたり、ウロウロとしたりなど。食欲が増減することもあります。
人や騒音、ある場所に対して不安や恐怖心を感じる場合も。いずれにしてもそれまでの猫とは活動の仕方が変わりますので、注意して見ておいてあげましょう。
まとめ
猫の認知症を放置しておくと悪化し、症状がどんどん重くなっていくばかりでしょう。ただDISHAに当てはまる行動が出たからといっても別の病気にかかっていることもあります。
もし認知症だと診断されたなら、症状を和らげる治療を施すことができる場合も。愛猫が心配な行動をしていたら早めに、獣医師に相談しましょう。